2006/03/08(水)00:22
絲山秋子「イッツ・オンリー・トーク」
芥川賞受賞で話題になってる絲山秋子さん初挑戦。
この「イッツ・オンリー・トーク」は2003年に第96回文学界新人賞を受賞したデビュー作。
作品を読む前にいろんなメディアに登場している絲山さんを見ていて
なんとなくおとなしい感じの印象を持っていたので
作品とのギャップがあって面白かった。
引越しの朝、男に振られた、主人公優子。
なんとなく肌のあう町、蒲田で暮らす。
躁鬱病になり、キャリアOLから一転、画家となった彼女の日常にいるのは
元ヒモの居候、鬱病のヤクザ、痴漢のkさん。
付き合い方はいろいろだけど…
逃げない、媚びない、イジケない、それが「私」、蒲田流。
おかしくて、じんわり心に沁みる傑作短篇集。
(「MARC」データベースをちょっと書直しました)
なんかね、不思議な話でした。
優子の生活は、はたから見るとかなり危ないと思うんだけど
(特に痴漢Kさんとの関係とか)
彼女の視点になってみれば、全然普通な感じがするので。
躁鬱病になったことで、それまで付き合っていた関係が無くなってしまう。
でも、人というのは不思議なもので
今の自分でつながってくる関係というのも生まれてくる。
そういう自分に対して、どちらがどう、ということでもなく
今の自分で生きてる優子の生活の様子が
なんとなくたくましくて、
作品に明るさを生んでる感じの話でした。
「イッツ・オンリー・トーク」=ムダ話。
ふふっ。なんかわかる気がします。