カテゴリ:サー・カズオ・イシグロ作品の翻訳
おはようございます、ひなこです。
8月5日 今日は1日中、ナオミにエサをやらなかった。 ナオミはずっと僕にまとわりついてたけど、僕は無視してた。 ナオミが自分の身の程を知るためにだ。 僕が世話して当たり前なんて思うべきじゃない。 もし僕がいなかったら、あいつはまだ道の向こうで新聞紙かなんかに包まってたんだ。 台所の引き出しの中に鍵を見つけた。物置の南京錠の鍵だ。 物置に入って、中を見回してみた。 ほとんどの物は、パパの物だった。本とか箱とか、そんな物。 本は、どれもそんなに面白そうじゃなかった。 でも、片隅に積み上げられていたエッチな雑誌を沢山見つけた。 すっごく古い雑誌。 女の人の性器とかは写ってないやつ。 何冊かを庭に持ち出して、2、3時間読んだ。 8月9日 ここ何日かは、そんなに退屈してない。 ナオミとするゲームをあみだしたから。 ナオミの首輪に紐をつける。 そして、ナオミのお皿にエサを入れて、ナオミが食べに行こうとすると、僕が紐を握って、皿まで到達できないようにする。 そうすると、ナオミはすごく騒いて声を出す。 しばらくすると、僕は餌を冷蔵庫の中にしまう。 お腹が空いている時じゃないと、僕と遊んでくれないから、それが一番良いんだ。 庭で、雑誌は全部読んじゃった。退屈な時は、台所に戻って、冷蔵庫から餌を出して、又、ナオミとゲームをして遊ぶ。 長い紐を使って、ナオミが本当に腹を空かせるまで待つのが1番面白い。 だって、紐が長いと、ナオミは猛ダッシュで餌まで走って行くんだけど、紐がぴんと張ると、餌の手前でぐいって引っ張られてしまうから。 雑誌はすごく良かった。肝心なところは見れないけど。 この女の人達の中で誰か、淋病になった人はいるのかな。エディーの兄さんみたいに。 何人かは罹ったよな。だって、こんな奴らは皆、売春婦かストリッパーかそんな連中だから。 そんな病気にかかった様には見えないけど、エディーの兄さんだってそう見えないものな。 毒がまわるにはちょっと時間がかかるんだ。 また今日も、じっくり自分のちんちんを見た。僕はまだ大丈夫。 続く。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年06月25日 08時57分18秒
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