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2006年05月18日
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カテゴリ:外国映画 な行
「一生を変えてしまう愛がある」

『THE NEW WORLD』

この映画の宣伝コピーです。でも、私はこの二人の出会いは運命の出会いだったんだと思う。ヒロインのポカホンタスジョン・スミスに出会うことで、みずからの故郷を追われてしまう。そのことにジョン・スミスはとても、悔やんでいる。けれど、本当にそうだろうか。

17世紀初頭、新しい土地を求めてアメリカ大陸にたどり着いたイギリスの船に乗っていたジョン・スミスと、現地に住むネイティブ・アメリカンの長の娘ポカホンタスが出会う。異文明の壁を乗り越えて惹かれあう二人の物語である。

ポカホンタスはとても、好奇心と、知識欲の旺盛な女性なので、たぶん、自分の生まれ育った村の中で一生を送ることに息苦しさを感じていたのではないだろうか。村を訪れたジョン・スミスに彼女はまず、言葉を学ぼうとする。人間には、現状維持型と開拓型の二つのタイプがいるんじゃないかなと思うんだけれど、彼女はまさに開拓型のタイプで、外の世界へ出ることを自ら望んでいたのであろう。そして、たった一人で未知の地へ乗り込んできたジョンの勇気と異文明の社会にすんなりとなじんでしまうその柔軟性と素養に、自分と同じものを感じ取ったのだろう。だからこそ、あんなにもジョン・スミスに惹かれたのだろう。自分を外の世界へ連れ出してくれる人だ。と。

けれど、ジョン・スミスはポカホンタスが自分と結婚することで、彼女をヨーロッパ社会に取り込んでしまうことにためらいを感じた。ヨーロッパ文明の社会の中で、彼女が持つ輝きが失われてしまうことを恐れたのだ。

けれども、ポカホンタスが持つ人間的魅力と輝きは決して西洋世界によって失われることはなかった。後年、イギリスに渡った彼女はイギリスの文明や次々と目に入る新しい知識やモノに目を輝かせてはいても、その勢いに気おされることも尻込みすることもない。女王との謁見にも臆することなくその気品と高貴さで、自らの種族のことを女王にそして、西洋に伝えることもできる。

死んだと思っていたジョン・スミスは実は生きていて、イギリスの地で再会することが出来る。西洋人(ジョン・ロルフ)と結婚し、西洋の洋服を着て、イギリスという西洋文明の中にあっても自らの輝きを失わず、毅然としているポカホンタスを見ることではじめて、ジョンは自分の決断が過ちだったこと、彼女の本質を見抜けていなかったことに気づく。ポカホンタスもまた、自分という人間の本質を本当に見ていたのは夫ジョン・ロルフであったことにきづく。

ジョン・スミスは自らの運命から逃げたのだ。ポカホンタスは身一つになっても、人質という立場になってもそれでも、ジョン・スミスの元へやってきたのに。
もしも、二人が結ばれ、二つの文明の緩衝材となることで、二つの文明の橋渡しの役をすることで、あるいは、この後のアメリカ開拓における二つの文明の激突を和らげることもできたかもしれない。そして、イギリスに渡ったのち、帰路でその命が途絶えてしまったポカホンタスとともに二人でなしえたかもしれない歴史的業績を思うと、あまりにも惜しい。

二人の出会いは早すぎたのだろうか。もしも、二人が出会った時、ポカホンタスがせめて二十歳くらいなら、あるいはジョン・スミスにもポカホンタスの持つ可能性を見抜くことが出来たかもしれない。

自らの人生をかけたはずの恋を失い、廃人同様であったポカホンタスの中になお、彼女のもつ輝きを見つけて妻としたジョン・ロルフこそは実は本当にいい男なんだけど、(しかも、そののち、ポカホンタスがかつての恋人ジョン・スミスに会うことも許してくれてるしね) 惜しいかな、作中では今ひとつ人間的魅力で、ジョン・スミスにかなわない。なにしろ、前半部分でのポカンホンタスとたわむれるジョン・スミスはすんごくセクシイなんだもの。

できればやっぱし、ジョン・スミスと結ばれて欲しかったです。絶対この二人が結ばれると思っていたのに、映画を見ていたら、途中でジョン・スミスは死んじゃって、他の人つまり、ジョン・ロルフと結婚しちゃうんだもん。がびーんて感じでしたかね。見に行く前に公式サイトも見てたし、二人の結婚式も見てたのに、スミスとロルフを見分けていませんでした。なんてこと。


17世紀以降世界へと進出していった西洋文明が、果たして良いことだったのか。悪いことだったのか。その是非はわからないけれど、それでも、その歴史はやはり必然でもあったのだろうか。

この作品内では、アメリカ大陸にやってきたイギリス人はかなり紳士的に原住民のネイティブ・アメリカンと接触していて、それなりに平和的にかかわろうとするのだけれど、それでも、双方の価値観のずれによってやはり衝突はさけられず、うーんこんな風にして、西洋文明とそのほかの文明の衝突は起きてしまうものなのかなと思いつつみてましたけれど。そして、現地のネイティブ・アメリカンの長はいずれ争いになるであろうことも予見してジョンスミスを殺そうとする。それでも、ポカホンタスは彼を助けてしまう。どちらが正しいというより、男の感覚と女の感覚ってこんなフウにちがうんですね。男は危険を感じて自分達を守る事を優先するけれど、女というのはちっょと違う。危険を承知で別の選択をしてしまう。両方の絶妙なバランスがあって初めて世の中って言うのは上手くいくのじゃないですかね。

近年ヨーロッパ文明が行ってきた事の一つ一つを検証し直すような映画が結構作られていて、十字軍遠征とか、植民地開拓とか、いろいろ考えさせられますね。

それにしても、相手のためを思ってした行動が逆効果になることもある。ポカホンタスのために身をひいたジョン・スミスだけど、その後のポカホンタスの喪失感はすごかった。親としてわが子のためにする行為が子供にとって逆効果になったり、本来目指すものとは別の方向に子供を誘導したりなんてありうるよな。むずかしいものです。


さて、ディズニーの『ポカホンタス』も見てみないとね。


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最終更新日  2006年05月19日 10時40分11秒
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