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私のたからもの

私の母

母は父が他界し、かなり落ち込んでいた。

唯一母の心のオアシスになっていたのは私の息子でした。

当時、母の孫はこの子だけだった。

毎日電話をかけてきては、ほとんどおしゃべりのできない息子に「声を聞かせて」とせがんでいた。

息子は滋賀で出産したが娘は迷わず里帰り出産を選んだ。

母は、かなり喜んでくれた。ほとんど息子の世話は母がしてくれていた。

ある日、

母と遊んでいた息子がひょいっと道路に飛び出し、

あわてた母はおいかけようとした。が足がついて行かずこけてしまった。

幸い息子には何も起こらず、

母が痛い目にあっただけだった。

この時からお腹に変な痛みが起こり始めた。

母はそれを4ヶ月も我慢していた。


母なりにそれが気になり病院で検査を受けた。卵巣がんだった。

お腹を開いてみないと良性か悪性かわからないと言われた。

母は私に、

「わざわざ戻ってこんでいいから、あんたはしっかり子育てやってなさい」

なんて言葉をかけてきた。それを無視して二人の子を連れて帰った。

父のことがあったから。家でじっとしてられるわけがない。

子宮、卵巣全部摘出。手術は成功。しかし悪性の腫瘍だった。

実物を見せて頂いた。赤ちゃんの頭ぐらい膨れ上がった左の卵巣。

子宮につながる卵管が3回転ねじれていた。

先生いわく、

「何か衝撃を受けたんですかねぇ。こんなにねじれるとは・・・」

あの時だ!!! 息子を追っかけてこけた時。

後で母もそう言っていた。

「あの時のことがなかったらきっともっとひどくなるまで気づかなかっただろう。」

母は孫に助けられたと感謝している。

本当のとこ、ねじれた原因はわからないけど母は信じているようだ。


悪性だったため抗がん剤治療を3ヶ月間受け、今も通院はしているが元気に暮らしています。

私はこれをきっかけに子宮ガン検診に行くようになりました。


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