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カテゴリ:あつまれどうぶつの森
本記事はあつまれどうぶつの森のプレイ画像を一部引用しています。 ある日こんなおてがみがピータンから届けられました。 脳筋は ホメ言葉ではない! あたまの筋肉の鍛え方が分かる方は ピータンに教えてあげてください! では本題に入ります。 私は中野京子さんの書籍の 「怖い絵」シリーズが好きで 2017年には上野の森美術館で開催された 「怖い絵展」に足を運び図録を購入させていただきました。 怖い絵 (角川文庫) [ 中野京子(ドイツ文学) ] 怖い絵 泣く女篇 (角川文庫) [ 中野 京子 ] あつ森で不審船に乗ってやってくる例のアイツ の船で贋作かどうかを 物色します。 月に数回程度しか会えないので 結構ワクワクして乗り込むわけですが・・・。 酷いときは・・。 ぼっちゃんがすぎる! 上の余白がない! そんな今っぽいイヤリングじゃない! お前よく見るな! (ツボからたくさん牛乳ですぎ) ・・・といった具合で 全部贋作なんてこともありました。 しかし、 時々 怖い絵の本で 見覚えあるなって絵が出てくるんですね。 そのひとつがこの 「おごそかなめいが」です。 こちらは言わずと知れた ベラスケスのラス・メニーナスという作品です。 絵が描かれた当時の作品目録には 「家族の肖像」あるいは「王の家族」といった タイトルが付けられていたそうです。 この絵画に描かれた人々、王宮に住む人々は皆 家族だとそういう意味合いがあります。 そもそもここは 「皇太子の間」であり ベラスケスのアトリエでもあります。 3メートルはあろうかというキャンバスに向かっている 何か凄い格好いい服を着ているのは 正にベラスケスそのもの。 鏡に映っているのは 国王と王妃ということですね。 ちなみに中央で膨れ面をする少女は 5歳のマルガリータ王女です。 マルガリータ王女 の向かって右にいる侍女ベラスコ が膝を軽く曲げた宮廷式お辞儀を しているのは国王夫妻に対して ということが分かります。 しかしこの絵の 「シーン」に関しては3つの説があります。 1・ベラスケスが不機嫌な王女(侍女や道化がなだめている)を モデルに絵を描いているところ 国王夫妻が現れたシーン。 2・ベラスケスが描いているのは国王夫妻であり 王女が退屈で不機嫌になって 道化や侍女がなだめいているシーン。 3・ベラスケスは絵を描いているには キャンバスから離れすぎている。 3メートルもの室内肖像画は この作品「ラス・メニーナス」しかない。 従ってベラスケスが描いているのは 王女でも国王夫妻でもなく この宮廷の侍女や道化なども 血の繋がりを超越した 少々歪な「家族」の姿なのではないか。 という説です。 ちなみにつねきちの 贋作は奥の階段を上りかけて手を扉に掛けている人(式武官ニエート)の 手が扉に掛かっていないというなんとも分かりづらい 感じなので注意が必要です。 この絵の怖さはどこかと申しますと それは現代では異常と思えるおおよそ人権を無視した制度。 それが当たり前のように「家族」として 王宮に存在していた歪な構造。 その当時 当たり前だった制度に対して ベラスケスは意識してかあるいは無意識のうちに 警鐘を鳴らしていたのかもしれません。 どういうことか具体的に見ていきましょう。 画面右下の犬の↑に二人の小人症の方がいます。 この二人は「道化」です。 特に女性の 矮人マリア・バルボラの一見するとふてぶてしい表情が 王女を喰うほどの異様な存在感が目を引きます。 彼女は軟骨無形成症のために このような顔立ちが特徴として 現れているだけで 決して横柄なわけではありません。 こうした特徴を持って産まれたがために 王宮内の「道化」として暮らすことになった バルボラという女性が 存在したということを ありありと描いて見せているのです。 フェリペ4世の当時は 「当たり前として」 奴隷制度が存在し宮廷内にも 数百人にものぼる奴隷が存在していました。 また、 バルボラのような特徴をもって産まれた 人々が「慰み者」と呼ばれる「道化」として 奴隷マーケットで高額取引され宮廷に連れてこられることも しばしばありました。 ベラスケスが宮廷にいた40年間で なんと50人を超えたそうです。 そうした道化は家族として 迎えられますが それは現代人にとっての ペットのようなものです。 バルボアは、王から王女への 「プレゼント」のようなものであり 自由はありません。 人として「慰み者」にされる ことは今の感覚では想像だにできません。 そうした人々の寿命は極端に短かったといいます。 ベラスケスは他の作品からも 道化の怒りに共鳴する激しい胸の内を 知ることが出来ます。 【送料無料】絵画 油彩画複製油絵複製画/ディエゴ・ベラスケス 道化師セバスティアン・デ・モーラ P8サイズ P8号 455x333mm すぐに飾れる豪華額縁付きキャンバス ↑こちらの作品から 皆様は何を感じるでしょうか。 激しい怒りでしょうか憎しみでしょうか。 それは何に対してでしょうか。 この記事を書くにあたり 怖い絵2の本を参考にさせていただきました。 【中古】 怖い絵 2 / 中野 京子 / 朝日出版社 [単行本]【宅配便出荷】 怖い絵 死と乙女篇 (角川文庫) [ 中野 京子 ] 怖い絵 泣く女篇 (角川文庫) [ 中野 京子 ] 怖い絵は他にもシリーズが沢山あり 一度その扉を一度開けると2度と戻れないかもしれないので 十分ご注意ください。 あとがき どうでしょうか。 少しこの絵を見る見方が変わりましたでしょうか? 人間を慰み者としてペットのように扱うことが 日常の中に当たり前のこととして 溶け込んでいた「時代」があったということ。 そこがベラスケスの強烈な感性によって 生々しくも鮮烈に時代を超えて 私たちに問いかけてきます。 私たちの今の社会の中でも存在しないでしょうか? 当たり前のこととして 行っている行為、思想、制度。 それは後世の人にとっては もしかしたら 「怖い」ことかもしれません。 そしてそれに気づけたら 貴方もベラスケスになれるかもしれません。 ところで この記事を執筆中に怒り狂うように 雷鳴が轟いていました。 その音は八百万の神々の やり場のない 怒りの咆哮のように思えます。 現代というラス・メニーナスへの。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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