年の瀬のジャコ!(楽器人間)
今晩は、楽器人間です。年の瀬は、ジャコもいいもんです。ジャコ・パストリアスの肖像ジャコ・パストリアス,ハービー・ハンコック,ランディ・ブレッカー,デビッド・サンボーン,ハワード・ジョンソン,ウェイン・ショーター,ドン・エイリアス,マイケル・ブレッカー1. ドナ・リー 2. カム・オン,カム・オーヴァー 3. コンティニューム 4. クル 5. トレイシーの肖像 6. オーパス・ポーカス 7. オコンコレ・イ・トロンパ 8. (ユースド・トゥ・ビィ・ア)チャ・チャ 9. 忘れ去られた愛 10. (ユースド・トゥ・ビィ・ア)チャ・チャ(別テイク) 11. [6//4]ジャム ※〈CDテキスト〉天才の登場である。天才という言葉の持つ強度は、21世紀に入ってかなり必然的に弱体化しているかのように思えるが、いるところにはいるものである。無論この人、ジャコ・パストリアスもその範疇に入るであろう(20世紀の人であるが)。そして、本作は、彼の初リーダー作でもあり、当時人気爆発?のウエザー・リポート在籍中の 1976年に録音されている。余りにも有名な一曲としては、初っ端の『ドナ・リー』だろう。この曲は、もともとパーカーが好んで演奏していたが、実際、作曲はマイルスだったという逸話?もある。この辺が妙に笑えるが。で、ジャコはこのジャズ史におけるバップの難曲を題材として採用したのである。一般の評価としては、この曲をベースとパーカッションのみで奏でようとした着眼力と演奏の斬新さが共にぶっ飛んでいたということであった。結局、21世紀現在、マジメにフレットレス・ベースを習得しようとする者にとって、いい意味で踏絵だったり、意地の悪い言い方をすれば、否が応にもどこからともなく聴こえてくる断末魔の呻き声のような作品となってしまった。また、彼を引き立てるサイドメンも豪華絢爛、ハービー師匠を筆頭にブレッカー兄弟!!(弟他界、合掌)、サンボーン、ショーター、サム&デイブ等々、涙涙の米国第一級ジャズ&ソウルミュージシャンの面々である。奏法的には、約30年掛かっていろんな人がいろんなアプローチで彼の奏法を解析してきた。この辺は本当にもーたくさんの教則本、DVD、雑誌特集、自伝などが証明済みだろう。その結果、ある一定数の(笑)エピゴーネンを輩出することになったのは当然の帰結である。実際、パッセージにおける速度そのものについては、ジャコより優れている輩も存在している。トレーニングの賜物か?でも、音楽としてどうなのっ?っていう基本的な快感原則に遡って考えてみると、これだけ、音楽ソフトウェアが充実した時代にパッセージの早さやハーモニクス奏法の理論云々を彼自身の残した演奏から抽出してもまったく意味がないのが現実である。でも、リリース後の2、3年は有効だったと思う(プロが一所懸命コピーするから)。つまり、この手の奏法や理論は、既に約30年掛かってコンポーネント化されてしまって、きれいに整理されて、ばら売り可能となった(コモディティ化した)時点で終わっているのである。となると、サウンドクリエーターとしてのジャコの特殊性というか希少性に論点は移らざるを得なくなるだろう。基本的なリズムに対するアプローチや独自のタイム感(グルーブ)は、そう簡単にコピーできるものではない。この基層をベースに空間芸術としての音楽を拡張しようとしたジャコ像が改めて浮かび上がってくる。本作においてそれを象徴するのは、まず一曲目で衆目の度肝を抜き怒り、最後の曲(九曲目:忘れ去られた愛)ではベース自体も弾いていない(ストリングスアレンジメントのみ)というか、敢えて弾かない?ところ。Jacoフィギア登場!天才の軌跡!!>>入門最適ベース!!これでジャコに?>>楽天市場に戻る>>