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2013年08月11日
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テーマ:お勧めの本(7214)
カテゴリ:作品
 8月11日付け『神奈川新聞』の読書面に『屍境』の書評が載った。以下その文面。

 戦記のジョン・トーランドかレフ・トルストイを書き手は意識していたか。軍司令官・安達二十三中将、冷血の大本営参謀、彼を快く思わぬ現地大隊長、思慮深い柳井玄太軍医少尉、したたかな石村三男伍長、朝鮮半島出身の慰安婦、それに豪陸軍の狙撃手と、個々の生い立ちに重ねて戦場を俯瞰する。
 ニューギニアといえば、さらばラバウルであり、白骨街道であり、カンニバルである。東部ニューギニアの日本軍総兵力は約14万、うち生き残ったのは1万3千。その他、徴用民間人などを加えれば計15万余が散ったとされる。大部分は餓死だった。地獄の戦場に投げ出され、衰弱するに任せ、投降はできない。当時の軍中枢には、この戦争にどんな経営思想があったのか。数理をたしなむ専門家が精神主義を本気で信奉していたのか。
 文中「兵卒では決して生き残れないニューギニア」の一節がある。横浜のドックで工員の経験がある下士官の石村は機敏に生を得る。兵がバッタ探しに夢中になっているのを尻目に将校はカニ缶で生き延びる。安達中将や柳井軍医ら知識人の述懐は面白い。それ以上に、石村が時に裏をかいて運を開く行動は野生動物的で異様に精彩を発している。著者は横須賀市に住む。    (骨)

  作品社刊・福井孝典著『屍境 ニューギニアでの戦争』¥1400(税別)





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最終更新日  2014年01月16日 09時07分13秒
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