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2018年12月13日
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おはようございます、ひなこです。


シーン77.裏部屋/聖具室。早朝。
クローズショット:デイヴィッド。壁にもたれかかっている。それから起きだす。辺りを見渡し、それからリラックスする。裏部屋は狭く何もないむき出しの部屋。教会の不用品の奇妙なあれこれが置いてある倉庫のような場所。だが我々はまだそれに気づく必要はない。壁の一つに全身を映す鏡が立てかけてある。床の上には、マンリーがいたことを証明する品々が転がっている。片付けられていない見捨てられたキャンプ場みたいだ。簡易ガスコンロの上に中華鍋が傾いて乗っている。幾つものスプーンにへら、空の皿、瓶や包みが散らばっている。

デイヴィッドは、日酔いで目覚めた人のよう。深くため息をついて、首の後ろを摩る。突然シャツの穴のことを思い出し、夜のうちに穴が亡くなったことを期待して、穴を確認する。疲れたように立ち上がる。指で穴をいじくりまわすことに心を奪われているが、視線は部屋の中の何かを探している。

視線:デイヴィッド。

肉片が3つか4つへばりついている中華鍋。ちょっとした好奇心から、中華鍋に近づきその傍らに跪く。中華鍋から1つ肉をつまむ。ナメクジみたいなので、デイヴィッドは注意深く取る。
更に注意深く顔の近くに持ってくる。強烈なひどい匂いが襲い掛かる。しかめっ面をして、肉を遠くに投げつける。それから、又ため息をつき、前方を空虚に見つめる。未だシャツの穴をいじりながら、入口に移動。きょろきょろ何かを探し続けている。入口の向こうに聖具室のドアが見える。今は少し開いている。裏部屋の入口の床が映る。そこにデイヴィッドはの探していた物がある。彼のジャケットだ。白い粉のような灰の中にある。

デイヴィッドは自分のジャケットを拾い上げ、灰をできるだけ落とし着る。肩の辺りに大きな焼け焦げた穴がある。それに気づき落胆する。ジャケットの穴に指で触れる。その時、裏部屋の何かに注意を引きつけられる。肩の焼けた穴がまるで傷口であるかのように手で押さえながら、裏部屋へ戻る。

デイヴィッドが見たのは全身が映る鏡。壁に立てかけられて忘れ去られている。デイヴィッドは、鏡の前に立ち、ジャケットの焼け焦げから手を離す。自分の姿を無表情に見つめる。それからため息をつき、肩をすくめ、向きを変え、もう一度首の後ろを摩る。

シーン78.ロンドン中心部。早朝。
ロールスロイスが朝の通りを走る。

終。

(1987年放送。プロデューサー:アン・スキナー。ディレクター:マイケル。ホワイト。
スクレべ・プロダクションズのご厚意によりGRANTAにおいて初めて公開された)


いかがだったでしょうか。
マンリー、カーターの名前覚えてあげなよー。
金持ちなんだから、デイヴィッドのジャケット代くらい弁償してあげなよー!
日本の、「実るほど 頭を垂れる 稲穂かな」を思い出したわたしです。

ご機嫌よう!





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最終更新日  2018年12月13日 07時30分08秒
[サー・カズオ・イシグロ作品の翻訳] カテゴリの最新記事



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