カテゴリ:本(いろいろ)
昔から好きな池澤夏樹さんの去年出た作品。
こどもが主人公の作品は久しぶりなんじゃないかな? 設定はちょっとファンタジー風。 JRでキップを無くしてしまったイタル。 そこへ女の子が現れて、「キップをなくしたら駅から出られないのよ」と 彼を仲間のところへ連れて行く。 そこには、イタルと同じようにキップをなくして出られなくなった ステーション・キッズたちが集まって生活していた。 彼らは駅の中で仕事を与えられ、駅の中では何不自由なく生活をしている。 だけどその中で一人だけちょっと違う存在の女の子ミンちゃん。 彼女はなぜステーション・キッズになったのか? そしてステーション・キッズたちはどうなっていくのか? ステーション・キッズの存在は不思議なことがたくさんあるけど その生活はなんだか楽しそう。 キオスクのお菓子はなんでもタダ、駅員の食堂も出入り自由、 ちょっと奮発すれば、郊外の駅まで出かけて行って、ご当地の駅弁を 手に入れて帰ってくることもOK。 こどもなりにちゃんとルールを作って、 キチンと生活を送るこどもたちの順応性もうまく描かれてる感じ。 ただ、同じくこどもが主人公の「南の島のティオ」と比べると ちょっと物足りない感じがするかなぁ。 最後は「死とはどういうことなのか?」という大切な疑問に 答える話になってるんだけど、 その部分が、大人がこどもに語る形になってるからかもしれない。 私の中で池澤さんてどこか宮沢賢治とつながるものを感じる作家さんで、 特にこどもに対する視点にそれを感じる人。 これからの作品にも期待しちゃうな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.05.07 23:35:34
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