2008/10/12(日)18:49
キューバの有機農業と医療
9月5日(日)20時~21時放送の「ガイアの風」
◆パート1
出演者:コスタリカ研究家 足立 力也(あだち りきや)さん
テーマ:アメリカの裏側から世界を見る 第2回 「キューバの有機農業と医療」
(写真左 足立さん 右 藤原 )
◆足立力也さんプロフィール◆
中米のコスタリカに関すること、環境・生活、社会のしくみ・思想や文化を研究・分析し、日本に紹介をしておられます。
日本の中でコスタリカに対して何ができるかということで、各地で上映会や講演、コスタリカへのツアーも企画されています。
コスタリカ:メキシコと南米コロンビアを挟むパナマ運河の上に位置する国。
言葉はスペイン語。日本の国土の3分の1ぐらい。人口約1200万人。
近年は海外から100万人の観光客を迎え入れています。
<問い合わせ先>
コスタリカ研究家 足立 力也(あだち りきや)さん
〒820-0603 福岡県嘉穂郡桂川町寿命328-3
tel/fax 0948-65-3905 携帯 080-5259-1558
E-mail costaricky@adachirikiya.com URL http://www.adachirikiya.com
◆今回のお話の根底◆
アメリカの経済と軍事の傘に頼り、アメリカ型の大量生産、大量消費経済を行っている限り、
エコで、平和で、持続可能な社会にはなれないのではないでしょうか!
CO2の半減どころか、-6%すら達成できず、逆に、増加しています。
電気使用量も増加の一途。
それはそうでしょう。
「経済を発展させる」「GDPを伸ばす」。それに向って努力しているということは、
生産と消費を増やそうとしているのだから、電気も、CO2も、ゴミも、減るわけがない。矛盾です。
アメリカのまねをし、アメリカにお金を握られ、アメリカに軍事の傘をかぶせられておれば、
誰が首相になろうが、変わらないのではないでしょうか。
本当の政治の根幹は、アメリカと水面下で決められているのでは。そんな気がします。
持続可能で、真に平和な社会になるには、アメリアに依存しなくてもいい社会にならなくてはならないのでは。
そのヒントとなるのが、コスタリカ、キューバにあるような気がします。
コスタリカ研究家の、足立力也さんが、キューバを訪問してきたので、アメリカがなくても、平和で豊かにやっていける国という視点で、ラジオ「ガイアの風」で2回にわたって、語ってもらいます。
今回は、第2回として、キューバの有機農業と医療を語ってもらいます。
◆本日の放送◆
足立さんとは2か月ぶりの再会となった。
8月第一週目のゲストとして、コスタリカやラテンアメリカについて力強く語って下さっていたのが印象的だった。
その後、すぐにコスタリカ、キューバへと旅を続けられた。特に足立さんにとって初めてのキューバは彼の目にどう映ったのだろうか。
キューバの現在の状況について今週と先週の2回にわたって報告されるということで、個人的にも興味深くお話を伺うことが出来た。
キューバはいかがでしたか?という質問に、足立さんは苦笑しながら、もうサイクロンが2回続けてきたという希な状況に遭遇しまして… という出だしだった。
思うように動けないもどかしさはあっただろうが、キューバの匂いや人々の様子を肌で感じることが出来たようである。
キューバの英雄、ホセ・マルティの銅像はいたるところにありましたか?とたずねると、ええ、もちろん要所要所にありました、と答えられた。マルティはキューバ独立の父である。
そこから、ラテンアメリカニズム=われらがアメリかというラテンアメリカの基本精神について足立さんから話を聞くことができた。
アメリカという国に従属しないあり方を選んだキューバの数々の苦難、フィデル・カストロというカリスマ的指導者が『貧しさを分かち合う』という根本的姿勢を一貫したことにより、福祉、医療、教育において、また有機農業においても世界有数の先進国となった。
ソ連崩壊後、石油が手に入らなくなったキューバが選ばざるを得なかった選択、カストロが自らが率先し、視察し、研究したさまざまな取り組みのひとつとして小規模な有機農業の拡大がある。
それで食料自給率はしだいに上昇することになる。有機農にキューバが力を入れてきたことについては実は私は知らなかった。
食料問題を抱えている我が国が一番力をいれなければいけないところだと思う。
農に関しては方向転換をして早く行動に移すべきだと思うからだ。
医療においてはキューバはアメリカや日本をしのぐ先進性を誇っている。
アメリカの医療問題に焦点を当てたマイケルムーア監督の映画、『シッコ』では、ムーアがアメリカの医療制度に見捨てられた低所得者の患者をひきつれてキューバの病院へ向かった。
キューバは WHOも太鼓判を押す医療先進国である。心臓移植のような特殊な治療もタダ。
医療援助でも他国をしのぐ高度な医療技術を持って世界に貢献している。
経済崩壊の中で誕生した代替医療(針、灸、ハーブ、気功やヨガ)の分野においても独自の発展があることをいつか伝え聞いたことがある。
教育においては、誰もが平等に高等教育を受けることが許されており、各専門の分野で若者の能力を発展させていることを知った。
前々回コスタリカのことを学んだ時も、そうだったが、我々が本当に知らなければいけないこのような小国の挑戦は、欧米メディアでは広く知られるが、日本では実はあまり知られていない。
アメリカの視点からとらえたニュースしか知り得ないのが現実である。
アメリカ主導の資本主義経済を走ってきた私たちの社会はやがて破綻するであろう。
その前に、このようなラテンアメリカの国の取り組みはまず手本として頭に入れておかなければならない。
もちろんキューバが抱える影の問題にも目を向けなければならないのだが。
後進国と云われる国々が豊かさを手にするようになった時にいつも注意していなければならないことがある。
指導者のカストロはもう高齢である、超大国アメリカの脅威にさらされながら、
勇気を持ってしたたかに独自の道を歩んできたキューバは私たち日本が手にした偽者の豊かさとはちがうものを手に入れただろう。
カストロ後のキューバにももちろん注目していたいと思う。
我が国では経済効率や目先の利益だけを追求してきた社会のぜい弱さが全てにおいて露呈されている。
それでも足立さんは諦めずに自分がやれることをし、立ち上がりましょうと云う。
ベランダでもいいから有機農業をやってみるとか、選挙に積極的に関わって地元の政治家に質問状を送るとか、なんでもいいから関わることが大切だと云う。
そしていいニュースも実はたくさんあって地道に草の根的な活動をしている人々の尽力にクローズアップしたニュースをもっと流して人々に活力をもたらす必要があるということに共感した。
全ての面において日本が方向転換をしないといけない時期が来ている。
勇気を持って克服しなければ、これまでに消失してきた分明と同じ運命を辿ることになるだろうー、これは過言ではない。
私たちの20世紀は戦争と暴力に抗いながらも新しい自由を手に入れた。
しかし過度の物質主義社会がもたらしたものは、自由の牢獄だった。
経済の奴隷となった私たちが本当の意味で求めるものは精神の自由、思考の自由である。
一部の人しか得をしない既存の社会システムのなかで心を無視した経済生活がもたらしたものは今新たな時代の課題として突き付けられている。よりグローバルな意識で地球の存続ということをあらため考えるとき、私たちが経験した過ちが本当の意味で役立つに違い無い。
まずは内と外がつながるように私たちの回路をつなぎなおし、クリアな意識で今をしっかり見つめることが大切だ。
惑わされずに心豊かに、知恵を愛に変えてゆこう。
新しい宇宙時代へ。
(コーディネーター 藤原美弥子)
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