1450062 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

白鵬翔 07年NEWS35

 中日 3月 9日目
<抜粋> 白鵬単独トップ!!!
白鵬のエンジンがかかってきた。初日に稀勢の里に土俵際で不覚を取ったものの、2日目以降はギアを徐々に上げて、大関栃東との1敗対決で完勝。8連勝をマークし、一気に勝ち越しだ。白鵬は「左上手は簡単には取らせてくれない。まず右を差してから」というのが狙いだったが、左からの張り差しが、効いたのだから不思議。得意の右四つ、左上手の絶好の体勢になれた。「あの形では出なくては」と渾身の力で寄っていった。支度部屋で「9日目の勝ち越しは久しぶりだなあ」と笑顔が広がった。昨年初優勝を決めた夏場所以来だ。入門からずっと白鵬を見てきた熊ケ谷親方(元幕内竹葉山)は「横綱を狙っていたころに少しずつ戻ってきた。まわしを早く取れるようになった」と見る。その育ての親から見ると、この1年間はもどかしくて仕方なかった。しかし、それは決して無駄ではなかったはず。白鵬もこの日、こう言った。「この1年やってきて、大関の責務、大事さを感じている。なんかよく分からないけど、ひとつ勉強になった」。この春場所が再度の綱とりの起点になる。頭を押さえられている横綱朝青龍を一歩リードしている。「まだまだ」。白鵬は余裕を持って2度目の優勝を目指す。 (近藤昭和)  



 日刊スポーツ 3月 9日目
<抜粋> 
力勝負だった。白鵬は左上手をグイっと引くと、すぐに前に出た。「(上手を)取った瞬間から、前に出るしかないと思った」。踏ん張る栃東と胸を合わせ、ジワジワ寄った。8連勝で勝ち越しを決め「ふー」と大きく息を吐いた。大関昇進した昨年夏場所で初優勝した。だが、そこから暗転した。名古屋場所、秋場所と重圧に押されて「綱取り」に失敗。九州場所は場所前のけいこで左足親指をはく離骨折し全休した。精神的にも落ち込んだ。しかし、この苦悩の日々がさらなる進化へのきっかけになった。入院した病室で父ムンフバトさんに言われた。「相撲のことは考えずしっかり休め」。テレビの相撲中継も見せてもらえなかった。入門以来初めの相撲から離れた生活で、頭の中がリフレッシュした。駆け抜けてきた土俵人生を見つめ直し「四つ相撲だけでは限界がある」と悟った。取り口の幅を広げることを決意した。今場所前のけいこでは、突っ張る姿が多く見られるようになった。序盤戦は四つ相撲を封印した。苦戦したものの初日の黒星だけに抑えた。苦しんだ時間も、今では「この1年、いい勉強」と笑顔で振り返る。気付けば5場所ぶりの単独トップだ。「今がトップなだけ。まだまだです」。控えめに話したが、その表情は自信に満ちていた。【近間康隆】  



 朝日 3月 9日目
<抜粋> 首位対決、白鵬に軍配 挫折越え、進化見せる
単独トップの話題を振られても、白鵬はにこりともしなかった。「まだまだ。今はトップというだけですよ」首位決戦にも浮足立たなかった。一度「待った」をかけたが、軍配が再び返ると迷いを消す。鋭く踏み込み左で張って右を差し、離れるとうるさい栃東をつかまえた。右四つから焦らず得意の左上手をつかむと、ギアチェンジして一気に前へ。左ひざに不安を抱える栃東は抵抗できなかった。「右がうまく入った。(昨日今日と)まわしが取れているね」白鵬が大きく羽ばたいたのは1年前の春場所だ。13勝2敗で大関昇進。立ち合い、低い姿勢から素早く左まわしをつかむ型がはまった。今場所はこの日の張り差しのように、いきなりまわしを狙うことは少ない。突っ張り合いも目立つようになった。入門から指導する熊ケ谷親方(元幕内竹葉山)は「相手も左上手を取らせまいと研究する。前に足を運び、流れの中でまわしが取れればいい」。昨年秋場所、8勝7敗で綱とりが消え、九州場所はけがで全休。初場所も10勝5敗に終わった。理想の相撲は挫折の中で進化させてきた。「この1年、大関としての責任感が大事だと感じた。気持ちが早まったらダメ。一つ勉強になった」9日目での勝ち越しは、初優勝した昨年夏場所以来。「久しぶりですねえ」。初日に誕生日を迎えたばかりの22歳に、ようやく笑顔がこぼれた。



 サンスポ 3月 10日目
<抜粋> 
白鵬「落ち着いて相撲取れた」
調子の上がらない魁皇を危なげなく退けた白鵬は「立ち合いが合わなかったが、落ち着いて相撲を取れた。(出し投げは)タイミングが良かったね」と、うなずいた。1敗で単独トップを守り、昨年夏場所以来の賜杯を目指して終盤戦へ。優勝争いについての質問が飛ぶと「その話はするなよ」とにやり。笑顔でかわす余裕も見せた。  



 毎日 3月 10日目
<抜粋> 
○白鵬 立ち合いで合わなかったけど落ち着いていた。  



 スポーツ報知 3月 10日目
<抜粋> 
白鵬、冷静に9連勝 盤石の攻めで1敗を守り、単独トップをキープした。大関・魁皇を得意の右四つから上手出し投げ。「落ち着いて取れた。最後はタイミングが良かったね」初日に黒星を喫したが、2日目から怒とうの9連勝。「優勝? 考えてない。まず1日終わっただけ」目の前の取組に集中して、2度目の賜杯を目指す。  



 毎日 3月 11日目
<抜粋> 
○…優勝争いのトップを走る白鵬が1差で追いかけていた豊真将を降し、その差を広げた。立ち合いの攻防から二本差すと、休まず一気に出た。土俵際で首投げを食らい倒れたものの、豊真将が土俵を割る方が先。「(豊真将は)昨日、目の前で琴欧洲に勝って、力がついてきていると思った」と警戒して臨んだ。これで1差で追いかけてくるのは朝青龍と新入幕の栃煌山の2人だけになった。「優勝争い? まだでしょう。まだ一番一番」とこれから迎える正念場に向け、気持ちを引き締めていた。  



 日刊スポーツ 3月 11日目
<抜粋> 白鵬1敗キープ「いい緊張感」
低い立ち合いできた相手を突っ張ってから起こし、もろ差しになりながら一気に前に出た。7連勝だった相手の挑戦を退け「前に出るしかないですから。いい緊張感があって、体も動いている」と満足していた。  



 読売 3月 11日目
<抜粋> 横綱・大関主役の賜杯レース、緊張感みなぎる終盤戦に
大相撲春場所11日目(21日・大阪府立体育会館)――勝ち越してホッとひと息つく者と、その先を考えている者の意識の差が如実に現れてくるころ。調子が今一つだった白鵬に、後者の気概が備わってきた。
前日に琴欧洲を圧倒した豊真将との対戦。「きのう目の前で見て、力をつけてる感じはした。でも大関として、そうはいかんぞと思った」。新進気鋭の若手を、この心意気で退けた。左から鋭く踏み込んだ立ち合いで勝負あり。左前まわしに手は届かなかったが、体をぶつけて豊真将を吹っ飛ばした。右、左と差して一気に走り、自らも勢い余って回転しながら土俵下に転落した。「立ち合いがいつも以上に速く、重く、良かった」と九重審判長(元横綱千世の富士)。攻めがもたつくことが多かった今場所だが、「まわしは取れていないけど、前に出ているから調子は悪くない」。そんな自己暗示のような言葉に、乗って行きそうな気配だ。最近は早々と大関陣が脱落し、平幕の奮闘で辛うじて興味がつながっていた賜杯レースだが、今場所は横綱と大関が主役に座り、そこに若手も絡む。1差で追う朝青龍は「たまにはいいんじゃないか」と余裕の構え。白鵬は「一つ一つ自分の相撲に集中していく」と応じた。久しぶりに緊張感のある終盤戦になった。(向井太)  



 時事 3月 11日目
<抜粋> 初顔け散らした速攻=白鵬、緊張感楽しむ余裕も
白鵬は左前まわしを取れないとみるや、すぐに頭を切り替えた。突っ張って豊真将を起こし、脇が空いたところで左差し。右も深く入り、左腕を押し付けるよう寄った。「攻めが速かった」。2敗の平幕をけ落とし、満足感がにじむ。最近3日間は左上手を引けたが、この日はまわしが取れなくても相撲の流れをつかんで白星を重ねた前半戦同様の取り口。前日琴欧洲を破った初顔の豊真将に、続けて殊勲を許すわけにもいかない。「大関として、そういう気持ちで受けた」。力を付けてきた新鋭に貫録を見せ付け、勢い余って落ちた土俵下から戻る際は、励ますように尻をぽんとたたいた。10連勝。部屋の熊ケ谷親方(元幕内竹葉山)は「場所前にけいこしたことがきちっとできている」と言う。低い立ち合いを意識し、手も使って相手の上体を起こす。相手が左を警戒しても、有利な体勢に持ち込めるという算段だ。横綱が1差で離れない。優勝争いは「まだまだ分からない」と言うが、久々に味わう緊張感を「いいですね」と楽しむ余裕も出てきた。(了)  



 スポーツ報知 3月 11日目
<抜粋> 白鵬10連勝!首位キープ…春場所11日目
◆大相撲春場所11日目 ○白鵬(寄り切り)豊真将●(21日・大阪府立体育会館) 大関のプライドだ。平幕相手に負けるわけにはいかない。1差で追撃してくる初顔の豊真将戦。白鵬は、突っ張りからもろ差し。寄り切って10連勝。「きのう(10日目)琴欧洲に勝った相手なので力を付けていると思うけど、大関としてそうはいかないぞという気持ちだった」決着がつくと、豊真将のお尻をポンとたたき、健闘をたたえた。単独トップをキープ。「(勝ち星で)ひとつ先行しているだけ」と冷静ながらもV争いの緊張感については「いいですよ」と笑顔を見せた。前半は体調に不安を抱えていた。11日の初日を前に気温が大幅に下がった大阪。風邪を引いてしまい、微熱で、おかゆしか口にできない日もあった。初日は黒星発進。体調を戻すために外出を控え、とにかく寝た。一日の睡眠時間は15時間近く。朝げいこは初日と中日しか行っていないが、会場でたっぷり汗をかいて調整した。現在は「体調もだいぶいい」。状態が上向くにつれ、相撲内容もよくなってきた。2敗には栃煌山もいるが、打倒朝青龍が大きな関門。「一つ一つ自分の相撲に集中していきたい」。焦らず、じっくり。初土俵を踏み、大関昇進を決めた春場所。白鵬の手は、2度目の賜杯に近づいている。  



 サンスポ 3月 11日目
<抜粋> 
低く当たった白鵬は、得意の左前まわしを取れないとみるや、突っ張ってからもろ差しになった。あとは前に出るだけ。豊真将の捨て身の小手投げにも構わず、もたれ込んで寄り切った。「まわしは取れなくても、前に出ているし悪くはない。(相手は)力をつけてきているけど、大関としてそうは(負けるわけには)いかない」2敗で波に乗る豊真将に付け入る隙を与えなかった。前日(10日目)、豊真将が大関琴欧洲を一気の押しで下したシーンを土俵下で見せられた。「目の前で勝っていたからね」と警戒していたが、立ち合いから圧倒。土俵下から戻る時には、相手を励ますように尻を軽くたたく余裕だ。昨年夏場所以来、2度目の優勝に前進した。そんな白鵬にとって、励みになっているのは、平成12年に一緒にモンゴルから来日した幕下筆頭の猛虎浪(22)の存在だ。猛虎浪がこの日、4勝目を挙げ、夏場所での十両返り咲きを濃厚にした。立浪部屋所属だが、かつて白鵬の宮城野部屋で寝泊まりし、けいこ相手になるなど、白鵬の成長に貢献していた。今場所中には、その猛虎浪から電話で「お前の太刀持ちをやるよ」と励まされた。将来の横綱土俵入りに向け、親友が脇を固めることを志願してくれて、自然と気持ちも高まっていた「優勝を意識? まだでしょうね。自分の相撲に集中するだけです。いい緊張感の中、体も動いている」朝青龍との1差を堅持。横綱との対戦は残っているが、このままゴールまで突っ走る決意だ。(大塚功)  



 日刊スポーツ 3月 11日目
<抜粋> 
白鵬が唯一、1敗を守った。2敗と、元気のいい豊真将の挑戦を受けたが、もろ差しから寄り切った。最初は、得意の右まわしをつかめなかったが、厳しい差し手争いで圧倒した。「もろ差しになったから、前に出るしかないでしょう。いい緊張感があるね。優勝を考えるのはまだでしょうね。残りどうなるか分からないし」と冷静だったが、5場所ぶりの優勝へ、1歩前進した。  



 デイリースポーツ 3月 11日目
<抜粋> これが大関だ!白鵬単独トップ堅持
大相撲春場所11日目(21日・大阪府立体育会館)、大関白鵬が豊真将を寄り切りで退けて1敗を堅持、単独トップを守った。逆転優勝を狙う横綱朝青龍は大関栃東を上手投げで下して1差をキープ。新入幕の栃煌山も黒海を引き落としで破り、横綱と並ぶ2敗を死守した。魁皇は千代大海との大関対決を寄り倒しで制し5勝目を挙げた。わき上がる闘志を土俵にぶつけた。白鵬は立ち合い左上手を取れないと判断すると、瞬時に突っ張りに作戦を変更。重心の低い豊真将の体を簡単に起こして二本差し、間髪を入れず寄り切った。新勢力への警戒は怠りなかった。前日、琴欧洲を下から攻めて押し出した豊真将の相撲を目の当たりにした。「力をつけていると思ったけど、僕は大関の意地を見せようという気持ちでいった」と、笑顔で振り返った。今場所はまわしにこだわらず前へ出る相撲が目立つ。育ての親の熊ケ谷親方(元幕内竹葉山)は教え子の完全復調を願って、2月から禁煙中。その気持ちを知った上での力強い相撲に「オレが禁煙してからあいつ前へ出るようになったんだ」と、同親方も自分のことのように喜んだ。朝青龍に1差は昨年夏場所以来2度目の優勝の好機。場所後の神奈川・横須賀巡業は部屋の後援会が勧進元で、地元出身の小泉純一郎前首相にも招待をかけているという。今場所Vで前首相の名セリフ「感動した!」を聞きたいという関係者の熱意に応えるためにも、残り4日間絶対に負けられない。「横綱とは1差。まだこれからだよ」。白鵬が朝青龍の牙城を突き崩す。  



 Zakzak 3月 12日目
<抜粋> 大関白鵬結婚へ…21歳プロレス元マスコットガールと
モンゴル出身の大関白鵬(22、宮城野部屋、写真)がプロレスの元マスコットガール(21)と結婚を前提に付き合っていることが22日、わかった。関係者に対し、本人も認めており、今場所後にも会見する予定という。育ての親の熊ケ谷親方(元前頭竹葉山)は同日、大相撲春場所が行われている大阪府立体育会館内で取材に応じ、「1年ぐらい前から大学生と付き合っているという話はチラチラと聞いていた」と明かした。白鵬は、今場所11日目まで1敗を守り、10連勝で単独首位に立っている。熊ケ谷親方は「せっかく上り調子でゆっくり話ができない。場所後に話を聞く。本人もそういうつもりでしょう。結婚はあくまで本人が決めること。場所後にみなさんに集まってもらって会見します」と述べた。  



 時事 3月 12日目
<抜粋> 白鵬、結婚報道には口閉ざす
 白鵬が右の相四つの琴光喜を左四つで料理した。「たまたま」というが、苦手の四つ身になってお手上げの琴光喜が仕方なく巻き替えにくるところを、定石通り寄った。「体が動いている。あと3日間集中して頑張ります」と、初優勝した昨年夏場所よりずっと落ち着いた表情。この日、一部夕刊紙で結婚が報じられた。複数の関係者によると、相手は徳島県出身の女性で、場所後に発表する方向だという。白鵬自身は「(その質問は)駄目」と口を閉ざし、優勝争いに集中したい姿勢を強調した。(了)



 スポニチ 3月 12日目
<抜粋> 大関白鵬が女子大生と結婚していた
大相撲の西大関白鵬(22)=本名ムンフバト・ダバジャルガル、モンゴル出身、宮城野部屋=が2月下旬に結婚したことが23日、明らかになった。お相手は東京都在住の女子大生、和田紗代子さん(22)=徳島県出身=。知人の紹介で出会い、白鵬が十両だった3年前の3月から交際を続けていた。白鵬は「純粋で、まじめでいい子。一緒にいてすごく落ち着くし、楽しい。彼女の自然なところが好きです。彼女を幸せにしたいので、今まで以上に相撲を頑張りたい」と話した。春場所千秋楽翌日の26日に正式発表する予定。大阪府立体育会館で開催中の春場所で、白鵬は12日目を終え11勝1敗で優勝争いの単独トップ。昨年後半はけがに苦しんだが、5場所ぶりの復活優勝が視界に入っている。  



 毎日 3月 12日目
<抜粋> 
◇冷静さと柔軟さ凝縮…白鵬
予想外の事態にも対応できる冷静さと柔軟さ。今場所の白鵬の強さが、琴光喜との一番に凝縮されていた。立ち合いはほぼ互角だった。突き放して次の差し手。右の相四つだけに、琴光喜は当然のように右を差しに行く。しかし、一度前みつを狙いにいった白鵬の左が自然とその下に潜り込んだ。同時に右の上手も取った。両者とも戸惑う左四つに。だが、そこからの心の動きは違った。「上手を取ったので、じっくり攻めようと思った」と冷静だった白鵬。一方の琴光喜は「どうしていいのか分からなかった」と動揺を隠せなかった。琴光喜が本来の右四つを狙って巻き替えに来たところを、白鵬は逃さなかった。左のかいなを返し、琴光喜の脇の下に肩を潜り込ませた。上体を浮かせ、一気に前に出た。昨年秋、今年初場所と一方的に敗れた巧者に相撲を取らせなかった。「今場所は目がずっと一点を見ている。初日に負けて気楽になったんじゃないか。自分の相撲をやればいいんだと。昔に戻っている」と指導する熊ケ谷親方(元前頭竹葉山)。前半に1敗したものの、調子を上げて初優勝した昨年夏場所にイメージを重ねている。昨夏途中休場していた朝青龍とは14日目にぶつかる予定だ。ただ、白鵬自身は「自分の相撲を一つ一つ、3日間集中して」とあくまで淡々。明鏡止水の心境の先に、賜杯が待つ。【野上哲】  



 日刊スポーツ 3月 12日目
<抜粋> 
大関白鵬(22=宮城野)が、関脇琴光喜(30)を寄り切って1敗をキープした。不得意の左四つでも相手を圧倒し、昨年夏場所以来5場所ぶりの優勝へ、1歩前進した。この日、大学4年生の和田紗代子さん(22)と2月に結婚していたことが判明。嫁取りに成功し、今後は綱とりへ、全神経を集中させる。2敗で追う横綱朝青龍(26)平幕栃煌山(20)も勝って、優勝争いは3人に絞られた。白鵬は左上手を取りにいった。そこに琴光喜が右をかぶせてきた。「予想もしなかった」と振り返る左四つ。しかし、土俵上で戸惑いは見せなかった。右上手を引き付け、左かいなを返して、相手に右上手を与えない。我慢し切れず、相手が巻き替えにくる。その瞬間、一気に足を前に運び、寄り切った。単独トップを走る11勝目。好調には理由があった。大阪入り前の2月中旬、3年の恋を実らせた。十両だった04年3月、朝青龍主催のパーティーで知り合った徳島の資産家の娘で、女子大生の和田紗代子さんと墨田区役所に婚姻届を提出した。既に都内の新居で新婚生活をスタートさせている。千秋楽翌日の26日に大阪・堺市の部屋で会見を開く予定だ。綱とりに成功してから結婚する予定だった。しかし「お互いが結婚したい気持ちになったし、スッキリした気持ちで春場所に臨みたかった」と予定を変えた。その決断が今場所の好成績につながっている。モンゴルに帰国する際には紗代子さんが空港まで送り迎えするなど、ふだんの生活でもバックアップを受けていた。白鵬はこの日、「彼女は純粋でまじめでいい子。一緒にいてすごく落ち着くし、楽しい。彼女の自然なところが好き。彼女を幸せにしたいので、今まで以上に相撲を頑張りたい」とコメント。周囲には若手女優の「綾瀬はるかに似ている」と自慢していたという。右四つに絶対の自信を持ち、左に組んでも、突っ張っても星を落とさない。「いろんなが形で勝っているし、体も動けている。いい緊張感があるね」。「嫁とり」に成功した場所で2度目の優勝を果たし、来場所は綱とりに挑む。  【盧載鎭】  



 日刊スポーツ 3月 13日目
<抜粋> 白鵬「引くタイミングよかった」
1敗で優勝争いトップの大関白鵬(22=宮城野)が、大関千代大海(30)を引き落として12勝目を挙げた。立ち合いで呼吸が合わず、2度の待ったの後にやっと成立するほど、緊張が高まった一戦。白鵬は左前ミツを狙ったが、取れなかったため、素早く引いた。「どっちでもいいから誘おうと思った。引くタイミングがよかった」と話した。14日目は2敗の横綱朝青龍(26)との頂点決戦に臨む。  



 読売 3月 13日目
<抜粋> 立つまで2分、勝負数秒…白鵬「自分の相撲じゃない」
大相撲春場所13日目(23日・大阪府立体育会館)――制限時間から仕切り直すこと4度。白鵬にはそのたび、優勝の二文字が重くのしかかったようだ。
最初は気合の乗った表情だったが、勝ち越しがかかる千代大海が、突っかけると一変。「組まないとダメだけど、踏み込んだら引かれる」と、迷いの色が現れた。呼吸が合わず、2度目は相手が待った。3度目は自分が突っかけた。ようやく立つまで、2分近くもかかった。その相撲は、千代大海の出足を止めて引き落とす淡泊さ。わずか数秒の瞬間芸に「自分の相撲じゃない」。横綱と直接対決を控え、不満の残る内容だった。初日黒星スタートの序盤はのどが腫れ、おかゆしか食べられないなど、体調面でも苦労した。立て直すのに必死で、優勝への重圧とは無縁だったが、大詰めではそうもいかない。朝青龍からも、立ち合いで「一瞬、迷った」とらしくないセリフ。優勝20度の横綱にも緊張が見えた。連敗発進からの逆転優勝は例がない。白鵬の5場所ぶりの賜杯か、5連覇を狙う朝青龍が待ったをかけるか。大一番だ。(山口博康)  



 時事 3月 13日目
<抜粋> 待った3度、集中力切れず=白鵬、12連勝で大一番へ
なかなか呼吸が合わず、迎えた4度目の立ち合い。踏み込んだ白鵬は一瞬左を差したが、すぐに千代大海に突き放されそうになった。だが、冷静に右を手繰り、最後は右足一本でくるり。足を送れなかった千代大海はばったりと土俵にはった。「うまくはたいたが、自分の相撲ではない」。12連勝にも顔は浮かない。だが、高熱に苦しんでいた千代大海からは、確実に白星を積み上げることが重要。度重なる仕切り直しに「少し硬くなった」と言うが、最後まで集中力を持続させた。集中力の高さは、けいこ場から表れている。部屋の熊ケ谷親方(元幕内竹葉山)は「以前はあっち見たりこっち見たりしていたが、今はどっしり落ち着いてやっている」。昨年九州場所を不注意によるけがで休場して心機一転。目の色を変えてけいこに励むようになった。14日目は1差で追う朝青龍と直接対戦。横綱と優勝を争うのは、11日目に土を付けながら決定戦で敗れた昨年春場所以来のこと。「自分の相撲を取るだけ」。いつも通りの短く、力強い言葉で大一番への決意を示した。(了)  



 サンスポ 3月 13日目
<抜粋> 
大一番に臨む白鵬と朝青龍「思い切って取るだけ」
その表情は対照的だった。12連勝で1敗を死守した白鵬は「ちょっと硬くなってしまった」と重圧を吐露し、2連敗からの11連勝でピタリと追う朝青龍は「やっぱり相撲は楽しい」と心身の充実ぶりをにじませた。白鵬は千代大海との立ち合いで呼吸が合わず、4度目で立った。突き放されたが、うまく勢いをかわして引き落とした。この一番を土俵下から見守った横綱は気迫十分。琴欧洲にまわしを許さず、タイミング良くいなした。低い体勢で突き、押しを繰り出し、最後はドンと押し出した。両者は14日目に直接対決を迎える。白鵬が勝てば優勝が決まるが、北の湖理事長(元横綱北の湖)は「可能性は五分五分」と見る。星の差一つも、横綱が勢いで相殺したといったところか。2度目の賜杯を目指す白鵬にとっては朝青龍は大きな壁だ。大関昇進を決めた昨年の春場所は優勝決定戦で敗れた。新大関で初優勝した翌夏場所では、横綱が右ひじを痛めて途中休場したため対戦はなかった。文句なしの優勝を決めたい白鵬。朝青龍は意地で相星に持ち込み、大逆転の5連覇へ望みをつなげるか。大一番へ「思い切って自分の相撲を取るだけ」と二人は同じ言葉を口にした。  



 日刊スポーツ 3月 13日目
<抜粋> 
白鵬は平常心を失っていた。4度目の立ち合いの末、千代大海を受け止めてから引き落とし。連勝を12に伸ばしたが、支度部屋でも口数は少なかった。「硬くなりました…」。2度目の賜杯を前に、重圧とも戦っていた。千代大海に突っ掛けられ、2度目は「待った」をかけた。3度目。先に手をつく千代大海に合わせることができない。「立ち合い、難しいね」。勝利への欲で邪念が入った。18秒後。ざわめく館内にせかされるように無理やり突っ掛けた。辛うじて1敗を死守して、今日14日目に2連敗からの11連勝で追う横綱朝青龍との対戦を迎える。昨年の春場所では本割で勝ったが優勝決定戦で敗れた。初優勝を飾った夏場所は、朝青龍が右ひじを痛め途中休場したため対戦はなかった。関係者には「次は横綱に勝って優勝したい」と漏らしたという。風呂上がりにVTRを見つめ「横綱は速い。ちょっとノッてきた感じがする」と最後まで険しい表情が崩れることはなかった。「思い切って自分の相撲を取るだけ」。プレッシャーをはねのけた時、白鵬が大きな壁を乗り越える。【近間康隆】  



 時事 3月 14日目
<抜粋> 朝青龍、瞬時の逆転=白鵬の勝機するり
張り差しから思い掛けないもろ差し。白鵬が勇んで出た。5場所ぶり2度目の賜杯へ、絶好の勝機だった。しかし、朝青龍は万歳した右で首投げを打つ。警戒した白鵬がやや腰を引き、首投げが外れかけたが、朝青龍はすかさず肩透かし気味の引き落とし。足がそろっていた白鵬はたまらず落ちた。苦し紛れに見えた首投げも、横綱は「2本差されても落ち着いてたのがよかったかな」と振り返った。瞬時に多彩な動きができる反射神経。朝青龍にあって白鵬にないものが、勝敗を分けた。「ついに並んだが」の問いに「何回も経験してるから」と朝青龍。史上初めて、初日から連敗の後の逆転優勝に挑む。片や白鵬。「プレッシャーか」の問いに「どうだろうね」とはぐらかしたが、出番前、集中力を高めるため、付け人に支度部屋のテレビの音を消させた。今場所の優勝だけでなく、来場所の綱とりにも影響する重い一番。「いい体勢になったのにな」と悔やみ、「ここまで来たら頑張るしかない」とほおをふくらませた。(了) 



 読売 3月 14日目
<抜粋> 
大相撲春場所14日目(24日・大阪府立体育会館)――勝敗を分けたのは一瞬の勝負勘。そこは、朝青龍が一枚も二枚も上だった。
横綱は立ち合い、意表を突かれた。白鵬に左の上手まわしを許して胸を合わせれば、苦しい。ところが警戒していたはずの左は、差し手。あっという間にもろ差しを許した瞬間、「ヒヤッとした」のも当然だ。だが、そこで落ち着きを保てる辺りが、連敗発進した序盤との大きな違い。下がりながらも、とっさの判断で首投げ。この攻めに両足がそろった白鵬が、今度は窮地に陥る。一方の朝青龍は、「離れているのが見えた」と、相手との距離を瞬時に読み切った。体を半回転させると、鋭い勘で引き落とした。千載一遇の勝機を逃した白鵬は「失敗したなぁ。というか、分からない。いい体勢になったのに……」。支度部屋でも敗因と横綱の力の源を整理し切れず、首をかしげるばかり。代わって九重審判長(元横綱千代の富士)が解説した。「悪い体勢になっても、横綱は動いて勝機を見いだした。経験がものを言う」。勝負所で優勝20度の横綱と、1度の大関の差がもろに出た。千秋楽は“再戦”での決着が見たい。「大事な一番がある。今は勝負に入っているからな」と語った横綱の気迫に、どう立ち向かうか。白鵬にとっては将来を占う一番でもある。(込山駿)  



 サンスポ 3月 14日目
<抜粋> 
白鵬「頑張るしかない」
勝てば優勝だった白鵬は、出番前の支度部屋で付け人にテレビの音を消させて準備運動に集中した。仕切りの際にも朝青龍をにらむなど気合十分だったが、白星には結び付かなかった。優勝への重圧を聞かれ「どうなんだろうね、分からん」と、吐き捨てるように口を開いた。浅いもろ差しという絶好の格好になって出ていったが、朝青龍に右首投げから引かれ、前のめりに倒れた。「投げに来たとき、つい腰を引いちゃった。それで足がそろった。いい形だったのにね」と悔やんだ。ただ、まだ賜杯を逃したわけではない。千秋楽に向け「ここまで来たら頑張るしかない」と、前を向こうとしていた。  



 毎日 3月 14日目
<抜粋> 
◇朝青龍、ここ一番で勝負への執念
張られて、差されて、棒立ちになった朝青龍。どうしようもない体勢にされても、驚くほどの速さで形勢を逆転する。ここ一番にかける勝負への執念を見た。出を待つ支度部屋で白鵬は集中していた。テレビの音を消すように求めたほどだ。土俵上では横綱をにらみ、「思い切っていくしかない」と朝青龍の横っ面を張る。「張られてむかついた」と朝青龍を激怒させるほどの異例の仕掛けで流れをつかみ、その後は作戦通りに双差し。白鵬にとって願ってもない形になった。「前に出るしかない」と思った白鵬だが、ここでほんのわずかな迷いが出た。「投げを警戒して腰が引けちゃった」一方の朝青龍は連敗スタートだったが、逆転優勝に向け気持ちを高めてきた。この日も、たとえ不利な体勢になっても「まだここであきらめないぞ、という気持ちだった」という。敵に背中を向けても、素早く体を回転させて相手にスキを与えない。白鵬はそのスピードに対応できず、標的を見失って土俵にはった。「瞬時の素早さで、(分の)悪い体勢からでも動いて勝機を見出している」と土俵下の九重審判長(元横綱千代の富士)も感心しきりだ。とうとう星を並べて千秋楽に持ち込んだ。「(優勝争いは)何回も経験している」と話す朝青龍は20回の優勝経験があるが、白鵬は1回。それも朝青龍不在の時だ。ちょうど1年前の春、優勝決定戦でこの2人は顔を合わせ朝青龍が勝った。勝負への執念を最後まで切らさないのは、今度はどちらだろうか。【村社拓信】  



 デイリースポーツ 3月 14日目
<抜粋> もろ差しになったのに…白鵬ガチガチ
大相撲春場所14日目(24日・大阪府立体育会館)、ついに横綱朝青龍が追いついた。負ければ大関白鵬の優勝が決まる結びの大一番で、もろ差しを許しながらも執念の引き落とし。12勝目を挙げて白鵬に並んだ。千秋楽は白鵬が大関琴欧洲、朝青龍が大関千代大海と対戦。両者ともに勝つか負けるかすれば、昨年春場所と同じ顔合わせの決定戦にもつれ込む。優勝は朝青龍なら5場所連続21度目、白鵬なら5場所ぶり2度目となる。優位な体勢だった。両腕を差し、あとは前へ出るだけのはずだった。ところが横綱の首投げにほんろうされ、気がつくと土俵にうつぶせになっていた。「プレッシャーがあったのかも分からん」。支度部屋で白鵬は目を閉じてつぶやいた。控えでめい想にふけり、十分に集中して土俵に立った。勝てば5場所ぶりの優勝が決まる大一番。仕切りで相手をにらむほど気合も乗っていた。それでも一瞬のスキを突かれて逆転負け。賜杯が逃げていった。この日の優勝に備えて部屋では祝いのタイを用意していた。マネジャーはたる酒や会見会場の手配に追われた。だが、周囲がVムードに包まれる中、当の本人は疲弊しきっていた。前夜は9時過ぎに就寝したにもかかわらず、朝げいこを休んだ。優勝争いの重圧に体は悲鳴を上げていた。相星での千秋楽。自力で朝青龍に優勝決定戦で雪辱を果たすためには、本割で琴欧洲に勝たなければならない。白鵬は「明日は思い切りいくだけです」と声を振り絞った。モンゴルの大器に試練の時が訪れた。  



 スポーツ報知 3月 14日目
<抜粋> 白鵬、プレッシャーに負けた…春場所14日目
◆大相撲春場所14日目 ○朝青龍(引き落とし)白鵬●(24日・大阪府立体育会館) 優勝へのプレッシャーは想像以上だった。勝負どころで白鵬の足が出ない。もろ差しで前に出たが、待っていたのは引き落とし。土俵に転がるとぼう然。「腰を引いてしまった。失敗したな。これまでと違う緊張感が多少あった」と淡々と振り返った。
取組前から負けていたのかもしれない。大一番に臨む支度部屋。過去の対横綱戦VTRがテレビで流される。わずかに漏れる音に反応し、付け人に音量を下げさせた。仕切り中も、にらみつけてくる横綱に対し直立不動で“応戦”。冷静沈着さが売りの白鵬にとっては珍しい行動。心は大きく動揺していた。2敗で朝青龍に並ばれただけで、優勝の可能性が消えたわけではない。まずは本割の琴欧洲戦に勝つことが重要。「頑張るしかない」気持ちを切り替え、運命の一日に挑む。  



  3月 日目
<抜粋> 
  



  3月 日目
<抜粋> 
  



 日刊スポーツ 3月 14日目
<抜粋> 朝青龍2敗キープ白鵬に並んだ
横綱朝青龍(26=高砂)がラッキーな白星でついに大関白鵬(22)に並んだ。負ければV逸という1敗の白鵬との大一番で、土俵際まで追い込まれた。が、相手が足を滑らし、引き落としで勝利。2連敗からの12連勝で、14日目にようやく白鵬に追いついた。栃煌山が4敗目を喫し賜杯争いはこの2人に絞られ、優勝決定戦の可能性も出てきた。連敗スタートから優勝した例は過去になく、最強横綱が新たな歴史をつくる。必死の抵抗が幸運をもたらした。立ち合いを失敗した朝青龍は、あっという間に土俵際に追い込まれる。しかももろ差しを許した。苦し紛れに首投げを試みるも、上体が浮いてしまう。寄られると、土俵外に吹っ飛ばされてもおかしくない状況で、白鵬が左足を滑らせた。勝負師はその一瞬を見逃さず、左から引き落とした。「(白鵬の)張り差しはむかついた。首投げは流れ。一瞬、ひやっとした。あきらめないで良かったね」。風呂から上がり、自分に言い聞かせるように言った。この日のわずか3秒の攻防だけを指すものではない。連敗スタートから立ち直った自分をねぎらう言葉でもあった。3日目の夜、付け人から「過去に連敗スタートから優勝した例はない」ことを聞かされた。それを聞いた朝青龍は「ヨーシッ」とだけ言って、1分以上も言葉を発しなかった。史上初の7連覇と年6場所完全制覇、年間最多勝の84勝など数々の記録を作ってきた男が、新たな目標を見つけた瞬間だった。実はプレッシャーに弱い一面もある。連敗スタートも「八百長疑惑報道」の影響が大きい。03年名古屋場所では、旭鷲山(引退)とのトラブルで途中休場。「品格問題」を追及され「なんでオレだけ?」と周囲に涙目を見せたこともある。高砂親方(元大関朝潮)は「今場所を乗り切れば、さらに大きく成長するはず」と期待を込めた。ラッキーな1勝。最強横綱に勝ち運もついてきた。「だんだん調子が上がってきた。オレはもう(24時間後の)勝負に入っているよ」。もう怖いものは何もない。【盧載鎭】  



 デイリースポーツ 3月 14日目
<抜粋> 追いついた!朝青龍が怒りの逆王手
大相撲春場所14日目(24日・大阪府立体育会館)、ついに横綱朝青龍が追いついた。負ければ大関白鵬の優勝が決まる結びの大一番で、もろ差しを許しながらも執念の引き落とし。12勝目を挙げて白鵬に並んだ。千秋楽は白鵬が大関琴欧洲、朝青龍が大関千代大海と対戦。両者ともに勝つか負けるかすれば、昨年春場所と同じ顔合わせの決定戦にもつれ込む。優勝は朝青龍なら5場所連続21度目、白鵬なら5場所ぶり2度目となる。なりふり構わず勝ちにいった。朝青龍は立ち合い白鵬にもろ差しを許す大ピンチ。だが、苦し紛れに放った右からの首投げがすっぽ抜け、白鵬がバランスを崩す。すかさず右に反転して左から突きを繰り出したが、その時点で相手が土俵にはいつくばっていた。乱れ飛ぶ座布団の雨の中を引き揚げた支度部屋。VTRを見ながら、勝っても怒りを爆発させた。指に巻いていたテープを思い切りごみ箱にたたきつけ「立ち合いで張り手をされてムカついた。ちょっとヒヤリとしたけど、向こうはプレッシャーがあったんだろう。勝ってよかったよ」と、ぶ然とした表情で振り返った。負ければ千秋楽を待たずに白鵬の優勝を許してしまう大一番で、底知れぬ精神力の強さを見せた。北の湖理事長(元横綱北の湖)も「朝青龍はこういう一番になったら強い。最初連敗して苦しいところから連勝を続けているからこういう相撲が取れる」と、舌を巻いた。14日目でモンゴルの後輩に追いつき、迎える千秋楽。2連敗スタートからの優勝は過去に例がなく、今場所は史上初の快挙達成の期待も膨らむ。両者がともに勝つか負けるかして本割で決まらない場合は、昨年春場所以来となる両者による決定戦にもつれ込む。昨年は朝青龍が勝って春場所3連覇で16度目の優勝を決めた。ゲンのいい場所だけに「もう何回も優勝を経験しているからな。徐々に調子がよくなって終わった後よかったと思えればいいんじゃないか」と、自信は揺るぎない。2度目の5連覇とV21へ。朝青龍がラストスパートをかける。  



 スポニチ 3月 14日目
<抜粋> 朝青龍 史上最大の逆転劇見せる
場所前から「逆風」にさらされていた朝青龍に、今場所初めて追い風が吹いた。立ち合いで張り差しの奇襲に出た白鵬がもろ差しになり、左のかいなを返しながら一気に前に出る。絶体絶命のピンチ。だが、朝青龍は持ち前の俊敏な動きで勝利の女神を引き寄せた。苦し紛れの首投げで相手がバランスを崩すと、すかさず右手を突き出す。勢い余った白鵬は前のめりになって転落した。後輩の優勝に待ったをかけ、42本の懸賞(手取り126万円)を手にした大本命は「張られてむかついたけど、まあ勝てて良かった。一瞬ヒヤッとしたけど、そこで落ち着いていたよ」と冷静に振り返った。仕切りではいつもは淡々と仕切る白鵬が、珍しくにらんできた。館内が異様な雰囲気に包まれるなかで、朝青龍は白鵬の気負いを見抜いていた。「ここであきらめない。負けられない気持ちがあった。でも向こうの方がプレッシャーがあったね」。20回の優勝を積み重ねてきた経験と自負が体の硬さを取り除き、とっさの反応を呼び込んだ。連敗発進を克服して賜杯を手にすれば、1909年(明42)の優勝制度導入後初の快挙となる。ひと一倍記録にこだわる朝青龍も周囲から話を聞かされ、それが終盤の発奮材料になっているという。「あした(25日)も大事な一番。徐々に調子が上がっているし、今は勝負の世界に入り込んでいるよ」。21度目の賜杯へ、最強横綱が優勝モードに突入した。  












© Rakuten Group, Inc.