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2006/01/25
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カテゴリ:覚書

独学の悲しさで、行き当たりばったりに教科書や研究書、基礎や応用の本を読んでいるから、
暗夜に見える星(=自分の耕作地の土つくり)を唯一の頼りに大海に乗り出した海図のない
航海のようなもんで、ある程度の方向が見えているだけで、正確に自分のいる位置が見えて
いるわけではない。
当然のことながら、全体を見通して何かを書いているわけではなく、いま学んでいることと、
いままでに学んだことから、整合的に考えられることを書いている。いつでも過去に自分の
書いたことを振り返りながら考えてはいるけれど、考えて書いているというより書くことで
考えている
。だから自分の向かっている方向は正しいのかという、そこはかとない不安は常
につきまとっている。

いま手元に、土壌微生物を扱った三冊の本がある。
1.土の微生物、土壌微生物研究会編、492.p、博友社、1981
2.土の微生物学、服部勉・宮下清貴共著、170.p、養賢堂、1996
3.土壌微生物生態学、堀越孝雄・二井一禎編著、229.p、朝倉書店、2003

1.は学会の総力を挙げた当時の土壌微生物研究の到達点を示す研究書。
「はじめに」で、土壌微生物研究会は発足以来20年、かなりの盛況を迎えている、その大
きな原因は三つあると、次のように書いている。
「第一に工業廃棄物、都市廃棄物ならびに農薬などによる環境汚染が進行し、汚染除去に
土壌微生物の役割が有効であろうと期待されたこと。第二に土壌中の物質代謝にかんする
研究は農業生産を挙げるために土壌化学的側面から大いに研究され、一応の整理のついた
段階に達し、次の段階への発展を目指すには微生物面の研究と結合して研究する重要性が
改めて認識されたこと。また連作障害の深刻化などで、物質代謝以外の側面でも農業にお
いて土壌微生物への関心が高まった
こと。第三に一般微生物学の発展に支えられて、新し
い技法が、土壌微生物の研究にも応用され、世界的に見て、60年代間での停滞期からの
脱出が可能になりつつあること」

とはいえ研究に専心従事できる研究者は50名に満たないお寒い現状だと続く...。
ということは、入門的教科書を除けば、この分野のやや専門的な本の出版はほとんど望め
ないことを意味する、需要が少ないので。

2.と3.は、おそらく学部の入門的教科書。
土壌微生物の世界の概観をスケッチして、各論研究の第一歩とするのが目的だが、
「土の微生物学」では、第三章土の住み場所と微生物フロラ(フロラは、一般に植物相と訳
されているが、ここでは微生物群の様相と思えばよい)と第五章植物と土の微生物で、土の
タイプ(森林、草地、畑、水田)に応じた微生物相、植物の根圏・葉圏での微生物との関係、
寄生・共生、植物病原菌などの問題を扱っている。
尤も、「畑土」で書いてあるのは、
「堆肥重視の技術条件では、アンモニア生成細菌やセルロース分解細菌が土の肥沃度を支
える細菌として、また硝化細菌や脱窒細菌が肥沃を悪くする細菌として重要となる。化学
肥料偏用の条件では、土壌固有型細菌または低栄養細菌と呼ばれるグループの減少と脱窒
細菌の異状な増大が特徴的となる」

くらいなもので、ここから何か実践的意味を汲み取るのは至難の技。

3.は最新の土壌生態学の教科書。「はじめに」で編者は
「最新のデータに基づき、土壌、土壌環境、根と微生物の関係、有機物の分解系、食う
食われるの関係、拮抗と共同、微生物の数量と種類の研究法などについて微生物世界の
相互関係の面白さをビビッドに伝えることを主眼に置き網羅したものである」

と書いている。13人の研究者の共同著書で、かなり専門的内容を最新データに基づき、面
白く書いているのだが、土壌の団粒構造と微生物生態との関係とか土壌タイプによる微生物
生態の特徴というテーマ
がなぜかスッポリ抜け落ちている(あちこちに散見はできるが)。

三冊の本を比べると、研究書と入門書という違いはあるが、「土と微生物」では、土壌微生
物の微視的住み場所、森林・草地土壌、畑土壌、水田土壌の物質変化と微生物に各1章をあ
て、全体で約150ページ、やや三分の一を占めている。これに土壌微生物と植物根の相互
作用を分析した高等植物と微生物マメ科植物と根粒菌、また農薬と土壌微生物など、直接、
農業分野とかかわる問題を扱った部分を含めると490頁の内やや400頁を占めていた。
それが「土の微生物学」では、170頁の内80頁ほど(土壌タイプによる微生物の様態に
ついては4頁)、「土壌微生物生態学」では、土壌微生物生態と農業とのかかわりという意
識は抜け落ちて
、土壌一般における微生物生態が扱われ、特殊事例として農耕土壌が時に対
象になっているという内容かと見受ける。

この20年余の変化が、何によるか、僕にはわからない。
研究手法の細密化による土壌微生物生態の研究の深化に伴い、主要な関心が「森から木」に
移ってしまったのか、農業の比重低下に相応した関心の移動なのか、環境学という広い立場
からのアプローチに変わったのか、単に関心がないだけか、その各々が何らかの比重で関わ
っているのか、それはわからない。

なお「土と微生物」は、「新・土と微生物」として各200頁ほどの10分冊の小冊子とし
て1996年から2003年にかけて改訂出版されている。これは「植物の生育と微生物」
を扱った2巻以外はまだ見ていない。

以上は、土壌微生物学の基礎的な本で、農業分野の応用的な本では
講座「微生物段階の土つくり」5分冊(農文協)とか、
自然と科学技術シリーズの何冊か(農文協)など10冊程度はあるけれど、
これらは、まずは基礎を固めたうえで、ぼちぼち取り上げていこうかと考えている。
尤も、行きつ戻りつは常態だが...。






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最終更新日  2006/01/25 01:22:54 PM
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