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秋山巌の小さな美術館 ギャラリーMami の「まみだより」

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2022.05.15
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秋山巌の小さな美術館 ギャラリーMami の町田珠実です。

秋山巌「ねぶの花」1989年

象潟や雨に西施がねぶの花 芭蕉

中国古代の美女「西施」と「合歓(ねむ)の花」美しい写真がいっぱい出てきます♪
カラーの作品がまた良いですね。






最終更新日  2022.05.15 19:39:15
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秋山巌の小さな美術館 ギャラリーMami の町田珠実です。

秋山巌「衆生済度」1993年

【衆生】生きとし生けるすべてのものを

【済度】迷い苦しみから救い悟りの境地へ導くこと。

お寺さんに飾られるのが良いですね。

Twitterで繋がっているお友達が、先日菩提寺で作品みたよ!と教えてくれたので、作品ご紹介しておきます。



宮城県山元町の​徳本寺​さんでも飾られています。

秋山作品見かけたら、是非教えて下さいね♪







最終更新日  2022.05.15 19:23:33
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2022.05.11
カテゴリ:山頭火・俳句

秋山巌の小さな美術館 ギャラリーMami の町田珠実です。

先日記事でご紹介した山頭火の未発表句は、

もともと、山頭火とは知らずに、晩年お世話をした【細川亀吉】さんという方の倉庫に保管されていたものだそうです。

記事はこちら↓

山頭火、未発表句その1

山頭火、未発表句その2

細川亀吉さんは松山の方で、山頭火とは知らずに少しの間お世話をしたそうです。

未発表句短冊の写真を提供して下さった松山のK氏が、日記の画像と書き起こしを提供して下さいました。

前半の6/2~6/4は、実際の日にちとずれがあるそうです。


細川亀吉の日記 6/2~6/4


六月二日晴れ
 へんな坊主が来たが、くさくて近よれん風呂へつれて行って、衣もぬがすと蚤がこぼれてはい廻って、みんながよってたかってさわぎまわした。
とにかく蚤を殺して、風呂へいれたら、又蚤がうきだした、くさくて近よれんけん客はみんな逃げた。私と息子が浮いた蚤をおけですくって、下水へ入れた、こんなくさくて蚤をつけた乞はよう衣を来ているのじゃろうか、
息子に体を洗わして、くさいのをのけるのに難ギをした、新しい湯衣にして顔をまっかにしてちょこんと座って、涼しげな顔しておった。
坊主の話をきけば、中国地方の生まれで全国を歩き廻りよるんじゃが、と云つちょる。
フロはいっていくんかなと聞けば、あったら行くと云つて大声で笑ったのには全くへんな坊主だなあ、と思って息子と相談して泊まらさうと思って
家につれかへった。
酒大好物のそうで夜中までのんでいろいろな話を聞いた。
名は坊主にだけしかいわん、おそくなったので、泊まらして話おきいたら、
とどのつまりは、ここらにある友人の墓参りに来たんじゃと云つた、
朝早く坊主のねるへやへ行ったら置手紙がしてあった 一期一会 と書いた紙があった。






六月三日くもり

 ただ一人もんで全国乞い歩いて、おまんまをたべているようで、
またくるかないちいち話を聞けばおもしろいだろうな、
雨が降るので家の中でボロ紙の整理をしていた、
夕暮れに昨日の衣でニコニコしてきた、昨日は大へんごめいわくをかけたと頭をさげた。

四国はよいところじゃと笑っていたが涙顔だった
今日もフロへ入れて酒をのんでいろいろと話をきけばこの近くに友人の
お墓があるようで
いつもおがんで、帰り道に立寄つたとのことであつた、又お酒をすすめていろいろ話をきいた、そして十時頃にかえった。





六月四日くもり
 くさい匂いがしたので、ふりむいて見ればいつものぼうさんが来ていた
こちらは仕事がいそがしいけん 息子を呼んで息子に相手にさせた。
坊さんの家は城山の方であると判つた。 一期一会 と書いたのでもう来ないと思っていたのに度々来るようになってしまったムスコは風呂へ入れて洗ってあげて一杯のまして坊主の話をきいていた、
東京のことも京都のことも岡山のことも廣島も九州もいろんなところのこともよく知っていた、うらの川の水の音や鳥の来ることをしきりに気を
つけていた。
ムスコは今日は用じあるので夕方帰った
一体この人はどこのだれかとむすこと話した。




前半ここまで、その2で9/15~をご紹介します。







最終更新日  2022.05.11 18:05:13
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2022.05.09



秋山巌の小さな美術館 ギャラリーMami の町田珠実です。

秋山巌「うれしいことがある」1988年

葱坊主、わたしにもうれしいことがある 山頭火

昭和9年5月9日の句。山頭火其中日記より

五月九日

曇、昨夜は眠れた、何よりも睡眠である。
初夏の朝、よいたより。


ちよつと街へ出て戻ると、誰やら来てゐる、思ひがけなく澄太君だ、酒と豆腐とを持つて。
ちび/\やつてゐるところへ、呂竹さんが見舞に来られた、これまた茶を持つて。
さらに樹明来、T子さん来庵。


風が吹いて落ちつけない、風には困る。
澄太来のよろこびを湯田まで延長する、よい湯、よい酒、よい飯、よい話、よい別れでもあつた、澄太君ほんたうありがたう、ありがたう。


夕暮、帰庵すると、飲みつゝある樹明を発見する、彼はまことに酒好きだ、少々酒に飲まれる方だが。
労れた、よい意味で、――今夜はよくねむれるだらうと喜んでゐると、T子再来、詰らない事を話して時間を空しくする、しめやかな雨となつたが寝苦しかつた、困つた。


・生きて戻つて五月の太陽
・けさは水音の、よいことがありさうな
 葱坊主、わたしにもうれしいことがある
 湯あがりの、かきつばたまぶしいな(病後)
・竹の葉のうごくともなくしづかなり
・土は水はあかるく種をおろしたところ(苗代)



こちらの葱坊主は、仙台にいた頃に撮ったmのです。

ころころまん丸くて、とっても元気な葱坊主。

毎日嬉しい事見つけられるといいですね♪







最終更新日  2022.05.11 17:06:55
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2022.05.08



秋山巌の小さな美術館 ギャラリーMami の町田珠実です。

秋山巌「月が出ていた」1988年

ひよいと月が出てゐた富士のむかうから 山頭火

昭和11年5月8日の句。

前日7日の日記には、

緑平老から旅費を送つて貰ふ。
ありがたしかたじけなし。
孤独な散歩者として。

とあり、8日は

心機一転、これから私は私らしい旅人として出立しなければならない。

と始まるのが、なんとも山頭火ですね。







最終更新日  2022.05.08 21:34:32
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秋山巌の小さな美術館 ギャラリーMami の町田珠実です。

秋山巌「みな芽吹く」1992年

山のふかさはみな芽吹く 山頭火

昭和11年5月8日の句です。

山頭火旅日記より

五月八日 曇。

心機一転、これから私は私らしい旅人として出立しなければならない。
我儘は私の性だから、それはそれとしてよろしいけれど、ブルジヨア的であつてはならない、執着しない我儘でなければならない。

・風は五月のさわやかな死にざま
・ひよいと月が出てゐた富士のむかうから

   (甲州から信州へ)
・日の照れば雪山のいよいよ白し
・尿するそこら草の芽だらけ
・こんなに蕎麦がうまい浅間のふもとにゐる

   江畔老に鼻頭橋まで見送られて
 橋までいつしよに、それからまた一人旅
・浅間をまへにまいにち畑打つてふてふ
・落花ちりこむ壁土のねばりやう
・浅間はつきりとぶてふてふ
・芽ぶいて落葉松落葉は寝ころぶによく
・新道が旧道に草萌ゆる
・袂草のいつとなくたまつてゐる捨てる

   碓氷山中雑詠
・木の芽あかるい家があつて誰もゐない
・道がわからなくなり啼く鳥歩く鳥
・遠くなり近くなる水音の一人
・山のふかさはみな芽ぶく
・誰にも逢はない呼子鳥啼く
・はるかにあかるく山ざくら花ざかり
・山ふかうしてなんとするどく
・足もとあやうく咲いてゐる一りん
・春日さんらんとして白樺の肌
・ふと河鹿なくたゝずみて聴く
   (追加)
・古びた鯉幟も、屋根には石をおき
・はてしなき旅空の爆音を仰ぐ
・まともに見えてくる妙義でこぼこ
   ( 〃 )
・行き暮れてほの白くからたちの花
・けふは今日の太陽をいたゞいて行く
・一人となれば分け入る山のかつこう
・うそ寒う夕焼けて山羊がないて

   稔郎居
・ゆうべいそがしい音は打つてくださる蕎麦で
   江畔老と共に岩子鉱泉に
・はなしがとだえると蛙げろげろ

   自省
・衣かへて心いれかへて旅もあらためて
・親馬仔馬みんな戻つてくるあたゝかし
・桑畑芽ぶく中の奉安殿
・浅間朝からあざやかな雲雀の唄です

   (追加一句)追分
・こゝで休むとする道の分れるところ
・芽ぶく林の白樺の白く
「わびしさも」


※草木塔では前書きに「碓氷山中にて路を失ふ」と記されています。

秋山巌の表現は、山は深いけれど、芽吹きが背中を押してくれるような、やっぱり素敵な作品です。


この日の日記には続きがあります。

五月八日(続)

高原、山国らしく、かるさん姿のよろしさ。
たうとう行き暮れてしまつた、泊めてくれるところがない、ままよ今までの贅沢を償ふ意味でも野宿しよう、といふ覚悟で、とぼ/\峠を登つて行くと、ルンペン君に出逢つた、彼も宿がなくて困つてゐるといふ、よく見ると、伊豆で同宿したことのある顔だ、それではいつしよに泊らうといふので、峠の中腹で百姓家――そこには三軒しかない家の一軒――に無理矢理に頼んで泊めて貰つた。
二人の有金持物を合して米一升金五十銭、それだけ全部をあげる。
旅烏はのんきであるがみじめでもある。
そしてこの家の乱雑はどうだ、きたない子供、無智なおかみさん、みじめな食物、自分の生活がもつたいない、恥づかしいとつく/″\思つたことである。
夜ふけて雨、どうやら雪もまじつてゐるらしい、何しろ八ヶ岳の麓だから。
いつまでも睡れなかつた。


・・・行乞行脚、山頭火が選んだ道だけどちょっと切なくなる日記の続きでした。







最終更新日  2022.05.08 19:08:03
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2022.04.22
カテゴリ:山頭火・俳句

秋山巌の小さな美術館 ギャラリーMami の町田珠実です。

山頭火、未発表句その2です。

ひけをそる年もいよ々くれる  山頭火
I shave my moustache
the year at last coming to close

蝉はとこてなくか石切り場   山頭火
the cicada where are you singing
in the quarry

月にほのかなひかり落葉ふる  山頭火
subtle light from the moon
falling leaves!



ふしの実まわって風がふく   山頭火

たいこんのつるされてつ々くいなかみち 山頭火
radishes hung and aired
along the country road

また生きてゐる虫の一ひき   山頭火
still alive
one worm



秋はなにをもやすいろか   山頭火
こヽにおちつき草萌ゆる   山頭火
かへるものかない汗をふく  山頭火

※こヽにおちつき草萌ゆる は、発表されています。



三月もようになった     山頭火
the month of march
in the air

夕立ちをりてすすしくなつた 山頭火
an evening shower
it is cool now

渡り鳥観へてゐる日くれ    山頭火
a flight of geese in my sight
evening glow



ふゆの木立まつすく   山頭火
winter trees
stand straight in the sun

かみそりのひかるはるのひなた 山頭火
razor clear and distinct
spring day light

鳥とんて白い月     山頭火
a bird on flight
the pale moon


枯木わたしは一人     山頭火
the tree withered
me all alone

桜のにほうふるさとを歩く 山頭火
home town of cherry blossom scent
I walk










最終更新日  2022.04.22 17:23:56
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カテゴリ:山頭火・俳句

秋山巌の小さな美術館 ギャラリーMami の町田珠実です。

松山在住のK氏より、山頭火の未発表句短冊画像を提供いただきましたので、こちらにアップしておきます。発表されている句もありますが、精査顕彰は皆様わいわいやっていただけたら嬉しいです。

昭和14年、山頭火だとは知らずにお世話をしていた松山の【細川亀吉】さんという方が、山頭火から預かったたくさんの荷物の一部だそうです。

フェイスブックの「山頭火ふるさと会」グループで、Marikoさんが英訳をして下さったので、併せて転載しておきます。

雁かへるもう寝よう   山頭火
the geese on their flight
let me lie to sleep

炭の手を洗う寒き夕空  山頭火
I wash my hand sumi stained
in the glow of evening cold

枯草のしつまる日かけ  山頭火
the withered grass field
in the shade



風ひらひら柿の葉ふる  山頭火
wind dances---
persimmon leaves fall

ねむりても蝉のこへ   山頭火
in my sleep too
the cicadas' song

田んぼ青くして水の音  山頭火
paddy field green
sound of water



ひまわり傾く風かふきたした  山頭火
sunflowers slant their
heads in the wind---
it started blowing

冬の水こほれて凍るか     山頭火
winter water
spilled and frozen?

三ケ月の夜の雲ひろかり    山頭火
the crescent moon night
spread out are the clouds



月かけしつかに柳ちる     山頭火
the moon shade tranquil
the willow leaves fall

枯野夕日がかかやくところ   山頭火
the field of withered grass
the place in the evening glow

きた風はけしいやまのはか   山頭火
from the north great wind
the mountain graveyard



灯りをともせは月かあかるい  山頭火
when the lamp lit,
the moon bright!

まったく月の野となりぬ    山頭火
the field
completely in the moon flood!

風のとほり道木枯の音     山頭火
the passage of wind---
the sound of whirling wind

豆は木のしつかに音をたて   山頭火

わかれてから月のおちてゆく  山頭火
after farewell
the moon descends and fall

ひかる海みつ々ゆく      山頭火
bright sunbeams over the sea
I walk by taking glances





※豆は木のしつかに音をたて

何の豆かわからないので、英訳保留中です。

その2へ続きます。







最終更新日  2022.04.22 16:32:35
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秋山巌の小さな美術館 ギャラリーMami の町田珠実です。

お山しんしんしづくする真実不虚 山頭火

秋山巌「お山しんしん」1978年

「草木塔」より、鳳来寺拝登の前置き

 お山しんしんしづくする真実不虚

昭和14年4月22日、山頭火は豊川稲荷と鳳来寺を訪れています。
日記では、お山しづくする真実不虚
と、「しんしん」は入っていません。

【真実不虚】(しんじつふこ)は般若心経からの言葉。

以下、山頭火旅日記より

四月廿二日 雨――曇。

八時の電車で豊川へ、そして鳳来寺へ。
水筒には護摩水がいつぱい、辨当行李には御飯がいつぱい、ありがたう/\。
豊川稲荷は名高いだけあつて、その堂塔は堂々たるものである、豊川閣へは朝から自動車が横付けになつてゐる、金持がもつと金持になりたくて祈願するのだろう、私などにはおよそ縁のないところだ。
街筋は飲食店と土産物店との連続である。
お寺では小僧さんが流行唄をうたひながら、何だかなまめかしく掃除してゐた。
狐の像が多い、読経の調子も煽動的である。

さらに電車で鳳来山へ。――
駅からお山まで一キロ、そこからお寺(本堂)まで一キロ。
石段――その古風なのがよろしい――何千段、老杉しん/\と並び立つてゐる、水音が絶えない、霧、折からの鐘声もありがたかつた。
本堂前の広場でおべんたうをひらいて一杯いただいた。
ゆつくりして、二時半の電車で、四時すぎ帰来、よい湯に入れて貰い、おいしい御飯を戴いた。
夜は句会、主人、私、僊君、K君。
いつしよに出かけて一献酌んで別れた。
とかく飲みすぎ食べすぎ、そしてしやべりすぎる自分をあはれむ、あはれまないではゐられない!
・しみじみ濡れて若葉も麦も旅人わたしも
 雨ふりそゝぐ窓がらすのおぼろ/\に

  豊川稲荷
 春雨しとゞ私もまゐります
 どしやぶりの電車満員まつしぐら

  鳳来寺
 トンネルいくつおりたところが木の芽の雨
・ここからお山のさくらまんかい
 たたずめは山気しんしんせまる
 春雨の石仏みんな濡れたまふ
・石段のぼりつくしてほつと水をいたゞく
・人声もなく散りしいて白椿(薬師院)
・霧雨のお山は濡れてのぼる
・お山しづくする真実不虚
・山の青さ大いなる御仏おはす
 水があふれて水が音たてゝ、しづか
・山霧のふかくも苔の花
 ずんぶりぬれてならんで石仏たちは
 水が龍となる頂ちかくも
・水音の千年万年ながるる
・石だん一だん一だんの水音
 霽れるよりお山のてふてふ







最終更新日  2022.04.22 14:57:21
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2022.04.20



秋山巌の小さな美術館 ギャラリーMami の町田珠実です。

写真は、秋山巌「風は海から」1989年

風は海から吹きぬける葱坊主 山頭火

昭和14年4月20日 伊良湖崎(いらござき、伊良湖岬に同じ)を訪れた山頭火。

以下、山頭火 旅日記より


四月二十日 曇――雨。

早々出発、伊良湖崎へ、――二里。
若葉のうつくしさ、雀のしたしさ。
街はづれの潮音寺境内に​杜国​の墓があつた、芭蕉翁らの句碑もあつた、なつかしかつた。

沿道は木立が多い、豌豆の産地である、家はみな相当の大きさで防風林をめぐらしてゐる。
伊良湖明神はありがたかつた、閑静なのが何よりだ、御手洗は汲上井戸だがわるくなかつた、磯丸霊神社とあるのもうれしかつた、芭蕉句碑もあつた、例の句――鷹一つが刻んであつた。

岬の景観はすばらしい、句作どころぢやない、我れ人の小ささを痛感するだけだ!
なまめかしい女の群に出逢つたのは意外だつた、芭蕉翁は鷹を見つけてうれしがつたけれど、私は鳶に啼かれてさびしがる外なかつた。

易者さんですか、俳諧師ですよ!
――砲声爆音がたえない、風、波、――時勢を感じる、――非常時日本である。

今日は道すがら、生きてゐてよかつたとも思ひ、また、生き伸びる切なさをも考へた。
岬おこし、磯丸糖、――芭蕉飴などはいかが!

伊良湖から日出、堀切、小塩津、和地と歩いた、豌豆の外に花を作つている、金盞花が多かつた、養鶏も盛んである。

途中からバスに乗つて、赤羽根といふ漁村のM屋に地下足袋をぬいだ(昨夜の吉良屋老人に教へられた通りに)、予想したよりも、さびしい寒村であつた、宿も何だか変な宿だつたが、それでもアルコールのおかげで、ぐつたり寝た。

――たうとう雨になつた。

伊良湖の荒磯で貝穀を拾ひ若布を拾うたことは忘れられない。

 穂麦まつすぐな道が伊良湖へ
 鳶啼くや花ぐもり明るうなる
・風が出て来てからたちの芽や花や
 道しるべやつと読める花がちるちる
 松のみどりの山のむかうの波音
・とんびしきりに鳴いて舞ふいらござき
・風は海から吹きぬける葱坊主
 芽吹いて白く花のよな一枝を
・岩鼻ひとり吹きとばされまいぞ
                 (伊良湖岬)
 吹きまくる風のなか咲いてむらさき
 潮騒の椿ぽとぽと
・波音の墓のひそかにも
・風のてふてふいつ消えた
 波音のたえずして一人(赤羽根の宿)
 花ぐもり砂ほこり立てていつてしまつた
  ――(或る日或る時)――
・麦に穂が出るふるさとへいそぐ
  伊良湖岬
 荒磯ちぎれ若布を噛みしめる
 風吹きつのる汽車はゆきちがふ
・若葉へ看板塗りかへてビールあります







最終更新日  2022.04.22 14:44:37
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