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酔眼教師の乱雑日記

『今という時間を生かす』

『今という時間を生かす』




 阪神大震災直後に、『自らの人生の「夢」を描いてください。それも、「大」きな夢を持ってください。そんな思いを込めて、○○大学△△学部で私が担当するゼミナールの卒業論文集を「大夢」としました』という文章で、一期生を送り出してから、10年、また、「大夢」の贈る言葉を書く時期になりました。

年年歳歳花相似
歳々年年人不同


 来る年ごとに咲く花の姿は常に同じようだが、それを眺める人々の姿はそのたびに変わっている。十年という歳月で、徹底的に「学ぶ時は学び 遊ぶ時は遊ぶ」、ゼミナールに、時間の積み重ねの「伝統」が出来ました。
 10期生の皆さんも、この伝統を受け継ぎ、より素晴らしい「2年間の時間」を築き上げてくれました、後輩たちが、立派に伝統を受け継いでいってくれると思います。
 
 さて、10期生の24名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。旅立ちの時を迎えましたね。学生時代、皆さんは比較的自由に時間を過ごすことが出来ましたが、社会人になると自分の時間を持つことが難しくなります。
 レイ・ジョセフ氏の「一日二十四時間をどう使うか」という本の中に、「神は万人にひとしく1日24時間という時間を与え給うた。富める者にも貧しき者にもである。昨日の24時間はもはや手にするすべはない。あすの24時間はまだ手にすることはできない。いま、君が手にしているのはきょうの24時間を、どう有効に使うか、人生の勝負はその収支決算にある」とあります。皆さんは、若いので、人生の収支などはるか彼方のこと、時間は無限にあると考えておられることでしょう。
 私もゼミナールを担当した12年前は、40歳台半ば、時間は充分にあると思っていました、しかし、10年という歳月を経て、残る人生のほうがはるかに少なくなってきた時、自分自身が「如何に時間を無駄にしたか」と慙愧の念に耐えません。
 どうか10期生の皆さん、卒業生の皆さんも含めて、今日、今という一瞬を大事に、大切に、時を刻み、一歩一歩、人生の確実な歩みを進めてください。過ぎ去った時を悔やんでも、未来の時間を望んでも、手に入れることは出来ません。
 
 中国の高名な禅僧である雲門文偃(うんもんぶんえん)が弟子たちに質問しました、
「十五日已然は汝に問わず。十五日已後一句を道(い)い将(も)ち来れ」
(解釈:昨日までのことは過ぎてしまったことだから聞かない、今日から先の、君たちの具体的な生き方を一句で言ってみなさい。)あなたなら、なんと答えますか、卒業を機会に考えてみてください、答えは簡単ではないと思います。
 問題なのは、いつでもどこでもただいま今日の自己です、ただいま今日から明日に向かって生きる自分自身の、具体的生きざまことです。
雲門文偃禅師の答えの言葉を借用して、贈る言葉とします。

『日日是好日』


(雲門文偃のお話は、私が尊敬する書家相田みつを師の「一生感動 一生青春」から引用しました。)
 
 
 


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