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ふつうの生活 ふつうのパラダイス

2010.05.14
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カテゴリ:外国映画 は行
大賞をとるほどの作品が、なぜ日本公開されなかったのだろう。
そして、上映館もとても限られていて、観客もすこぶるすくなかった。
戦地での爆弾処理班の活動と主人公の心の変遷を追いかけていく、ハードで、地味で、でも嘘くさい派手さのない映画は、それなりに面白かったと、思う。

戦場で、生き残るのと、普通の日常の社会の中で生き抜いていくのと、いったい、どっちが大変なんだろうかと、ふと、考えてしまった。

普通であれば、戦場の方が過酷であろうと、誰もが思う。
実際私も、戦場なんて、行きたくないし。

でも、けれど、実際のところ、平和であるはずの普通の社会の中であっても、生き延びて、生き続けていかなければならないのは、それはそれで、それなりに、結構過酷でしんどいことだ。と、思う。
実際そのハードさに、自殺する人々も何人もいるじゃないか。

ラスト近くになって、主人公は、爆弾処理班として、イラクの地での過酷な任務を終えたあと、平和な本国に戻ってくる。休日のスーパーでの買い物。何気ない平和でのどかな日常。
けれど、その巨大スーパーの中で、フロアの端から端まで並ぶ、シリアルを見たとき、主人公はどれを選んでいいのか戸惑う。
物の溢れる巨大スーパーの中で、欲しいものも見つけられない。
大きなカートのなかには、一つか二つしか入っていない。

すべてが平和で自分の意志で選びとって生きていける、
いや、生きていかなければならない、平和な生活は、あるいは、戦場以上に過酷なんだろうか。

戦地にいれば、すべての食料も、住まいも、衣服も、仕事も、すべて、軍から与えられる。そこに、選択肢も、迷いも、戸惑いも、ない。ただ、死への不安だけがあるだけ。

任務を終えて、本国に戻った主人公は、ラスト、結局また、戦地にと戻ってしまう。常に死と隣り合わせで、生き残ることに必死のハズの戦場が、主人公にとっては、平和な本国よりずっと、生きていくのが楽なところだったのだろうか。

平和で豊かな今の現代社会。
それでいながら、その選択肢の多さと、本当はとても、過酷で、仕事につけなければ、いつ路頭に迷い、住まいも金も食べ物もなくなって、生き続けることができなくなってしまうかもしれない過酷さは、普段はなかなか見えなくて、気づかないけれど、

とてもとても、きつくて、 きびしいところだったりする。

タイトルのハートロッカーは、ココロが壊れた人ってことらしい。
せっかく平和な本国にもどってきたのに、戦場のスリリングさが忘れられなくて、結局また、戦地に戻ってしまう人たちがいるらしい。平和な社会に暮らす私たちからみれば、スリリングで人殺しの当たり前な戦場の方がいいなんて、壊れてると、思うけれど。
では、彼らの心の中には、何があるんだろう。

ちょっと前に話題になった映画「父親たちの星条旗」でも、メインキャラクター3人のうちのひとりは、本国での暮らしの辛さにもう一度戦地もどってしまった。そんな部分があった。かれは、戦地の快楽をもとめたのではなく、苦境の中で仲間同士助け合っていく温かさの方が、平和でありながら、他人を見下し厳しくせめぎあっていきていかなければならない、本国の暮らしよりずっとずっと生きやすかったのだろう。

戦地から本国に戻って、また、戦地にと戻ってしまう兵士たちの、心のなかには、何があるんだろう。彼らの心を破壊したのは、戦場の快楽なのか、それとも、平和でありながら実はとても過酷な人々のどよめく本国の普通の暮らしの中なのだろうか。。



     











最終更新日  2010.05.14 23:39:40
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