テーマ:映画館で観た映画(8347)
カテゴリ:外国映画 な行
映画ななめ読み
私がナルニアを読んだのははるか昔。高校生の頃です。 学校図書館にあったんですね。だから内容はきれいさっぱり忘れてしまった。 ただ四人兄弟が洋服ダンスの中のナルニアに入っていくという設定だけは覚えています。 全七冊ありますね。 一冊ずつはちゃんと話が完結していてナルニア国の年代記と言う感じです。 そしてナルニア国の大事件の時にちょうど四兄弟がナルニアを訪れる。 その事件ごとに一冊ずつの物語になっているのですね。 だから次にナルニアに行くときは何年もの歳月がたっているのです。 時は第二次大戦下のイギリス、ロンドン。 ドイツ軍の空襲をのがれるため、田舎に疎開していった四兄弟。 彼等が住む事になったお屋敷にあった洋服ダンス。 その扉の向こう側にあったのがナルニア国。 当時戦争にあけくれる毎日。必死に戦っている大人たち、父や母を目の前でみている子供達にすれば、歯がゆかったんだろうと思う。父も母も必死にがんばっているのに子供である自分達には何もできない。 そんな子供達の気持ちをルイスは物語りにしたのだろうかと、映画を見ながら考えてしまった。現実の世界で子供達が戦争に参加する事はありえない。けれど幻想の世界でなら。子供である君達だってほらこんな風に戦えるんだよ。そんな思いで書かれた物語なのだろうか。 一般にファンタジーの物語と言うのは子供の主人公が多い。 そして子供だてらに剣を使い、信じられないほど強い敵を倒す物語が多い。 目の前で起きる戦争に何もできずにただ見ている、あるいは足手まといにさえなってしまう自分達のはがゆさ。 C・S・ルイスはそんな子供達の気持ちをファンタジーとして物語にしてくれたのだろう。 しかし、そんなルイスの思いとはまた裏腹にどうもこの映画を見ながら、その裏を考えてしまう。なにしろこの作品。原作と舞台はイギリスなんだけど、映画制作はディズニー。つまり、アメリカ。 ライオンであるところのアスランは戦時中「眠れる獅子」と言われたアメリカのことかな。 それから魔女はソ連のこと。作中のナルニアが冬なのはまさに現実世界の戦争を物語っているようだった。それと、冬はイコールソ連、ロシア、戦争、社会主義を象徴しているようでもあった。それらのものからナルニアという世界を救おうとするライオン、アスラン。まさにアメリカそのもの。 そして、物語のラストでアスランは四人の兄弟をナルニアの王として、 ナルニアの東つまりアジアを意味していると思えたのだけれど、 ここをルーシーに、そして、南をスーザンに、西をエドマンドに、 北をピーターにと言うように割譲する。 東の海すなわち、アジア。 南の大地すなわちアフリカ。 西の森すなわちヨーロッパ。 そして北の空すなわちロシア。 を意味しているように思ってしまいました。 そしてユーラシア大陸を四人の王に割譲した後アスランすなわち獅子であるアメリカは新大陸である、自分の国へとかえっていく。物語でも、アスランは平和になったナルニアからどこかへ行ってしまうのです。 それにしても、なぜ、四人兄弟がナルニアに来たとたん春になっちゃうんだか わかりません。原作忘れちゃったし。 だいいち、ストーリーを見ていても、この四人いなくても、アスランさえいれば話はすむような気がする。 この四兄弟以外とたいした活躍してないんだよね。 一番話を進める役にたったのが裏切り者のエドマンドだったりしてるしね。 アスランだって死んじゃってルーシーとスージーがなき悲しんでいるのに、ひょっこり生き返ったりして、なんーかだまされたような感じですね。こんなにひょっこり生き返るなら、死ぬ事ないじゃんと思う。 女王に最後の止めをするのもアスランなのでピーター別に要らないジャン。 ピーターのもってる剣もどーも安っぽくて軽そうで、ほんとーにこんなのでやっつけられるのかなーというかんじなのですね。要するに魔女をやっつける必然とか、強さとか説得力ないのですね。 アスランだけいればよさそう。この四兄弟がなぜ王になれるのか映画では、まったく説得力ないです。 ファンタジーと言いながら当時の世相がリアルに物語の中に再現されている。 それをまた、今の時代にみるとどこかチンプなのですね。 ただストーリー自体はまさにファンタジーの王道なので、単純にファンタジーとしてみれば、画面は美しいのですから、ファンタジー映画としてはそこそこにはよくできているのです。 そういう意味でファンタジーを全面に押し出すつもりだったのなら、序盤の空襲のシーンは本来ないほうがいいのです。すこしだけ、ナレーションで説明をいれて、田舎の駅に降り立った四兄弟のシーンからはじめればいいわけで、それがわざわざかなりの手間と時間をとって空襲のシーンをだしているあたりで、アメリカサイドの国策映画のようなのりを感じてしまわざるを得ないのでしょうね。 現実世界の戦争とファンタジー世界の戦争がリアルに表裏一体の姿で描かれてしまっているのであって、厳しい現実からのがれても、やはり幻想世界の中にすら戦争や争いや悪の存在があって決して逃れる事はできないし、勇気をもって戦っていくしかないのだと、そうとることもできるかもしれませんね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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4兄弟がロンドンから戦争で疎開してきたなんてこと忘れてました。原作を見てみたら、ほんの一行だけ説明があるだけです。「ロンドンの空襲から非難する為に田舎の教授の家に送られた」って。
ディズニーがつくると、やっぱり原作と随分違ったものになってしまっているのでしょうね。残念です。 それにしても、civakaさんの解釈、面白いですーー。 いいなーー、こういう解釈。 シュタイナー的に言うと、ナルニアはエドムントが感情体でアスランが自我で、という解釈になるのでしょうけど。(ナルニアはシュタイナー学校5、6年生で読みます) (2006年03月17日 22時29分31秒)
chamokayoさん
>4兄弟がロンドンから戦争で疎開してきたなんてこと忘れてました。原作を見てみたら、ほんの一行だけ説明があるだけです。「ロンドンの空襲から非難する為に田舎の教授の家に送られた」って。 ★一行だけなんですか。当時は戦後すぐですから、あんまり書くとリアルで辛かったし、一行でも、充分だったのかもしれませんね。あるいは田舎にいく設定のためだっただけで、深い意味はないかもしれませんねえ。 >それにしても、civakaさんの解釈、面白いですーー。 >いいなーー、こういう解釈。 ★ありがとうございまーす。 >シュタイナー的に言うと、ナルニアはエドムントが感情体でアスランが自我で、という解釈になるのでしょうけど。 ★四人それぞれが四パターンの正確に見事に分かれてるんですよね。誰が粘着質にあたるかな。 やはり、シュタイナーにとっても重要な物語として評価高いのですね。 もう一度読むといろいろ新しい発見がありそうです。 (2006年03月17日 23時57分23秒)
ナルニア、観に行きたいんですよ~♪
最近いい映画やってないけどこれだけは観ておきたいかな?と(苦笑) 私はファンタジー結構見入っちゃう方なので楽しみにしておきます♪ civakaさんは良く気付きますね~。 感心します♪ 私が気付いて覚えて帰ってくるのは俳優の顔くらい(爆) リエコ (2006年03月18日 16時04分29秒)
☆リエコ☆さん
私はロード・オブ・ザ・リングの方がよかったですね。それより早くつくらないとあの子達もあっという間に大きくなっちゃう。 今はひたすらゲド戦記がたのしみ。世界三代ファンタジーがこれででそろいますよ。 でも、戦闘シーンがロード・オブ・ザ・リング程ハードじゃないのでずっとやさしくつくってあるかな。 見るときは私の書いた事は忘れて見てくださいね。 ありがとうございまーす。 (2006年03月18日 19時56分44秒)
マイブログの「エミリー・ローズ」の方へご丁寧なコメント頂きありがとうございました。ご迷惑かと思いましたが、こちらへのご訪問の足あととして、こちらの記事にトラックバックさせていただきました。
(2006年03月19日 10時08分38秒)
まつさんさん
TBありがとうございました。 毎回表面的な批判だけにおわらないすばらしい記事内容にとても勉強になります。 これからも楽しませていただきたいと思います。よろしくお願いします。 (2006年03月19日 11時05分04秒)
文才のある方で、しっかりと分析をしていますね。私には分析力がないので、映画そのものに感じたことしか書くことしかできません。しっかりした文章を拝読し、ちょっとうらやましく思います。
本作が良かったという評価、感想を聞きません。第二章制作が決定されたけれど、日本では間違いなくコケるでしょう。大作にして大作にあらず。映画より、このさい何でもOKのディズニーは何を考えているのか、私には「南極物語」を含め、理解できないでいます。 ありがとうございました。これからも宜しくお願いします。 (2006年04月16日 00時35分13秒)
トラックバック、間違って、違う映画を差し込んでしまいました。「タイフーン」と「このコメント」を削除して下さい。ご迷惑おかけしますが、宜しくお願い致します。
(2006年04月16日 00時39分21秒)
冨田弘嗣さん
> 文才のある方で、しっかりと分析をしていますね。 ★いやもう、思いつくままに構成も何も考えずに書いてますので、お恥ずかしい限りです。はっはっは。 私には分析力がないので、映画そのものに感じたことしか書くことしかできません。 ★いえいえそんなことないです。本音を文章にするって難しいことです。 しっかりした文章を拝読し、ちょっとうらやましく思います。 ★ありがとうございます。 > 本作が良かったという評価、感想を聞きません。第二章制作が決定されたけれど、日本では間違いなくコケるでしょう。大作にして大作にあらず。映画より、このさい何でもOKのディズニーは何を考えているのか、私には「南極物語」を含め、理解できないでいます。 ★本当にこの映画は評判悪いですよね。私も同感です。『ロードオブザリング』を見た後ではどうしてもお粗末にしか見えないのです。 最近のディズニーは完全に独創性を失っていて物まねの商品化に対しての恥ずかしさも芸術家としてのプライドもない感じです。腹立たしい限りです。 「南極物語」に至っては日本で公開するってこと自体信じられません。 コメント ありがとうございました。 こちらこそ宜しくお願いします。 (2006年04月16日 16時38分57秒)
冨田弘嗣さん
> トラックバック、間違って、違う映画を差し込んでしまいました。 ★いえ、「タイフーン」の記事おもしろかったです。せっかくですからそのままにさせてください。 ところで、大戦後日本が北海道と本州に割譲されてしまったという設定の映画(アニメ)がありました。 「雲の向こう約束の場所」で、すばらしい作品でした。ほんとにいろいろ楽しいです。 (2006年04月16日 16時45分11秒)
こんにちは。
レビュー、大変読み応えがありました。 私は4人のこどもたちを世界各地の王とした発想は浮かばなかったので、頷きながら読ませていただきました。 私の中でこの映画の評価は、残念ながら最低ランクです。 原作に忠実に作りすぎたようなので、原作を知らない私には訴えかけるものが何もありませんでした。 アスランが勝手に生き返った部分に至っては、将来王になるべきこのこどもたちは、失うことの辛さを何も知らずに王になるのね…くらいにしか思わなかったです。 また、よろしくお願いします。 (2006年04月16日 20時07分26秒)
まりさん
★こんにちは。 >レビュー、大変読み応えがありました。 ★ありがとうございます♪ >私は4人のこどもたちを世界各地の王とした発想は浮かばなかったので、頷きながら読ませていただきました。 > >私の中でこの映画の評価は、残念ながら最低ランクです。 ★本当にそうですね。みなさん酷評ですよね。子供向けを意識しすぎて戦闘シーンがお粗末なのも原因の一つでしようか。 >原作に忠実に作りすぎたようなので、原作を知らない私には訴えかけるものが何もありませんでした。 ★私も原作を読み直すとどうしてつまらないのかわかるかもと思うのですが、なかなかそこまでいきません。原作自体はすばらしい作品名はずなのですけれど。 >アスランが勝手に生き返った部分に至っては、将来王になるべきこのこどもたちは、失うことの辛さを何も知らずに王になるのね…くらいにしか思わなかったです。 ★なるほど。そんな見方もありますね。 こちらこそ、よろしくお願いします♪ コメントありがとうございました。 (2006年04月16日 20時20分39秒) |
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