秋山巌の小さな美術館 ギャラリーMami の「まみだより」

2022/05/11(水)18:05

山頭火とは知らずに世話した【細川亀吉】さんの日記その1

山頭火・俳句(72)

秋山巌の小さな美術館 ギャラリーMami の町田珠実です。先日記事でご紹介した山頭火の未発表句は、もともと、山頭火とは知らずに、晩年お世話をした【細川亀吉】さんという方の倉庫に保管されていたものだそうです。 記事はこちら↓​山頭火、未発表句その1​​山頭火、未発表句その2​ 細川亀吉さんは松山の方で、山頭火とは知らずに少しの間お世話をしたそうです。未発表句短冊の写真を提供して下さった松山のK氏が、日記の画像と書き起こしを提供して下さいました。前半の6/2~6/4は、実際の日にちとずれがあるそうです。 細川亀吉の日記 6/2~6/4 六月二日晴れ  へんな坊主が来たが、くさくて近よれん風呂へつれて行って、衣もぬがすと蚤がこぼれてはい廻って、みんながよってたかってさわぎまわした。 とにかく蚤を殺して、風呂へいれたら、又蚤がうきだした、くさくて近よれんけん客はみんな逃げた。私と息子が浮いた蚤をおけですくって、下水へ入れた、こんなくさくて蚤をつけた乞はよう衣を来ているのじゃろうか、 息子に体を洗わして、くさいのをのけるのに難ギをした、新しい湯衣にして顔をまっかにしてちょこんと座って、涼しげな顔しておった。 坊主の話をきけば、中国地方の生まれで全国を歩き廻りよるんじゃが、と云つちょる。 フロはいっていくんかなと聞けば、あったら行くと云つて大声で笑ったのには全くへんな坊主だなあ、と思って息子と相談して泊まらさうと思って 家につれかへった。 酒大好物のそうで夜中までのんでいろいろな話を聞いた。 名は坊主にだけしかいわん、おそくなったので、泊まらして話おきいたら、 とどのつまりは、ここらにある友人の墓参りに来たんじゃと云つた、 朝早く坊主のねるへやへ行ったら置手紙がしてあった 一期一会 と書いた紙があった。 六月三日くもり  ただ一人もんで全国乞い歩いて、おまんまをたべているようで、 またくるかないちいち話を聞けばおもしろいだろうな、 雨が降るので家の中でボロ紙の整理をしていた、 夕暮れに昨日の衣でニコニコしてきた、昨日は大へんごめいわくをかけたと頭をさげた。 四国はよいところじゃと笑っていたが涙顔だった 今日もフロへ入れて酒をのんでいろいろと話をきけばこの近くに友人の お墓があるようで いつもおがんで、帰り道に立寄つたとのことであつた、又お酒をすすめていろいろ話をきいた、そして十時頃にかえった。 六月四日くもり  くさい匂いがしたので、ふりむいて見ればいつものぼうさんが来ていた こちらは仕事がいそがしいけん 息子を呼んで息子に相手にさせた。 坊さんの家は城山の方であると判つた。 一期一会 と書いたのでもう来ないと思っていたのに度々来るようになってしまったムスコは風呂へ入れて洗ってあげて一杯のまして坊主の話をきいていた、 東京のことも京都のことも岡山のことも廣島も九州もいろんなところのこともよく知っていた、うらの川の水の音や鳥の来ることをしきりに気を つけていた。 ムスコは今日は用じあるので夕方帰った 一体この人はどこのだれかとむすこと話した。 前半ここまで、その2で9/15~をご紹介します。

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