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We love コミック日記

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♯4

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 ♯4「あやまって済むもんじゃない」

 急いで俺は相談屋に走って戻ってきた

 後ろから才助さんが追いかけてきた…弥生さんはむこうにまだ残っているらしい…

 どうしよう もし レオナさんが本当に…… 俺は夢中であらく玄関の扉を開けた

「レオナさん 大丈夫ですかっ!!!!」

 レオナさんは無事だった きょとんとしてこっちを見た

「何? どうかしたの?」

 レオナさんは半分笑った顔で言ったが 笑顔が少しひきつっていた

「あの…いえ 何でもないです 気にしないでください」

 俺はそう ごまかしたが まだ才助さんはピリピリと辺りの気配を気にしていた

 レオナさんがいつもみたいに笑ってない… もしかしたら薄々真実に気付いているのかもしれない


 今の時代 平気で武器を持っていい時代だから 何が起こるかわからない

 俺は部屋の奥から木刀を持ってきて 腰に収めた

 自分の剣の腕を確かめたい… その願望は この仕事でなら活かせるかもしれない

 もちろん悪い方向でなく 人を助けるために自分の剣を活かしたい

 
 まだ何にもなかったんだとホッとしてレオナさんと話していた…その時!

 才助さんが殺気を感じてかいきなり抜刀した

「来るぞ」

 才助さんが低い声でぼそりと言った 

 すると 玄関の扉が破壊され すごい音がした

「あぁぁぁ!!!! 俺の家の玄関がぁぁぁ!!!!」

 そこに来た三つの影 ものすごい殺気を感じる…ただものじゃない感じがした

 その三人は みんな才助さんのように日本刀をぶら下げていた 

「この人たち 誰なの?」

 真っ青になりながらレオナさんが言った どうしよう… 本当のことを言った方が良いのか…

「俺も昔色々やらかしてね そんときの恨みを晴らしに来たんだろう」

 才助さんがとっさにごまかした


「オイ どけよそこのチビと和服男 俺らが殺りたいのはそっちの女なんだよ」

 ち… チビだと!!!! このやろっ…俺は腹が立ってきた

「どかねぇよ 無抵抗な女を殺めるなんてお前ら卑怯な奴等だな

 刀を持つ資格なんて 無いんじゃないのか?」

 才助さんが堂々と喧嘩を売った こうなった以上仕方がない 俺も挑発した

「そんなことで 刀を使うとか間違ってるよ 刀は誰かを助けるためにあるんだよ」

「フン…きれいごと言いやがる」

 その三人も抜刀して俺達に向かって刀を構えた

 俺も 木刀をしっかり握って構えて 間合いをとった


 前みたいな大人数じゃないとはいえ 今回はそういう依頼を受けるだけの強そうな人たちだ

「ここじゃ狭い こういうのは外でやろう」

 才助さんはそう言うと 刀を巧妙に使って相手を玄関の外に追い出した

 俺はそれでふらついている奴等にふいうちを浴びせた

「フン…チビが」
 
 三人のうちの一番背が高い奴が俺の前に立った

「馬鹿にするなぁ!! 俺はチビでも心がでっかいんだよ!!」

「何を… 生意気な… それは言い訳か!!」

 相手になった男は ものすごい勢いで俺の顔めがけて打ってきた

 筋が良い… でも これくらいの相手なら勝てる…

 俺はその面打ちを横にすばやく払いのけ 相手のすねを打った

「くそ… 痛っ… このチビが…」

「うるさい チビ言うなぁ!!」

 俺はそいつの刀を握る手を思いっきり叩き その衝動で落ちた刀を奪った

 
 才助さんはその間 他の二人と斬り合いをしていた

 一方の奴に峰打ちが上手くヒットして 残りもう一人との対決になった

 才助さんはそいつの攻撃を見事に避け 刀を下に置き

 そいつの腕をつかんでぐるりと一回転させてから そいつを下に叩き落とした

 多分才助さんは どの格闘技もできるんだろうな……

 レオナさんがこっちを心配そうに見ていた

 俺と才助さんで 笑顔のVサインを送った 


 俺は本当の事を話した レオナさんの友達のこと…乱入してきた奴等のこと

 とりあえずさっきの奴等は警察に手渡した ともつけくわえておいた

「どうするお前 自分を殺そうとしたやつらを まだ友達と言えるのかよ」

 才助さんが冷ややかに言った 俺はその言い方にむかっとしたから睨んでやった

「もう 友達じゃない…信じることができない人のことは友達じゃないんだよね…」

 レオナさんはゆっくりブツブツとつぶやくようにそう言った

「レオナ これからは 一緒にいて不安になる人とは友達にならないようにする

 だから 高山君 これからもレオナの友達でいてね」

 俺はがっくしと肩を下げた あぁ やっぱり友達とどまりか…


「また依頼にくるよ 今回はありがとう」

 そう言うとレオナさんはたったか走って行ってしまった

「あ… お礼は… お金…」

 俺は また違うショックを受けた

「そんぐらい大目に見てやれ 今回の相談事は特別として… あ…」

 才助さんが何か言いかけた

 気になってその視線の先をたどると そこにはさっき戦った場所で何かを確認している女の人がいた

 それからその女の人は携帯で誰かに何かを告げていた

「あ… 佐絵さん…」

 佐絵さん? まさか… 才助さんが探してる好きだった人!!

 するとその女の人は急いでどこかに走って行ってしまった

 才助さんは放心状態になっていた 

 そおか… もしかしたらこの辺の人なのかもしれないな……


 そのころ弥生さんは レオナさんへの殺害依頼をした何とも心が真っ黒な奴等と口喧嘩になっていた

(もちろん 喧嘩は弥生さん自ら売ったのだ)

 それから 奴等の方から暴力をふるってきた が 弥生さんはとっさに竹刀を構えて…その場を収めた

 もちろん構えただけじゃない 華麗な刀さばきで相手をバタバタと倒したのだ……弥生さんは剣道部だった

 ただのストーカーじゃなかったんだな 俺はそのことを後で聞いた時腰が抜けてしまった


 
 翌日の新聞 一面には大きな二つの記事があった

「才助さん見て見て」

「ん? 何だ」

 『殺人未遂男三名 逮捕 相談屋お手柄』

 『殺人依頼女子グループ 逮捕 またも相談屋お手柄』


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