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2020.07.07
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雲ひとつない明るい空の日に
隣町からとびきり陽気なサーカス団がやってきた。
どこからきてどこへ行くのかも分からない。
サーカス団がやってきた。
マモル君は小さな窓からただ空を見つめる。
小さな空には小さな雲がある。
ゆっくり流れる雲がある。



ただそこは
抜けるような青い空。
計り知れない青い空。
誰よりも広い青い空。
鳥達は陽気に歌い、風は優しく吹き抜ける。


マモル君の手には一枚の紙。
そこにはクレヨンで書かれた1枚のチラシ。
サーカス団がこの町にやってくるというチラシ。


不思議な楽団の陽気なメロディに乗せて
サーカス団がやってきた。
一度聞いたそのメロディはもうずうっと耳から離れない。


赤、白、黄色、陽気な色に心弾んで
サーカス団がやってきた。


病気がちなマモル君もその日を心待ちにしていた。
12を過ぎた頃のその年に
病気がちなマモル君の心は
どこかブランコのように揺れていた。


サーカス小屋は超満員。


ピエロが曲芸の最中派手にすっころんでは腹をよじらせ。
動物たちの曲芸には多くの者の目玉が飛び出した。
猛獣使いによってライオンがクマが、人間のように動きまわる。
中でもマモル君が目を奪われたのは空中ブランコ。
最も多くの観客の心を奪ったダイナミックな演技に
観客は悲鳴を上げやがては歓声に変わり
マモル君は鳥肌がだち、心臓の鼓動がいつまでもいつまでも
鳴りやまなかった。


僕もあんな風に飛びたい。
皆に夢や希望を与えたい。
そして風に乗るように僕はどこへでも行きたい。


マモル君は意を決して窓からそっと飛び出すと
サーカス団に入団を志願した。


空中ブランコがやりたい。
誰にも負けることのない
熱意と情熱を懸命に伝えるとひげ面でシルクハットの
団長は許可した。


団長は言った。


「この世界は甘いものではない。
だけどそれはどこも同じだ。
皆必死で闘っている。
生きるために。
それをずっと忘れるな。
この団員皆が家族だと思え。
厳しい家族だ。
お前が小さいからといって容赦はしない。
だが愛があり、もちろん共に闘う仲間でもある。
そうそう
肝心の事を忘れていた。
いいか、マモル。俺たちの仕事ってのはな。
皆の心が乾いてしまったら俺たちの出番だ。
俺達でそいつをとびきり楽しくしてやろう。
たっぷり水を上げようぜ。
泣いている子だって明るくなるさ。
俺たちの心が乾いていたら、悲しい面を下げていたら、
そんな人たちを明るくできるものかよ。
何があっても客の前では辛くなっちゃいけねえよ。
それが俺たちの仕事だ。」



来る日も、来る日も、マモル君はとびきり陽気な
サーカス団で懸命に、懸命に
稽古に励んだ。


体に沢山のすり傷を作って
稽古に励んだ。


どんなに怒られても歯を食いしばった。
そこでプロというものを学んだ。


猛獣使いが動物に襲われ大けがを負った。
団長にはたるんでいるからだと
どやされていた。
心優しき猛獣使いは涙を流して謝ったが
怒っていた団長も泣いていた。


真剣勝負というものはこういうものなんだ。


どんな時も命がけで陽気にふるまう。
陽気な裏にこれほどの努力や厳しさ
があることをマモル君は知った。
陽気でいることは強さの証だ。
マモル君はそう思った。


「皆に希望を、皆に夢を。
それが僕の夢なんだ。」


マモル君は汗水流して
懸命にがんばった。
どんなにうまくいかなくても
どんなに手が届かず落ちてしまったとしても。
命を掛けて皆に夢や希望を与えるんだ。
自分のやっている事に誇りを持った。


ある晴れた昼下がりのとある病室の事。
窓際にカーテンもなく味もそっけもない。
小さな窓からは微かな光が漏れている。


そこに寝ているのはもう動かないマモル君。
その傍らで母親はさめざめと泣いている。


「マモルは本当にもう目を覚まさないんでしょうか?」



「はい、残念ですが。もう絶対に。
ただ、しかし、生きています。
それは忘れないでいただきたい。
こちらもサポートに全力を尽くします。
かけがえのない命のために。」


白衣の医師と思われるものが熱く語っている。



眠り続けるマモル君の手には1枚のチラシ。
マモル君が
自分で書いたサーカス団がこの町にやってくるというチラシ。
クレヨンでたくさんの色を使って描かれたチラシ。



「先生、マモルは夢を見ているんでしょうか?何かうなされているような。」


「きっと、そうですね。現実で叶えられない事を。
だから夢があるんです。見守ってあげましょう。」


母親はまた泣きだした。


とある夜の事。
今にも降ってきそうな満点の星空の下。
いつになく大きな月が白んでは燦々と
まんまるに光っている。


そのとびきり陽気なサーカス団は満員御礼。
メインイベントは空中ブランコ。
弱冠12歳の子供が挑戦する。


マモル君は大歓声の中、初めての舞台に緊張して足が震える。
もう慣れたと思った高さにも関わらず
初めて立つかの如く足が震える。


ふと観客席を見やる。
この空中ブランコを見るには一番いい位置に母親がいた。


お母さん、、、。


母親が来ている事に思わず涙ぐみそうになる。


かってにいえをでてごめんなさい。
でもぼくはもういえにかえらない。
まいにちたいへんだけど
ぼくはナキゴトも言わずにがんばったんだ。
だから見ていてお母さん。
ぼくはリッパになったんだ。
ぼくはこれから飛び立ちます。


マモル君は
震える足のままブランコをしっかりと握りしめ
飛んだ。


浮遊。


その刹那の間。
たった一瞬ではあるけれど


マモル君にも母親にも今まで生きてきた
思い出が巡る。


マモル君には包まれるような母親の優しさが。
そして母親には愛らしいマモル君の微笑みが。


やがて
キャッチャーの女の子の手を握る。
見事成功。

場内は割れんばかりの大歓声。
観客は一斉に立ち上がると
やんややんやと大絶賛。
ひげ団長はバンザイをして大はしゃぎ。
包帯をした猛獣使いのお兄さんはガッツポーズ。
ピエロが沢山の風船を飛ばしてずっこける
楽団が一斉にラッパを吹けば
それに合わせるように動物たちは楽しそうに吠えている。


その観客席、ステージの興奮の中で母親はただ独り
小さくなって泣いていた。


それを見たマモル君も
どんなに辛くても見せなかった涙を初めて見せた。


お母さん。
今までありがとう。
ぼくはもうかえれません。
でも成功したよ。
だから心配しないで。
これからもぼくは皆に夢やキボウを与えるんだ。


このサーカス団のみんなといっしょに
とびきり陽気に楽しくさ。
風にのってどこまでも。
空はどこまでも広いよ。
またいつか、
きっと会えるから。


ゆらゆら揺れていたブランコの揺れが
やがては収まる。


満点の星空の下で
いくつもの歓声の中で
満点に誇らしげに胸を張るマモル君。


母親はその姿を遠くでしっかり目に焼き付けていた。
そしてその姿に母親はそっと笑顔になった。


マモル君も満面の笑みを見せた。


やがて幕が閉じられる。


マモル君の病室の外の廊下。
その長椅子で
母親が目を覚ました。
その目には涙。


「マモル!」


不安を感じて病室に入る。
そこには安らかな顔をしたマモル君が息を引き取っていた。
マモル君の手には1枚のチラシ。
この町にサーカス団がやってくる!
その裏にはクレヨンでこう書かれていた。



さようなら。



その隣にはマモル君と母親がしっかりと手をつないだ絵。
マモル君の片方の手にはVサイン。
そして、
二人ともとびきり陽気な笑顔が描かれていたという。





2010年4月30日 作







最終更新日  2020.07.07 20:36:14
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