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2006年07月09日
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優位性と劣等感が交錯する恋。

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ベトナムがまだ、ベトナム戦争に突入するはるか前。まだ、フランスの植民地だった時代の物語だ。

まだまだ、のどかでのんびりしていて、そして、汚い。そういうベトナムの風景をたっぷりと堪能することが出来る。アジアはどこも汚い。ホンコンもクーロンも素敵にきたなかったし、サイパンだろーとグアムだろーと、シンガポールだろうと、フィリピンだろーと、魅惑の東南アジアリゾートは、美しいのは豪華ホテルとビーチだけで、空港から移動するとき車外にみえる街中の景色は現代でも、しっかりちゃんと汚い。それは、貧乏なわけじゃなくて、きれいにしようという感覚がないだけの話で、街も家もスペシャルに美しく、整然と整えているヨーロッパといえども、中世まではやっぱり同じように汚くて、ペストに始まる伝染病の蔓延にほとほと懲りた結果のきれいさなのだけど。

だから、アジアの国が汚いのは必ずしも貧乏なせいだけじゃなくて、きれいにしようと思えばちょっとくらい貧乏でも、やり方次第だと思うんだけど、どうも、感覚としてそういうのないんですよね。アジアの国って言うのは。それでもなぜかヨーロッパのようなひどい伝染病がないので未だにそんな風。もっもと最近はインフルエンザだ、サーズだと、騒いでいるので少しは変わっていくのでしょうか。

そういうわけで、画面にでてくるごちゃごちゃーっとした、ベトナムの風景に貧しいんだなとのせられてはいけないんだけど、そんな風景の中に白人の美少女が登場して、なぜに?と思う。

ヒロインの男物の帽子がなんともコケテッシュで、自分の見せ方をよく心得てるなあと思わず関心してしまうのだけど、よく見れば色っぽい靴はすれ切れていて、少しづつ少女の事情が見えてくる。異性に興味ばりばりのお年頃で、しかも好奇心は強いし、これだけの極貧の状況にもかかわらず、フランス人らしく、自信満々なので、あっという間に男がひっかかってくる。

中国人の男の方は、金持ちだし、男前だし、なかなかどうしてと思うんだけど、本人にすれば、仕事はないし、いい年して、父親の言いなりの人生を送っている自分のふがいなさと苛立ちを抱えた彼には、白人でありながら現地のベトナム人の乗り合いバスに悠然と乗っている自意識過剰のフランス娘が魅力的に映ったとしても不思議じゃない。

既に三十代後半なんだから、ちゃんと自分の仕事を持っていれば、こんな小娘鼻にも引っ掛けないというか、目にも留まらなかったと思うんだけど、コンプレックスバリバリの彼には、白人なのに乗り合いバスなんかに乗ってて、それでも毅然としてる彼女はみょーに心にひっかかったらしい。自分にないものを持ってるように見えたんでしょうねえ。

当然程なくして、二人は肉体関係に突入しちゃって、体から始まったはずの関係はどんどん心の中にまで食い込んできて、彼の方は父親の決めた婚約者がいるって言うのに、ヒロインにずぶずぶとのめりこんでいってどうにもならなくなってくる。

十代のみそらで、中国人の愛人なんか作り始めた娘を見て、さすがの母親もコリャいかんということで、本国フランスに帰すことにする。ヒロインの強さがあれば、本気で男と結ばれたいと思えば、こんなのは突っぱねたりできないことはなかっただろうと思うのだけれど、母親の言うなりにフランスに帰る気になるのは、彼女の方はそれほど男にほれ込んでいるわけでもなく、しかも若さゆえの残酷な部分もあって、目の前で自分にほれ込んでどんどんおかしくなっていく男をみながら、結婚後も愛人関係を続ける気も、母親に逆らって、男との関係をつづける気もないみたいである。

二人の恋が周囲から反対されまくるのはまあ、無理もなかろうと言うのは見てれば当然ナンだけど、そして、恋には障害がつき物では有りますが、この恋の場合それがまた、スペシャルです。

白人と中国人、金持ちと貧乏人、そして、年の差。現代社会であれば、たいしたことなさそうだけど、なんせ、植民地下のベトナムですからね。

フランス人にすれば現地の人間なんてとんでもない。というか、白人と東洋人という組み合わせはやっぱり許されないんでしょうねえ。

本来植民地にいる白人てのは金持ちなわけで、基本的には、金持ちの白人と貧乏な現地人という構図。ところが貧乏な白人と金持ちの東洋人。どちらも、優越感と劣等感、を併せ持っていて、足して二で割ればフィフティになるんだからいいジャンというわけにはいかないようで、それぞれの優位な部分と劣等感とが交差して、二人の恋が成立しない見事に絶妙なシチュエーションが出来上がっていて、なかなかどうして、面白くしてくれているんですね。しかも、これが、作家の頭の中で考えた設定じゃなくて、実話、作家マルグリット・デュラスの少女時代の話だって事で更に訴える迫力が倍増しようってものです。

恋愛がお互いのマイナスの部分を取り込むことで成り立つのなら、お互いの優位の部分がその恋を壊すものなのだろうか。

彼が根性無しだったからというより金持ちな中国人だったから、なりたたなかったのか。
あるいはフランス人として、その誇りゆえにベトナムの地で東洋人の妻として、あるいは愛人としてありつづける気など毛頭なかったのか。

彼女の強さはその後の作品群や、この後の続編からも、うかがい知ることが出来そうだ。日本で言うと、作家の宇野千代とそっくりですねえ。

なんのしがらみにも捕まることなく、自分の思うままに生きる女性作家たちだけれど、おのれの本心だけはどうにも捕まえることも把握することもできず、自分で自分の望むものがなんなのか、わかりえないまま先に進んでしまった結果、自分がついうっかりなくしてしまったものに、後々になって気づくハメになるというのも皮肉な話だなあと思うわけです。

恋はやっぱりなかなか思うようにいかないものです。それはどんなに自由な魂をもってしても。



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最終更新日  2006年07月09日 08時59分32秒
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