旭地蔵様には、太宰府市役所を目印にして、県道を隔てた反対側の筑紫農協横一本道を山手に上がっていくと出会います。そこから、さらに上がっていくと、横岳崇福寺です。毎年、1月7日の夜9時頃から、太宰府天満宮で鬼すべ神事がとり行われますが、この神事は鬼すべ堂にこもる鬼を追い出し、福を呼び込むというもので、節分の天満宮バージョンと言えるでしょう。伝によると、鬼すべ神事は、寛和2年(986年)道真公の曾孫にあたる大宰大弍菅原輔正(すがわらすけまさ)が始めたとされています。さて、このお地蔵様、実は、鬼すべ神事に深い関わりがあるのです。何でも横岳崇福寺を創建したのが湛慧という人物で、そんな偉いお坊さんが、こともあろうに鬼すべの鬼にされ、悲憤慷慨して亡くなった場所がこの地蔵様のあたりだそうな。そうすると、この場所は怨念のこもる場所になる?そこで、私はこの因縁話をこんな風に受け止めました。つまり、鬼すべの鬼にされ、鬼の悲しみを知った湛慧さんが、一心になってその霊を鎮めた場所がここということ。そのお陰で、節分の際には福がやって来るというわけです。このお地蔵様、地元の人々に愛され、いつもお線香が絶えません。鬼とお地蔵様という珍しい取り合わせの例ですね。