あなたと ふしぎなとしょかんで・・・

2006/12/19(火)22:09

メロスはなぜ走ったのか?

みなさん、こんばんは。 仕事の打ち合わせで、自分よりも少し年齢の若い方と話をしました。本題を終え、世間話の流れから、「中学生時代に読んだ、最も印象に残っている本」を尋ねてみました。彼の答えは、「走れメロス」。中学校の読書時間に読む本を選ぶとき、自ら「これだ」と思って手にしたそうです。その後あまり読書を身近としない生活をしているそうですが、今でも当時読んだ「走れメロス」のインパクトは色褪せていないとか。 「『走れメロス』は、何が良いのか」 この題について、みなさんならどのように答えますか? 「友情」や「信頼」という言葉を使ってしまいそうですか? いやいや、使っちゃ悪いわけじゃないですよ(笑)。でも、その二つの言葉を使わずに、彼は答えてくれました。 「メロスが走ったから、あの作品は美しい」 私はこの一言に完全にやられてしまいました。「友情」や「信頼」ではなく、「愛情」や「優しさ」を描いたとしても、メロスが走ればあの作品は成り立つ。自分が心で思っていることをエネルギーに、自分の足で走った。自らの純粋な気持ちだけで自らの身体を動かすという清らかさ。だから、あの作品は心身一体の美しさを描いたものだと。 過去に読んだ有名作品でも、正面から真面目に話題にしてみると、意外に面白いことが起きます。他人の見方・考え方を知り、その作品を新たな一面から読めるというのもその一例でしょう。こんなことにスペクタクルを感じてしまう一人としては、まだまだ色んな方に「走れメロス」の読み方を訊いて廻りたくなりました。 「心身一体の美しさ」に対して、自分の「走れメロス観」の貧困さといったら・・・。あまりに恥かしくてここでは書けません。それでも「聞いてやる」という方は、今度声をかけてください。気分がのっていたら、ご披露します(笑)。 それでは、また。

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