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2020年05月31日
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おはようございます、ひなこです。

やすこと私は、長崎の中川という地域で一緒に育ちました。
既に言及した通り、やすこは家の中で時間を過ごすことを好む、大人しい女の子でした。
あの当時は戦時中でしたから、彼女も大変な暮らしを余儀なくされました。
彼女は、工場での生活に馴染めなかったので、より気の強い女の子達は彼女をからかいました。
また、彼女のお兄さんが戦争が始まってすぐ戦死しました。
お兄さんの死は悲劇でありましたが、その僅か3年前に、彼女は癌でお母さんを亡くしていたので、なお一層残酷なことでした。
そして、彼女の婚約者が太平洋に出征していたので、彼女の苦しみは続きました。
毎日毎日、届かない手紙を待ちました。
戦時中、彼女は私の家からそう遠くない、街を見下ろす休火山へと続く曲がりくねった山道の横の一軒家に、彼女の父親と一緒に住んでいました。
何週間も便りがない時は、何度となく彼女が家にこもって大人しくしていたのを覚えています。
多分、彼女が、手紙が途中で消失したとか、遅配したとかなにか苦情を言って、私が慰めたように思います。他の可能性はもちろん言及せずに。

彼女のお父さんには、子供の頃からずっと好感を持っていました。
彼の目の周りには、いつも優しさがあり、彼の娘同様、親切で物腰の柔らかい人でした。
やすこのお父さん、つまりキノシタのおじさんは、特に穏やかで、その存在に安心させられる何かがあり、私は彼と一緒にいるのをいつも嬉しく思ったものです。

続く。





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最終更新日  2020年05月31日 07時00分08秒
[サー・カズオ・イシグロ作品の翻訳] カテゴリの最新記事



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