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Feb 28, 2009
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カテゴリ:その他 雑多

<医療機関は対応できるのか>

手記を見る限り母親はAをそれほど特異な子どもであるととらえていなかったようだ。しかしそんな書き方をしているものの、一方ではAの特異な気質を心配に思っていたようで、母親は2度医師に相談をし、事件直前の登校拒否の時期には児童相談所を訪れている。せっかく医療機関にもかかっておきながら、適切な処置がなされなかったことも残念である。10年前はまだ発達障害について医療機関の理解が浅かった事もあるかもしれない。2度目に見てもらった医師(手記にはある病院の小児神経科と書かれている)は「注意散漫・多動症の疑いがある」と診断してはいるものの、Aに対して薬を処方したなど、何らかの処置をしたという情報もない。医師は「A君が提出物をあまり忘れるようなら、『持って行った?』という確認だけをしてあげ、あまりうるさく干渉しないで、見守ってあげて下さい」と母親にアドバイスをしている。母親はそれでずいぶん安心したようで、もしかするとこのアドバイスは両親を「放任」の方向へ導いたかもしれない。実際、母親は厳しいしつけ(虐待にあたるかどうかは情報不足で不明)をしていたといわれる幼少期に比べ、中学校時代のAに対してはなんとも頼りのない対応に変わってしまっている様子がうかがえる。

実際はどうだったのだろう・・・。

医者やカウンセラーとて、ひとりひとりのクライアントと存分に関わっていけるわけではない。クライアントや家族が現状(具体的症状や悩み)語る範囲のことしかわからないのだろうし、クライアントや家族が受け入れる範囲内での対処しかできない。家庭や学校の中でクライアントやその周辺で起こっていることを実際に目で見ることもできない。実際、クライアントが自分や周囲が生活していくにあたって何か著しい支障が出ているような状況がなければ、医療機関が特別な対処をすることはない。クライアントや家族の話を聞き、薬を処方するといった対処がせいぜいだろう。医者が十分に判断を下すだけの情報を持ちえない場合は、対処をするにも限界がある。医者が本腰を入れるのはもっと重篤な症状・行動が見られる場合であろう。事件を起こすまでのAの状況は重篤というレベルにはあてはまらなかったとだろうと思う。医者にはAを「重篤な症状」と判断するだけの情報がなかっただろう。

危ない道路に信号機をつけて欲しいと地域住民が要請してもそう簡単に設置はされないそうである。人が死ぬほどの事故が起きてやっと設置されるというのが現状である。

神戸市の児童相談所のカウンセラーにしても、動きにくかったのだと思う。彼らは逮捕の2日前にA宅を家庭訪問している。児童相談所にAが犯人であるとの噂は届いていたのではないかと私は思っている。カウンセラーはAの部屋を見せてもらい、そこで面接も行われた。だからと言って、それで何か特別にAの問題の中心への近づけたわけでもないだろう。児童相談所の対処がどうだったのかという議論もあるようだが、これもまた推論で話をせざるをえないので、深入りをしないことにする。友達に暴力事件を起こし、登校拒否をしている状態であっても、そう簡単に医療機関やカウンセラーが問題の中心へ踏み込んで強い指導ができるような状況を作り出すというようなことは難しかったのではないかと思う。

実際、Aの行動そのものに立ち入り、心の奥にまで踏み込むことができたのは、逮捕され、一通りの事実が明らかになり、A処分が決まった後の、医療少年院の教官や精神科医たちにしかできなかった。「少年A矯正2500日全記録」(草薙厚子)でその様子を窺い知ることができる。草薙さんのやや強引な手法で取材が行われている様子が気にかかることを除けば、医療少年院の場面には心を打たれるものがある。関東医療少年院のスタッフはAに対する複雑な気持ちに苦悶し、Aの態度にとまどいながらも、スタッフが「疑似家族」という状態をAの周囲に作り出して、矯正に当たる。

東北少年院への移送のため、関東医療少年院からAが退院する時の様子を引用してみる。

--------------------------------

会議室に連れてこられたAは、スタッフに迎えられた。

担当教官は感極まったようにAの肩に手をかけ、こう言った。

「頑張ってこいよ」

教官から励ましのエールを送られると、Aは涙を流し始めた。入院当初「喜怒哀楽が全くない人間」と評され、本の一年半前までは全くコミュニケー損がとれていなかったことを考えると、Aが涙を流しながら旅立っていく光景など、見守っていた教官たちの誰もが想像できなかった。今まで一緒に苦しみ、笑い、泣いたことをだれもが思いだしていた。

--------------------------------

Aが少年院である程度矯正された、立ち直ったという事実。(この医療少年院での矯正という措置(裁判所の判断)自体にかなり賛否両論が出ていたし、本当に矯正されているのかという意見もかなり出ていました。まあ、それについては書き出すととてつもなく長くなるので、置いておくことにして・・・。)

もし家庭その他のAの生育環境がもっとまともであったなら、事件はどうなっていただろうか。Aの特殊性に周囲が対応すれば、もしかするとこれほど悲惨な結果になるような事件は起こらなかったのではないだろうか。暴走するAに周囲は誰も対処できなかったことに関しては本当に悔やまれるポイントであるように思えてくる。母親は医療機関にも足を運んだし、学校だって危機感を持って見ていた筈である。

しかし、現実には、どうにもならなかった。

医療少年院まで来なければ、つまり、殺人を犯さなければどうにもならなかったというのが現実であり、実に重たい結果である。

事件を起こすまでのAに対して、医療少年院並みのケアを施すというようなことは医療機関にも教育的機関にも今のシステムでは、ほとんど期待できないというのが現実なのだろう。

医療機関の「重篤な症状が出るまで、悲惨な状況に陥るまでは対応できない」といった実情が改革される必要がある。もっと積極的にクライアントの情報を集めて、クライアントに働き掛けていくようなシステムを作ってほしいと思う。医療機関のバックにある様々な学会等はそうとうな能力を持った組織である筈だ。「未病状態への対応」や「病気予防」といった分野にもっと労力を割いて、もっと広い目で社会の病理と向き合ってくれるようになることに期待したい。そして、極端な犯罪を犯す子供に向けた「未病状態への対応」や「病気予防」だけではなく、広く一般の子供たちとその背後にいる大人たちの「心の病」について、コミットしていってほしいと思う。

何も医療機関が全てのことに対処せよという話ではない。対処には人的・時間的保証が必要なはずである。行政レベルでの援助や予算付けがなされなければならない。医療機関がリーダーシップをとって、他の組織と連携を図りながら、子供たちの不全への対処が可能な社会を作ることを目指していけないだろうか。医療機関の子育て・教育への積極的な働きかけを期待したい。






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Last updated  Feb 28, 2009 05:56:18 PM
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Re:神戸小学生殺害事件(酒鬼薔薇事件)<14>--- だから、どうする?その2(02/28)   トウサン さん
医療機関や更正施設はどうなのでしょうね。

私は意識して人を殺せるのは、その人の根本的な因子によると思っています。

その意味で医療は本当に直すことができるのか?多くの疑問を感じます、矯正できない因子はどのようになるのでしょうか。

やはり納得のいかない事件です。 (Mar 4, 2009 11:20:58 PM)

Re[1]:神戸小学生殺害事件(酒鬼薔薇事件)<14>--- だから、どうする?その2(02/28)   redu06 さん
トウサンさん、コメントありがとうございます。

>その意味で医療は本当に直すことができるのか?多くの疑問を感じます、矯正できない因子はどのようになるのでしょうか。

もしも、隣の家の人が、酒鬼薔薇だったら、それを何かのきっかけで知ってしまったら、どうするか・・・さすがに、怖いですね。矯正されたと言われても、はいそうですかと安心できるものではないです。
私は少年犯罪に限らず、人を殺めてしまった人間に社会復帰を許すべきではないと思っています。


(Mar 4, 2009 11:50:26 PM)

Re:神戸小学生殺害事件(酒鬼薔薇事件)<14>--- だから、どうする?その2(02/28)   ぐるんぱ さん
最近読んだ本があります。
「心からのごめんなさいへ」
(一人ひとりの個性に合わせた教育を導入した少年院の挑戦) 品川裕香 著
宇治少年院で行われている、新たな視点からの
矯正教育のことが書かれています。
何か参考になれば・・・。
(Mar 5, 2009 10:52:01 AM)

Re[1]:神戸小学生殺害事件(酒鬼薔薇事件)<14>--- だから、どうする?その2(02/28)   redu06 さん
ぐるんぱさん、湖面とありがとうございます。

>「心からのごめんなさいへ」

ぜひぜひ、読んでみたいと思います。

大阪池田小学校殺傷事件の宅間は意地でも反省しないという感じで、自ら早期の死刑を望み、その通りになりました。

凶悪犯罪に関しての刑罰の在り方について、自分の中に結論があるわけではないです。

・社会復帰をさせない
・ちゃんと反省あるいは反省的な行動(奉仕活動)をさせる

の2点は外せないように思っています。

(Mar 5, 2009 11:51:36 PM)

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