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Jan 6, 2007
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仕事でうまくいかないことについては、全てが自分の問題と、自分を精進させることを最優先にして愚痴に聞こえるようなことは(ごく一部の人としか)言わないという態度をとる教員はけっこういます。それはそれで立派な態度だと思いますし、自分もそうありたいと思うときがあります。沈黙は金であると。

ただ、その思いがある一方で、われわれ学校関係者はきちんと情報を発信していく態度を身につける義務もあるように思えるのです。黙って貝になることは可能であるしあるいみ潔くいかもしれないけれど、少々のバッシング覚悟で重い口を開いていかなければ・・・・

親問題。保護者問題。

バラバラ殺人でなくても、何でもないようなケースが象徴的に混迷する学校の現状を象徴的に表していると思うから・・・・

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ここ最近の、ある年の話。若い教師が担任する隣の学級でいじめが発生しました。保護者との話し合いもうまく進まないようなので、夜の7時半ごろに私も家庭訪問に付き合うことにしました。

父は最初に犬が吠えたために、話の間庭先でずっと犬を撫でていました。すっかりなきやんでいるにもかかわらず、30分ほどの話の間、我々の斜め後ろで座り込んで、ずっと犬を撫でています。寒く暗い中、母親と私たち担任は思ったこと、感じたことを話し合い、「なんとか善処していきましょう。」という結論に達しました。

父親も帰り際にはさすがに立ち上がりましたが、頭を下げるでもなく

「ヨロシク!」

と、一言、帰ろうとする私たちの斜め後ろから声をかけました。

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これもここ最近のある年の話。

連絡帳で母親から「子供が計算ドリルを失くしたので新しいのを注文して下さい」との依頼。「誰か友達が間違えて持っているなど、また出てくることも多いのでもう少しお待ちください。それまで私のドリルをお貸しします」とお返事。子供にはすぐにドリルを貸しました。

3日後、今度は教頭がその子供の父親から電話を受けました。「先生に、お願いしたことをまだやってもらっていない」との伝言を教頭が出張中の私の携帯に入れておいてくださいました。私はその日は出張先が近所だったので学校に歩いて帰りました。校区を歩いていると偶然にその父親とばったり顔をあわせました。

「こんにちは。ドリルの件、お電話ありがとうございました。まだ出てくる可能性があるかなあと思ったのですけれど、ご希望のようですから、新しいのを買うことにしましょうか。今日、注文しておきますね。」と、私。

「先生が忙しいのは分かっているんだけれど、子供が早く欲しいというもので。ヨロシク!」と、父親。

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私にはもう、「ヨロシク」という言い方にいちいち腹を立てたり驚くほどの敏感さはありません。

ただ、私が教師であるからということではなく、一般的に相手の態度は失礼ではないかと感じました。両方の父親にとって、ほとんど初対面の目上か目上かも知れない相手(両方の父親より私は年上)が丁寧に(私は仕事上の会話は敬語で対応する)話をしている場面です。なおかつ両方の父親がとりあえずは私に願い事をしているという場面です。

そんな場面では「よろしく」ではなく、「お願いします」ではないでしょうか。

2人の父親とも、けっこう大きな会社に勤めておられます。縦社会での最低限の作法は理解しているはずだと思います。つまり私は、2人とも、手(私)が上司や取引先ではなく、「教師」であると見極めたうえで、確信的に「ヨロシク」と言っているのを感じたわけです。たいへんな悪意を感じたわけではないものの、「ヨロシク」の響きは私の心に何かシミのようなものを残しました。

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私が新米教師であった十数年前、同じようにいじめのトラブルに対処しに家庭訪問をしたとき、10歳以上年上の父親が居間に私を通し、「先生お世話になってます。今日は腹を割って話し合いましょうね。うちの息子が悪いところをちゃんと言ってくださいね。」と言いながら、「ビールが冷えてなくって。これ、非常時のやり方です。すみませんね。」と、氷を入れたコップにビールを注いでくださいました。

いじめがこじれたのは新米教師であった私の責任が9割だと、私は思っていたし、父親もそう思っていたと思います。それなのに丁寧に私を扱ってくださることを、ありがたいと思いました。だからこそ、全力で子供をなんとかしようと努力もしたし、その気持ちはその子ども自身にも、クラスの子供にも伝わったようで、最終的には感動的な結果になりました(長くなるので詳しくは書きません)。

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教師が家庭訪問に来たらビールを出せという話ではありません。

教師には敬語を使えという話でもありません。

そんなに「ヨロシク」が酷い言葉遣いだと傷ついているわけでもありません。

たとえ保護者に私が丁寧にあつかわれようが、酷い態度に出られようが、どの家庭のお子さんに対しても同じように全力で接していこうとは思っています。

 

ただ、親が、教師といっしょに子供を育てをしようという姿勢が急激に失われていることが、父親との何気ない接触の中にでもはっきりと感じられてしまうようになってきています。そのことが怖いのです。

学校は今後ますますメルトダウンしていくでしょう。

 

 

今、融けているのです。

 






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Last updated  Jan 8, 2007 01:34:10 PM
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