ソロモンの鍵 外伝
頸文社さんのゲームブックといいますと、コンピュータゲーム等の原作持ち作品もさることながら、オリジナルゲームブックも沢山手がけているなど当時のゲームブックブームを走り去った印象の或る出版社さんです。一種双葉社さんと似た傾向もあるのですが、本書ソロモンの鍵外伝ではコミック版ゲームブックにするなど意欲的な作品傾向が見られます。原作となるゲームは、名作とも謳われるアクション・パズルゲームです。私は遊んだことは無いのですが、原作を遊んだ人は楽しい作品だった事を話されていました。本作はコミック形式のゲームブックで、1ページについて1項目という仕様の作品であります。項目数215、サイコロ等は使用しませんが、アルファベットに数値を入れていくバトルポイント制を使用していきます。この辺りは死んで(有利不利を)覚えていくしかありません。難易度的には…予想外に歯ごたえがあります。本書の最大の長所は、コミック型ゲームブックとしてバランスがよく取れていることです。コミックにもゲームにも偏ることなく、また某作品の様にイラストレイターに恵…あわわ、この漫画家さんは安心して楽しめます(失礼)。兎に角物語にメリハリもありますし、主人公の魔法使いガルトと妖精のエルとのやり取りが楽しく、テンポよく楽しむことができます。普通の冒険漫画として読んでも面白いです。コミック型ゲームブックは通常容量の関係からどうしてもボリュームは少なくなりがちです。ですけれども本書ではそういう不満点は無く、一つのお話を楽しむことができます。途中アイテムを手に入れていかないとクリアできず、案外条件の厳しめに作られているゲームではあります。これは結構難易度が高く一回でクリアできるのは至難の技でしょう。コミック型作品は意外と難易度はそう高くならないというのが個人的な印象なのですが、この作品は頑張っています。不満点としては、サイコロ等を使用しないシステムで、バトルポイント制の部分でしょうか。バトルポイント制は数値を振り分ける形で何度か遊べるゲームとなっています。サイコロやコイン等のランダマイザーは使用せずにゲーム性にバリエーションを与えているというシステムです。サイコロを振るというのは、場所をとったりしてゆっくり遊ぶ時には向いているものの、片手間で遊んだり電車の中等準備ができないときに遊ぶには向いていません。そういう意味では最初に数値を決めておければ冒険が進んでいく楽しみはあります。一方で、最初に数値を分けた時点で事実上ゲームがクリアできるかできないかが決まってしまうという問題点もあります。レベルアップでどんな数値を分けても何とかなる…なら良いかもしれないんですが…それは大変そうですね。このシステムは頸文社さんも双葉社さんも多用しているのですが、ゲームブックとして一旦クリアしてしまうと、その後遊ぶには難易度というか遊び慨がなくなってしまう問題点があります。せっかく面白い作品なので、あっちに行ったり、こっちに行ったりしてみたかったですね。