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2008年09月22日
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カテゴリ:外国映画 ま行
人が常に正しい判断をし続けることなんてできないんだよなあと、つくづく思った。

どんなに理性的で、冷静で、学問をしていても、いつもかなり正しく考えることのできる人だって、半永久的にに正しい判断をし続けることなんて、できるわけ無いんだよね。人間なんだから。

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以下ネタバレしてます。

嵐の抜けた朝、湖の向こう側に現れた霧(ミスト)は、やがて、町をおおい、その霧の中には、今まで見たこともない、恐ろしいモンスターたちが潜んでいた。

町に買い物に出かけた先で、ミストに覆われ、大きな食品スーパーに篭城することになる町の人たち。店から出て、ミストの中に入れば、モンスターに殺されてしまう。

その中で、家に残してきた二人の子供のために、ミストの中に入っていってしまう女性。

聖書の言葉を語り、人々を狂気の妄信の世界に引き込んでいく女性。

理性的な判断力と勇敢な行動力で、徐々にリーダー的な存在となっていく主人公。

何とか二日間を乗り越えては見たもののこのままにこの店の中にいても助からないのではないか、世界はあの異世界からやってきたモンスターたちによって、滅ぼされてしまうのかもしれない。数人の同志とともに、店を抜け出して、ワゴンカーに乗り、南へと逃亡を図る主人公。けれど、ミストから抜け出さないまま、ガソリンもなくなり、銃弾による死を選ぶ。玉(銃弾)が足りないために最後にたった一人自殺もできずに残った主人公は、モンスターに食われるしかないのか。

けれど絶望の極地のその時、北からやってきた助けによって、あれほどの脅威に見えたミストもモンスターもあっさり排除され、取り払われる。主人公は助かったのだ。けれど…。

今までのパニック映画なら、勇敢な主人公は、南に逃れて数名の同行者とともに助かるといストーリーだったのだと思う。パニックに半狂乱になり、冷静に判断力を失う人々、普段の行動や言動とは裏腹に、いざモンスターを目の前にして立ちすくみ、あるいは、殺されてしまう人々。その中で、勇気と理性をもった主人公だけが、常に正しい判断と選択をして、助かる。そういうお話だった。

けれど、この物語では、主人公の判断は、常に正しくはない。それはそうだろう。だって、人間なんだから。


すこぶる分かりやすい物語で、たくさんの宗教的な教示や、自己犠牲の精神も、語られているんだけれど、私が、この作品で一番感じたのは、この、人のする判断は常に正しくはないということだった。

いろいろと、深みのあるストーリーで、ただのパニック映画ではない深さやテーマ性は、お見事。説教臭くなく、道徳っぽくなく、見ているものを納得させるんだけれど、それ以上にいろいろ考えさせられる映画だった。

「大学出のお前より俺たちの方が勇気があるぞ」っといって、無理にミストの中に入っていって、殺されてしまう、学歴コンプレックスの部分。その一方で、学歴があって、弁護士である男がいざとなると、自分勝手な思い込みで行動して、みんなのために行動してもくれなかったり。高齢の女性が勇敢に戦っていたり。小太りの男が全米競技会で優勝したこともある銃の名手だったり。

学歴も学問も資格も年齢も見た目も、人を本当に正しく評価する材料にはならないようです。

そして、そんな中で、モンスターと、戦うために、勇敢な行動をし、人々を導いて、正しい判断力と、行動力を持っていたように見える主人公が、けれど、最後までみていくと、必ずしも、正しい決定をし続けていたわけではないことも分かる。

南に逃げたけれど、助けは北からやってきた。南に逃げずに北に向かっていれば、あるいは、あのまま、あの店に残っていれば、あるいは、車が止まってしまった後も、最後のぎりぎりまで、自殺せずに生き残っていれば、助かったかもしれない人たち。

勇気ある行動でリーダーであったはずの彼が、店の中にいる他の人たちを見捨てて、数人の仲間とともに、立ち去ってしまったり。

町がミストで覆われた時、店の中に留まることがその時点では一番正しい判断に思えたのに、その中を子供のために自宅に帰っていった女性は子供たちとともに、助かっていたことがラストになってわかるのだ。その時は正しいと思える判断も、本当に正しいかどうかは、わからないものなのだ。

自分をなげうった時、助かるという部分もある。聖書の言葉を語り、人々を顫動して、最後には殺されてしまう女性も、モンスターに襲われた時、覚悟を決めてじっと、身を任せた時には、助かっていたりする。最後のシーンでは、五人なのに、四つの銃弾。それを他の人たちに譲って、自分は、モンスターに殺される覚悟で残った主人公だけが、生き残ったり。

で、そんな、いろいろなキリスト教的な自己犠牲の精神とともに、最後に生き残る主人公。けれど、愛するわが子は、既に死んでいた。正しい判断があれば、助かったかもしれないけれど、それは、やはり、無理なんだろうなあ。と、思う。

正しい判断のできるリーダーを選んでみんなそれに従っていけば、楽だけど、そのリーダーが常に正しい決定をしてくれるとはかぎらないんだから、やっぱり、常にみんなでいろいろ考えた方がいいんだけど、みんなが考えて決定することが正しいともかぎらないし。

人間はいっぱいいるんだから、みんなが勝手にいろいろ考えて行動しているどれかは、正しいこともありうるので、たまたまその正しい決定を運よく選んだ人なんかが、何とか生き残る。そうやって、人類は、生き残ってきたのかも。

大統領や総理大臣が決めたことがはずれることもあるわけで、そうすると国民は批難ゴウゴウなんだけど。お医者さんが医療ミスをしても、今は裁判沙汰で大変なんだけど、毎日仕事していれば、どうしたって、ミスはありえるわけだし。仕方ないんだけど。

映画の中でも、軍の科学者の研究の途中でミスをしたために、異世界の扉がひらかれて、モンスターがミストともに、現れる。それを知った店の中の人たちは、たまたまそこで生き残った軍人に対して、怒りをもってその軍人を刺し殺し、その死体をモンスターのいるミストの中に投げ込んでしまう。そうやって、人は誰かに責任を追わせたりする。パニックの中では、なおさら、人は、冷静さを失っていく。
ただの一軍人に、軍隊のやったことの責任なんてもちろんあるわけないし、本当はそんなこと誰でも分かるのだけど。

映画の中でいろんな人がいろんな行動を取る。その行動が正しいのかどうか。映画は最後まで見ないと、わからない。

正しい判断や、決定が出来るとは限らない。後悔の無い人生もありえないのなら、その時一番だと思う選択をするしかない。

一人の人間が常に正しい判断をし続けるなんてできるわけないのだ。

「衣食たりて礼節を知る」とか、「君子危うきに近寄らず」とか、「身を捨てて浮かぶ瀬もあれ」とか、映画を見てて、いろんな言葉が思い浮かんでしまいました。
日本にも、宗教はあんまりないけど、いろいろためになる名言があるもんですね。




               

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最終更新日  2008年09月22日 20時26分59秒
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