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第五章

 第五章 竜と機械とテクニック

 余裕の表情を浮かべた大介と徹の二人のもとにやって来たのは深雪とその親友、輝だった。
 「始まるから急ぎなさい。て言っても私たちの勝ちに決まってるけど」
「なぁ徹、面倒だから三分でやっちゃっていい?」
「あぁ、いいよ。どうせやり応えもないし」
「言ったわね!」
「あ、いや……済みません」
「どうせアンタ達が勝てるわけないんだから」
「ちょっと、深雪ちゃん~」
 輝の非難も届かぬまま試合が始まってしまった。何で付き添いで参加した私まで……、と今にも言いたそうである。
 「じゃ、俺から……」
「何でアンタからなのよ。私が先でしょ!ドロー!」
無理矢理先攻を奪った深雪はホーリー・エルフを守備表示で召喚し、更にカードを一枚伏せた。
 「ターンエンド」
 「お、やっと俺の番だ。ドロー!」
大介はカードを引くと、仮面竜をそのまま攻撃表示で召喚した。
 「ターンエンドだ」
「それはいくら何でも馬鹿にし過ぎでしょ」
「輝、やっちゃって」
「じゃ、ドロー!私は魔法カード、選ばれし者を発動!このカードの効果で三枚のうち一枚選ばなくちゃいけないけど、どっちが選ぶ?」
大介が選ぶことになり、選んだのは古代の機械拳だった。
 「なーんだ。カードの効果で、選ばれたのがモンスターじゃなかったから三枚を捨てなくちゃ」
「もっと頭使えよ」
すかさず徹は嫌味を言った。
 「これでも一応使ってるんだけどね、私は。魔法カード、死者蘇生!グリーン・ガジェットを特殊召喚!更に効果により、レッド・ガジェットを手札に加える。レッド・ガジェットを召喚!もう分かるわね?イエロー・ガジェットを手札に加えて、融合を発動!古代の機械合成獣を召喚!さ、これでターンエンド」
一ターン目にしてこれだけのテクニックを見せるのは容易い事ではない。流石に大介と徹の二人も驚かずにはいられない。
 「運の良い手札だね。俺だってそのくらい。ドロー!」
勢い良くカードを引き、カードを出した。
「俺は鋼鉄の騎士ギア・フリードを守備表示で召喚し、カードを一枚伏せてターンエンド」
 「じゃ、私のターン、ドロー!私はゼラの戦士を召喚!そして、フィールド魔法、天空の聖域を発動!もちろん、大天使ゼラートを特殊召喚!仮面竜を攻撃1500
のダメージ。ターンエンド」
「おいおい、ちょっと待てよ。仮面竜の効果で攻撃力1500以下のドラゴン族モンスターを召喚!俺は仮面竜を再び召喚!」
以前、徹に使ったコンボだ。ただし、今回は状況が違うのだが。
 「ドロー!俺はアームド・ドラゴン Lv3を召喚!更に魔法カード、レベルアップ!により、アームド・ドラゴン Lv3のレベルがアップ!Lv3からLv5へと進化。アームド・ドラゴン Lv5でホーリー・エルフを攻撃!カードを一枚伏せ、ターンエンド」
もちろん、大介はこのままでは終わらせない。
「と言いたいとこだけど、アームド・ドラゴン Lv5の効果でアームド・ドラゴン Lv7に進化!これでいいぜ」
 「ドロー!言い忘れたけど、古代の機械合成獣の攻撃力は2800に効果で300足し3100よ。どっちにしろ狙うは一つ、仮面竜だけどね」
「よく伏せカードに恐れなかったな。確かに正解だ」
大介はそう言って落ち着いているものの、ライフは残り900だ。
 「これだけじゃないわ。古代の機械合成獣が相手モンスターを破壊した場合、更に700ダメージを与える。だから、残りライフはたった200よ」
流石にこれでは危険すぎる。いくら大介といっても一撃で終わってしまう。
 「また仮面竜の効果でモンスターを召喚!今度は黒竜の雛だ!」
「でも、それじゃ深雪ちゃんにすぐにやられるわよ。まぁ、私はいいけど。これでターンエンド」
 「深雪に『ちゃん』とか似合わねぇ……」
つい口を滑らせてしまった徹は深雪に睨まれ慌ててカードをドローした。
「俺はモンスターとカードを一枚伏せ、ターンエンド」
 「私のターン、ドロー!」
明らかにその深雪の目は大介を狙っている。
「これで終わりよ。大天使ゼラートで黒竜の雛を攻撃!」
「罠カード発動!シフトチェンジ!攻撃対象をアームド・ドラゴン Lv7に入れ替えるぜ」
二体の攻撃力は同じだった。大介のフィールドには黒竜の雛しか残っていない。
 「カードを伏せて、ターンエンド」
「ドロー!これからが本番さ。魔法カード、レベル調整でアームド・ドラゴン Lv7を特殊召喚!更に魔法カード、リロード!そして、黒竜の雛の効果で手札から真紅眼の黒竜を特殊召喚!それにサファイアドラゴンを召喚!そして最後にレベルアップ!でアームド・ドラゴン Lv10を特殊召喚!」
一ターンにして三体を召喚する技量には誰もが驚いた。
 「アームド・ドラゴン Lv10で深雪を攻撃!」
「さっきの御返しよ。罠カード、精霊の鏡を発動!対象はもちろん大介!」
大介はアームド・ドラゴン Lv10で何とか防いだが、ここでモンスターを更に減らすのはまずいと思ったのか、カードを一枚伏せ、ターンを終了した。
 「ドロー!私は古代の機械兵士を召喚!そして古代の機械合成獣で真紅眼の黒竜を攻撃!これで私達の勝ちね」
だが、大介もこれまた粘り続ける。
「罠カード、攻撃の無力化を発動!知ってるだろうけど、そいつには魔法も罠も効くからな」
他の古代の機械と名のつくモンスターは戦闘時に魔法も罠も効かないのだ。しかし、この古代の機械合成獣は別だった。
 「ターンエンド」
今度は徹のターンだ。徹はカードを引いた。
 「モンスターを反転召喚、ドラゴン・ライダー!こいつの効果でこのターン、ドラゴン族一体をコントロールする。俺が選ぶのはもちろんサファイアドラゴン!」
余裕の表情で徹はサファイアドラゴンを自分の物にした。もちろん徹にもちゃんと考えがあった。
 徹の策略は勝利を導くのか、それともそうでないのかはやはり、二人の息の合
いようなのであろう……


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