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2006年08月08日
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三谷幸喜の『ラヂオの時間』を見たばかりの時はたいした感想もかけず、ただ、おもしろかった、質のいい笑いが増えていくのはいい事だとだけ書いた。
しかし、その後、いろいろと考えていくうちに「なるほどな」と思い始めた。

三谷幸喜がなぜ自分で映画を作り始めたのか、ということだ。本来は喜劇作家、シナリオライターである。そのまま、シナリオだけ書いてるほうが、たくさんの喜劇作品を世に送り出せるはずだ。にもかかわらず、なぜ自分でメガホンを取るようになったのかといえば、せっかく書いたシナリオが他人の手に渡った途端、全く自分が意図したものとは別のものになってしまうから、なのだろう。

せっかくのセンスのいい微妙な笑い。今までの日本の下品な笑いとは違うもの。彼が書きたいのはそういう微妙に品のいい笑いだ。しかし、他の監督にその作品を渡した時、彼が表現しようとした笑いや作品のテーマが映画制作の過程で明らかに違うものに変わってしまう事に、歯がゆさと、いらだたしさ、腹立たしさを覚えたから、なのではないのだろうか。だから、あえて、彼は映画監督という仕事を始めたのではないかと思う。

原作があってそれが映画化なり、ドラマ化なり、舞台ナリになれば、演出上どうしても、原作とは、微妙に設定や、セリフをかえたり、エピソードを新たに入れなければならないものだ。しかし、最近の日本映画界の映画化の状況はひどいなあと思う。とにかく、最近見る映画はどれもこれも、原作からかけ離れていくばかりである。

『デスノート』しかり、『ブレイブストーリー』しかり。そして、『ゲド戦記』しかり、である。

そして数々の映画評ブログを読んでいると、大体不評である理由の大半が「原作とちがっている。」というところにある。

なぜか、最近は原作どおりでないものが多い。監督なりのオリジナリティを表現したいらしい。しかし、それなら、なぜ、原作つきの映画ではなく、自分で一から、ストーリーや、キャラクター設定を考えて映画を作らないのだろう。その方がよっぽど、自分のオリジナリティを表現できるのではありませんか。

はっきりいって、観客は原作どおりに作られた映画をこそ熱望しているのである。原作のオリジナリティと独特の世界にほれ込んで、その世界が実写やアニメとなって、ほれこんだキャラクターや、登場人物たちが、映画のなかで、動くそれこそが見たくて観賞しに来るのである。

実際、原作つきの映画の場合、特に売れ筋のマンガや小説の場合、原作者が作り出した世界をいかに忠実に映画化しているか。そこがファンの望むところであって、はっきりいって監督がだれかとかも、知らない、気にしていない場合も多い。映画化において、監督のオリジナリティなんか見たくもないし、どうでもいいのである。

それなのに、昨今なぜこうも、原作を無視して、原作の設定と一部のストーリー、一部の世界観だけを借用して、自分の勝手に作った話を製作するのだろう。

原作者が、その物語を作りだすために、キャラクターや、世界観や、細かいエピソード作りにどれほど、心血を注いだか、わからないのだろうか。著作権料や、版権のための使用料さえ払えばもう自分のものなのだから、どうしようと、勝手だと思っているのだろうか。
そこには。原作者に対しての敬意も思いやりも感じられない。

観客は、いかに、原作の世界観をスクリーンの上に正確に忠実に再現してこそ、その監督の技量をすばらしいと思うものなのだ。

それはつまり、受験における、国語の読解問題に似ている。国語の問題において、問題製作者は、回答者本人の感想や意見を聞いているのではない。回答者が出題文のなかで、その文章を書いた作者が何をいいたいのか、それを回答するものがきちんと読み取れて、理解できたかどうかを聞いているのである。

そういう意味で、原作を無視して、まるで違う話にしてしまうイマドキの映画監督達というのは、中学生、高校生レベルの国語の問題も解けない、学校では、国語の成績はとても、わるかったノータリンなんじゃないかと思う。いや、ちょっと言いすぎですかね。

だから、今回めちゃくちゃ不評の『ゲド戦記』だって、とにかく、三巻あたりをひたすら、原作に忠実に、原作どおりにアニメ化していれば、大体「ゲド戦記の世界を見事に再現したすばらしい作品」、「ゲド戦記に対しての監督の愛情と敬意を感じる秀作」くらいの評価がついたはずだと思う。そうであれば、少しくらい絵が失敗してても、俳優の声がおかしくても、ほとんどそのあたりはまあいいんじゃないですかという事ですんでしまったと思うのだ。

原作を映画にすることの意味をもう一度映画界は考えて欲しい。そして、観客が何を求めているのかも、きちんと理解してほしい。

『ハリー・ポッター』や『ロード・オブ・ザ・リング』が好評価をえているのも、原作にかなり忠実な映像化ゆえなのである。


だから、『ラヂオの時間』の中で、俳優や、スポンサーや、ディレクターの都合やわがままによって、シナリオがどんどん変えられていくストーリーは喜劇として描かれてはいるけれど、そういう今のメディア界への三谷幸樹の痛烈な批判なのだろう。三谷幸喜は次回作も自分でメガホンを取らざるを得ない。

そして、ルヴィンのすばらしい小説がすばらしい映像になる日は遠い。

だからね、吾朗ちゃん。世界的に有名な小説家が作った話と、昨日今日監督になったポッとでの新人が作った話と、どっちの方が面白くていい作品かくらいわかってもいいはずだと思うよ。



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最終更新日  2006年08月08日 13時50分48秒
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