テーマ:映画館で観た映画(8350)
カテゴリ:映画★アニメ
ネットの評判というのはすごいものだ。 評判どおりすごくよかった。今夏のアニメ映画作品としてダントツの好評価。 確かにさもあり何という感じである。 絵がものすごくうまくて、美しかった。 なにしろあの崩壊した『ゲド戦記』を見た後なのでなおさらです。 またまだ、アニメ界にはこんな絵が描けるアニメ監督がいるんじゃないか。 私は今回始めて細田守という名前を認識したんですけどね。 美大を出て、東宝に入って、そこから、ジブリに出向したんだそうだ。そこで途中までかかわったのが、『ハウルの動く城』だそうだから、作中にでてくる 「未来でまってて」 という言葉と、こちらの『時をかける少女』の作品の中の 「未来で待ってる」 という言葉がつまりおんなじわけでして、細田監督が『ハウル』でできなかったことをやっと完成してみせた映画なのかも知れませんね。 アニメ映画のこれからを考える時、アニメ映画がもつ最大の呪縛はその発端が漫画映画であり、とにかく子供向けでなければならないというところにあるんだろうなと思うわけだけど。 アニメが子供向けに作られるのは、子供という観客が必ず母親ないしは、付き添いというもう一人の観客をともなうもので、つまり普通の倍の観客数を見込める。その上、夏休みにやれば、ふだんすいててガラガラで困りものの平日に集客ができるという、映画会社にとってはこのうえなくありがたい条件を持ち合わせているところにある。 だから、映画会社はアニメ映画が作りたいのではなくて、子供うけするアニメ映画が欲しいのである。 子供うけするとなれば、やはり主人公は子供でなくてはならない。 『ゲド戦記』が今回こんなストーリーになったのも、どうしても主人公を子供にしなければならないというシバリのせいもあるということだ。 けれど、主人公を子供にすれば、どうしても、主人公の行動や考えることに限界が出てくる。所詮十歳前後の子供ができることなんて限界があるのだから、その条件下で躍動感のあるおもしろいアニメを作るのもつらいものがあるだろう。 その上アニメをみて育った世代が大人になってき始めていて、作る側もまた、アニメ技術、アニメ文化がレベルアップしていく中で、映画会社の求めるような従来の子供向け路線のアニメ映画を作り続けることにも限界が出始めているのだということに、はたして、映画会社側は気づいているのだろうか。 『ゲド戦記』や『ブレイブストーリー』が今ひとついい作品になりえない原因も実は作る側の力量だけではなくて、こういう日本アニメ界の現状にもあるのじゃないだろうかと、『時かけ』を見ながらつくづく思いました。 『時かけ』は主人公が高校生。原作のとおりです。前作原田知世の『時かけ』は角川がうまかったから、子供の集客ができたかもしれないけれど、アニメで主人公が高校生となると、子供の集客はちょっと苦しい。 しかしじゃあ現役の高校生が『時かけ』というアニメを見に来るものだろうか。アニメファンは除くとしても。一昔前なら、アニメやSFは、若者文化だったと思うけど、今の世代の若者はすでにアニメとか、SFとかに対しての興味は昔ほどではなさそうである。 その一方で漫画アニメを育った世代が大人になっていて、漫画やアニメは昔よりはるかにその存在というか、社会的地位は高くなっている。 そして、作る側もまた、子供向けではない、普通の実写映画とかわらない大人向けのアニメーションを望み始めているのだとすれば、映画会社は今ここで、『ゲド戦記』の失敗もふまえて、アニメのあり方これからの対し方、観客をどのあたりに予想するか、考えたほうがいいんじゃないのかなと、そう考えました。 というわけで、今現時点では、難しい立場にある『時かけ』ですが、大人でも十分楽しめる非常にレベルの高い作品です。高校生はこれみてどう思うのかな。 つづきます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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うわ~☆すごく観てみたくなりました。
そうですよね。今社会の中軸を担う世代はまさに漫画・アニメで育った人たち。 今までの子供だましのようなものでは満足できないレベルのものを求められていると私も思います。 漫画やアニメは一段低い物としてみられていたのはもう大昔の概念ですよね。 表現の手段のひとつとしてみれば最も万人に受け入れられやすくメッセージも伝えやすいものだと思います。 シェアも世界的規模で考えられますしね。 ああそれにしてもcivakaさんのレビ読んですごくすごーく「時かけ」観たくなっちゃいました!! (2006年09月12日 11時25分35秒)
時かけは、私たちの世代だと、大林監督の尾道3部作の一つで、原田知世のイメージだよね
だからアニメって聞いたとき、どうなの~~?って思ってました そんなに良かったんだぁ♪ (2006年09月12日 12時30分26秒)
実写じゃ難しいところがアニメでは存分に描かれていたんですね。あーみたい。DVDが準新作になったら見ます。←(あっ、パンチして下さい。)
(2006年09月12日 16時31分16秒)
EBさん
>うわ~☆すごく観てみたくなりました。 ☆ふふふ。そうでしょー。なかなかの傑作でしたよ。 >そうですよね。今社会の中軸を担う世代はまさに漫画・アニメで育った人たち。 >今までの子供だましのようなものでは満足できないレベルのものを求められていると私も思います。 ★だってネットやブログで酷評書いてるのだってみーんな大人ですからね。結構大人が見に行ってるわけですよ。 >漫画やアニメは一段低い物としてみられていたのはもう大昔の概念ですよね。 >表現の手段のひとつとしてみれば最も万人に受け入れられやすくメッセージも伝えやすいものだと思います。 >シェアも世界的規模で考えられますしね。 ★何年もかけて育ててきた、漫画アニメはいまや日本を代表する文化ですからね。外国のどんな面白いものも日本の漫画にはかなわないと思ってます。 損でもって漫画って読みやすいし、わかりやすいし。 >ああそれにしてもcivakaさんのレビ読んですごくすごーく「時かけ」観たくなっちゃいました!! ★やった。上映してるところ少ないけど、時間がとれたら、どーぞ。 (2006年09月13日 07時47分10秒)
ミントティ (u_u*)さん
>時かけは、私たちの世代だと、大林監督の尾道3部作の一つで、原田知世のイメージだよね >だからアニメって聞いたとき、どうなの~~?って思ってました >そんなに良かったんだぁ♪ ★大林の「時かけ」にぜんぜん負けてないですね。 シナリオもすごくよくできてます。おりじなるストーリーです。だから、新鮮に楽しめました。 (2006年09月13日 07時48分46秒)
ぴすけっとさん
>実写じゃ難しいところがアニメでは存分に描かれていたんですね。あーみたい。DVDが準新作になったら見ます。←(あっ、パンチして下さい。) ★いや。上映してるところすごく少ないので、やっぱりDVDに待つの待ってるしかないかも。あとは、ネット上映とか、待ってるしかないですね。 いい作品なんですけど、大手映画会社が買ってくれなかったみたい。 これからはいい作品が気軽に見られるようになってほしいものですね。 売りせんばかりが幅をきかしてるんだもの。 いつかみてくださいねー。 (2006年09月13日 07時51分01秒) |
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