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ふつうの生活 ふつうのパラダイス

2006.10.19
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カテゴリ:日本映画
生涯忘れられないほどの相手に出会えるのなら、

たとえ、それが悲恋であったとしても、

人生の大切な宝石を手に入れたようなもの。

それは一生心の中で輝き続けるに違いない。



はっきり言って、私はめちゃうらやましいです。

江戸時代なので、好きな相手と結ばれないのは、仕方ないというか、そもそも好きな相手と結ばれるほうがめずらしいという時代なので、そのこと自体はまあ、普通かな、と、そう、思うわけですが。

それでも、できればやっぱり好きな人と結ばれたいよね。しかも、この物語の二人は家格もほぼ同じくらいの幼馴染なので、あんな事件さえなければ、結ばれていたかもしれないわけですし。

あこぎで強欲な家老と我が子だけがかわいい権力家の側室によっておこった跡継ぎ騒動にかかわり、切腹に追い込まれた文四郎の父。

武家としての仕事も失われ、ぎりぎりで、文四郎の家はおとりつぶしにならず、何とか暮らしていた文四郎に、ある日件の家老から呼び出しがかかり、復職となる。
しかし、そんな喜びもつかの間。

幼馴染のフクは殿の側室となっており、フクの生んだ子供をきっかけに再び跡取り騒動が起こり、文四郎もまた、巻き込まれていく。

家老にフクの生んだ子供を盗み出してくるように言われるが、文四郎は、一連の状況をフクとその側近に伝え、なんとか、フクの子供を助け出そうとする。

フクの屋敷に踏み込んだ家老側の侍たちとの激闘の後、フクたちを助け出すことができる。

その後、己の欲得のために人の命など気にしない家老にせまり、親子二代にわたる怒りを家老にぶつけるシーンが爽快。

彼もまた、父と同じ事件に巻き込まれたことで父の気持ちに触れることができただろうか。

文四郎自身のかかわった事件を通して、前半では描かれなかった文四郎の父の行動、父がつら抜こうとしたというものが見えてくるという二十重ねのような物語なのである。

ラスト、二人は最初で最後の告白をする。それぞれに自分が相手を恋い慕う気持ちの、その婉曲な表現がなんとも絶妙でみごとである。

木村佳乃の気品あふれる美しさとともに、二人がかわす言葉の一つ一つが美しい輝きとなって画面を流れていくようでした。


「あなたのお子が私の子で私の子があなたの子であるような、そんな道はなかったのでしょうか、と。」



ところで、物語の冒頭にこの二人が夫婦として登場しているというオツなシーンがありました。夫婦であったかも知れない二人が、夫婦になれなかったのは、たった一人のないしは二人の人間の、ただの欲望のせいでした。

けれど、ソコまで悪意がなくとも、普段の何気ない行動が、誰か知らない人のあるいは身近な人の人生をかえてしまうかもしれない。ハンドルの切り間違いや、一瞬の判断ミスや、このくらい大丈夫といった過信。酒という欲望との葛藤。人の運命を変えるのは実は神ではなく人なのではないのかと、なるほどと思った一瞬でした。


最後にですが、一番最後の文四郎のキメゼリフが、予告編に使われていて、レンタルやさんでも、デモがずいぶん流されていたので、私はすでに覚えてしまうくらい何度も見て、聞いちゃってるので、「感動がうすれるじゃないかー」と言いたいです。
最後の最後の感動のシーンを予告編に入れたり、デモで流したり、そんな、映画会社自ら、映画のネタばれをするようなことはやめてください。
せっかくのいいシーンがすでに何度も見てるとなると、興ざめするし、感動しが薄れるし、やめてくれといいたい。のです。

ほかにも、映画の中のクライマックスの一番いいシーンとかを予告編に入れたり、最近そういうの結構あるよね。なんで、映画会社自ら、ネタバレするかな。いったい、宣伝部は何を考えてるのか。売れればいいんですか。製作側はせっかくがんばっていい作品作ろうとしてるのに。


「忘れようとしても、忘れ果てようとしても、忘れられるものでは、ございません。」

市川染五郎さん、名演でした。

あ、あたしもネタバレしてルなあ。


公式ページです。



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最終更新日  2006.10.19 11:12:14
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