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カテゴリ:サスペンス・ホラー
ブラック・アゲート 上田早夕里 著 どこかの島を舞台に、人間より大きな巨大アリから逃げる映画を大昔観た記憶があるが、タイトルが思い出せない。小さなアリの大群にビルの屋上まで追い詰めらて、最後は全身をアリにおおわれて、それでもじっと耐えるシーンが記憶にあるが、こちらもタイトルが思いだせない。 アリというと、近年ヒアリが日本上陸したと話題になったが、最近あまり聞かなくなってしまった。まだ繁殖しているのだろうか? とにかく、どこに潜んでいるのかわからないってのは怖いものである。 この本では、アゲート蜂という蜂の存在が一つ目の脅威。この蜂は人の身体に卵を産み付ける。蚊に刺されたように痛みもなく、人は刺されたことに気づくことはない。やがて卵は幼虫なり、大量の蜂が皮膚を食い破って一斉に羽化するのである。もちろんその前に人間は死んでしまうのだが、その過程で人間は狂暴になり人を襲ったりもする。蜂症というのだが、ゾンビものによくある展開だ。この蜂症を発症した人間が二つ目の脅威だ。 日本列島はすでにこの蜂の猛威に晒されている状態。しかし一部の離島では蜂の上陸は確認されていない。 そんな離島の一つ、鰆見島がこの話の舞台である。 ある日、とうとうこの島でアゲート蜂の大量羽化が確認される。島民の検査を行うと、なんと主人公の娘がすでに蜂症に感染していることが発覚。本土のとある病院で治療可能という情報を得た主人公一向は、本土を目指そうとするのだが、感染拡大を防ぐための治安部隊AWS対策班が彼らに立ちふさがる。 このAWS対策班が三つ目の脅威。彼らは重火器の使用を許可されている。そして本当に撃つ。 娘の発症までのタイムリミットがあるなかで、彼らは無事島を脱出できるのか!という感じのお話。 そもそも、この島のアゲート蜂は本土から持ち込まれたわけで、AWS対策班もいまさらここまでやる必要あるのかなーと、疑問に思うところもあるわけだが、彼らも大切な人を蜂症で失ったり、また守りたいという信念の中で任務を遂行する人達なので、なかなか複雑な気持ちで見てしまう。 日本もずいぶん気候が変わってきているので、変な生き物や病気が蔓延しないとも限らない。近い将来この本に書かれているような事が起こらないとも限らない。そんなふうに考えて読むと、心霊ものより怖い話かもしれない。 異常に暑いこの夏おすすめの逸品である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Aug 29, 2018 05:19:14 PM
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