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エトワール@ Re:10月・カンゲキのまとめ(10/30) 名古屋での「番町皿屋敷」をご覧になった…
gamzatti@ Re[5]:Kバレエ「クレオパトラ」@東京文化会館(10/23) なんすぃーさんへ コメントありがとうござ…
なんすぃー@ Re:Kバレエ「クレオパトラ」@東京文化会館(10/23) ありがとうございます! 言葉で感動を伝え…

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gamzattiさん

バレエ・ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、舞台大好き!

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全1970件 (1970件中 1-10件目)

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2017.10.30
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10月は東京国際映画祭があるので、映画が試写2、映画祭4、計6本といつもより多め。もっと見たかったが時間がかぶるなどして見られなかったものがあり。(映画祭は11月3日まで)
それに輪をかけて、今月は歌舞伎がめっちゃめちゃ多かった! 
歌舞伎7、伝統芸能2、演劇2、バレエ1、ミュージカル1で13本! へとへと。

【歌舞伎】
錦秋名古屋顔見世(昼の部)「重の井/番町皿屋敷/蜘蛛絲梓弦」@日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
錦秋名古屋顔見世(夜の部)「春重四海波/新口村/連獅子」@日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
芸術祭十月大歌舞伎(昼の部)「マハーバーラタ物語」@歌舞伎座
芸術祭十月大歌舞伎(夜の部)「沓手鳥孤城落月/唐人話/秋の色種」@歌舞伎座
10月歌舞伎公演「通し狂言 霊験亀山鉾」@国立劇場大劇場
スーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」(麦わらの冒険)@新橋演舞場
歌舞伎座スペシャルナイト「男伊達花廓」@歌舞伎座

【伝統芸能】
「平家琵琶の世界」@日比谷図書文化館コンベンションホール
「河東節開曲三百年記念演奏会」(夜の部)@歌舞伎座

【演劇】
「六条御息所」(李礼仙・小林勝ほか)@銕仙会能楽堂
オールアクトカンパニー『魔笛は三度鳴る』@テアトルbonbon

【バレエ】
Kバレエ「クレオパトラ」(中村/山本/キャシディ/宮尾)@東京文化会館

【ミュージカル】
「レディ・べス」@帝国劇場

【映画】
シネマ歌舞伎「四谷怪談」@東劇
「ダンケルク」@品川IMAX

【試写】
「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」
「不都合な真実2」

【東京国際映画祭】(10月分のみ)
歌舞伎座スペシャルナイト「地獄門」(4Kリマスター版)@歌舞伎座
「グレイン」
「現れた男」
「人生なき人生」

今月の最優秀作品は「マハーバーラタ物語」に。
歌舞伎としての完成度が高い。インドの話をしっかり落とし込んでいる。美術が素晴らしい。

最優秀主演男優賞には片岡仁左衛門を。
「通し狂言 霊験亀山鉾」中、「中島村焼場の場」は天覧ともなりましたが、
この場はとりわけ息をのむほどの色悪ワールド。
水右衛門の高笑いはぞっとするほど恐ろしかったし、
隠亡の八郎兵衛はまるで團七人形のように妖しく美しかった…。
芸術品なのです、人間だけと、すでに人間じゃない、という域。

最優秀主演女優賞には中村祥子を。
Kバレエ「クレオパトラ」のタイトルロール、彼女しかいない!と思わせる肢体。
ぜひ長く踊ってほしいです。

あと、錦秋名古屋顔見世昼の部で、
「重の井」魁春「番町皿屋敷」梅玉が素晴らしかったです。
特に「番町皿屋敷」で、青山播磨(梅玉)が1枚ずつ皿を割って菊に一歩ずつ膝詰めで迫るところは、
背筋も凍るほど。震えあがる菊を中村壱太郎も好演、素晴らしい座組でした。

東京国際映画祭では、
4Kリマスター版「地獄門」の美しさに惚れ惚れ。
しかし1953年ですよ。焼野原の戦後から8年ですよ。
京都が焼けなかったおかげとしかいえない。
文化不毛の戦中に、必死で伝統文化を守り抜いたすべての方々に感謝。
そして、それを世界に見せつけた方々に感謝。
父が大映に入社した気持ちがわかる。「羅生門」「地獄門」…当時世界で一番すごいもの作ってる
勢い盛んな会社、誇らしい会社と思ったことだろう。

グランプリとりそうなのが「グレイン」
これは事件ですってくらい、すごい映画ですよ。モノクロで撮ってますが、美しい!






Last updated  2017.11.10 11:21:36
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2017.10.23
それがバレエでなかったものを、
バレエとして表現するとはどういう作業だろう。
それが音楽でなかったものを、
音楽として表現するとは、どういう作業だろう。
謎多き実在の人生に、
物語を与えるとはどういう作業だろう。

そこに、確固たるコンセプトが存在しなければ、
どこかで見たような、何かで聞いたようなものばかりになってしまうはず。
どこにも存在しないオリジナリティを持ち、
かつ、観る者に安心感を与え、心情を想像しやすい様式を用いる。

それは歌舞伎の新作に、古典歌舞伎の手法を用いるもののように思えた。

新作だけれど古典の文法。それは、この新作バレエが古典になりうる要素でもある。

一幕目はエジプトを意識したつくりになっている。
序盤のまがまがしさは、彼が英国ロイヤルバレエでオリジナルキャストの一人を務めた
ブリテンの「パゴダの王子」(マクミラン振付)をほうふつとさせる。
カエサルがキャシディという西洋人であることが、はからずも
東洋対西洋のコントラストを鮮やかすぎるほど示していた。
クレオパトラの中村祥子の突出した魅力によって圧倒されるが、
クレオパトラやプトレマイオス(山本雅也)以外のヴァリエーションは音楽・振付ともいまひとつ。
エジプト王朝の権力闘争にローマ帝国との関係がどう関わっていくか、
場面がどうしても説明的になる。
これから更なるブラッシュアップが期待される。

それに比べて第二幕の見事さには舌を巻いた。
たしかにこの作品ならではのモチーフとなる音楽と振付は
序曲や一幕のクレオパトラのソロが担っているかもしれない。しかし
二幕はクラシック音楽として耳馴染みのよい音楽にのせて
クラシックバレエとしての技術が散りばめられている。
その技術の一つ一つが、重要なシーンの盛り上がりを加速こそすれ妨げない。
二幕だけで、白鳥の湖の二幕のように、このままいつでも上演できる。

一幕目、切れ者かつ絶世の美女ながら傲慢を絵に描いたようなクレオパトラが
二幕では威厳を保ちながらも愛を知る者になっている、その変化が一瞬で見て取れるのも素晴らしい。
カエサルとの愛の日々。愛息シーザリオンをめぐるローマでの不安定な立場。
そしてカエサルの失墜。
異国エジプトの女に加担することを是としないローマ元老院の面々が、
少しずつ円を狭めてカエサルを追い詰めていくシーンなどは圧巻。

そしてアントニウス役の宮尾俊太郎が、クレオパトラに心酔していく男を好演。
カエサルよりも小者でクレオパトラの手玉にとられたとも言われている男だが、
宮尾アントニウスと中村クレオパトラの間には、たしかに愛が見えた。

終盤、二つの曲線が交わるだけの「船」が、波打つ海に浮かぶシーンは最高に美しい。
クレオパトラのもとにやってきたアントニウス、それだけで、観客も幸せな気持ちになれた。
青々とした海の照明、魂を揺さぶる音楽が、シーンを支えていた。

特筆すべきはオクタヴィアヌス役の遅沢祐介と、
その妹にしてアントニウスの妻となる、オクタヴィア役の矢内夏子である。

中村祥子と対照的な女性を、クラシックバレエの典型ともいえる滑らかさたおやかさで表した矢内、
朋友アントニウスを信頼して妹を嫁がせたのに、裏切られたアウグスチヌス遅沢の、
締まった体躯でどこまでも冷静に戦い抜く姿。
二人とも正確かつ俊敏。敵役が大きくなければ物語がつまらないではないか!
カエサル亡きローマでありながら、微塵も弱さを感じさせない。
男たちの戦闘の殺陣は、よくも怪我をしないなと感動するほどであった。

舞踊が物語に求心力を与えているのだ。
「これまでのすべてを注ぎ込んだ」という熊川の言葉の通りだと思う。

狂言回しとなる案内人役・酒匂麗のスピーディな踊りは、最初から最後まで舞台を引き締める。
ブルータス役の井坂文月は、表情の演技が素晴らしく、5階からでも気持ちの変化が見てとれた。

そして思いも書けないラストシーン!
天へと続くような階段を、死んだはずのカエサルが、プトレマイオスが、アントニウスが、上っていく。
そしてクレオパトラも……。

凛としてこちらを向いたまま、クレオパトラは誇り高く仰向けに落ちていった!
それは歌舞伎の有名な作品、通称「碇知盛(いかりとももり)」の最後に似ている。
壇ノ浦の戦いに敗れた平知盛は、「見るべき程の事をば見つ。今はただ自害せん」
そう言葉を遺し、海中に身を投じた。
死体が浮きあがって首を取られないように、碇を体に巻いて投身したと伝えられる。

そういえば、海戦が始まるときのティンパニーは、歌舞伎の幕開きのときの柝の音と同じく、
どんどん間隔が狭くなっていく打ち方だった。

「日本人が西洋のバレエをゼロから作り上げる」とは、こういうことだったのか、と思う。
どこまでも美しく、誇り高いクレオパトラを大胆に演じた中村祥子に、
最高の賛辞を送りたい。






Last updated  2017.10.30 12:06:31
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2017.10.15
今月のまとめ、すっかり遅くなりました。怒涛の9月。歌舞伎3、文楽2、能1、ミュージカル2、演劇3で観劇は11本。映画は試写が2本でした。演劇3のうち、1つは「オペラ」と冠してありますし、こまつ座は音楽劇でありまして、最近の舞台は途中で歌う作品が珍しくなくなりました。でも、「ミュージカル」といえるものとは区別したいと思っています。

【歌舞伎】
秀山祭九月大歌舞伎(昼の部)「毛谷村/旅路の嫁入/幡随長兵衛」@歌舞伎座
秀山祭九月大歌舞伎(夜の部)「逆櫓/再桜遇清水」@歌舞伎座
郡上高雄歌舞伎「白浪五人男/絵本太功記/野崎村」@口明方小学校体育館

【文楽】
9月文楽公演第一部「生写朝顔話」@国立劇場小劇場
9月文楽公演第二部「玉藻前曦袂」@国立劇場小劇場

【能・狂言】
能楽金春流第十二回山井綱雄之會「二人静」@国立能楽堂

【ミュージカル】
「デスノート」(柿崎)@新国立劇場中劇場
宝塚月組「All for One」@東京宝塚劇場

【演劇】
「オーランドー」@KAAT神奈川芸術劇場ホール
百鬼オペラ「羅生門」@シアターコクーン
こまつ座「円生と志ん生」@紀伊國屋サザンシアター

【試写】
「ホリデイ・イン」
「ユダヤ人を救った動物園~アントニーナが愛した命」

今月の最優秀作品は、「百鬼オペラ羅生門」に。
芥川龍之介の名作を、観たこともない世界に作り上げた演出、舞台装置、振付、
クォリティの高い音楽、などなど。インターナショナルであって日本のコンテンツ。すごいです。

今月のMVPは、中村吉右衛門
「番隨長兵衛」はもう、至芸を超えて精神が肉体化したとしか思えなかった。

今月の特別賞を、郡上高雄歌舞伎に。
今年も、吉田剛くんはすごかった。でも、彼だけじゃなく、
一夜限りのパフォーマンスに底力を感じさせた全員の気迫。
また来年も行きたくなる、素晴らしい公演でした。






Last updated  2017.10.30 10:52:59
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2017.09.01
今月の舞台は歌舞伎5、文楽1、演劇3、ミュージカル4(5)、ダンス1で14、
映画は1でした。どの作品も力演で甲乙つけがたい。

【歌舞伎】
八月納涼歌舞伎(第一部)「刺青奇偶」「玉兎/団子売」@歌舞伎座
八月納涼歌舞伎(第二部)「修善寺物語」「東海道中膝栗毛~歌舞伎座捕物帖」@歌舞伎座
八月納涼歌舞伎(第三部)「桜の森の満開の下」@歌舞伎座
双蝶会「土佐将監閑居場」「一條大蔵譚」@国立劇場小劇場
研の会「頓兵衛住家の段」「禿/供奴」@国立劇場小劇場

【文楽】
大阪市立大学上方文化講座「祇園祭礼信仰記」(実演あり)

【演劇】
「プレイヤー」@シアターコクーン
「リミット9」@港区立麻布区民センター
「髑髏城の七人~season鳥」@IHIステージアラウンド東京

【音楽劇・ミュージカル】
「ふるあめりかに袖はぬらさじ」@明治座
「星の王子様」@東京芸術劇場プレイハウス
「ビューティフル」(平原綾香)@帝国劇場(2回)
「ビリー・エリオット」(未来/持田/柚月/益岡/中河内)@赤坂ACTシアター

【ダンス・バレエ】
「マクベス」@渋谷区文化総合センター大和田伝承ホール

【映画】
「東京喰種」@丸の内アカデミー

最優秀作品賞は、「ビリー・エリオット」に。
まさか日本でこれだけのことができるようになるとは、思っていませんでした。
特に、イギリスの炭鉱町の話を九州弁つまり筑豊の炭鉱を重ね合わせる台本にしたのは秀逸。
サッチャー政権をここまで揶揄する政治的な物語もそのままきちんと伝えていることも、すごい。

次点で「ビューティフル」
平原綾香が素晴らしい。私はすぐさまチケット買い増しして二日連続行きました。
描かれているミュージックシーンがドンピシャ自分の青春なんで、主観的なものもあるかと思い、
敢えて次点にしています。

MVPは、「ビリー・エリオット」のウィルキンソン先生役、柚月礼音に。
ダンサーとして大成できなかったちっぽけな人生を恨みながらも、
子どもたちに踊る楽しさを教える心意気、
ビリーを見出す瞬間、
家でやさぐれる様子、
すべてが素晴らしかった。そして華があった。
彼女の代表作になると思います。






Last updated  2017.09.03 19:22:54
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2017.08.01

今月は歌舞伎が6(2回行ったものがあり回数は7)、バレエ1、演劇2で9(10)、映画は試写が3でした。

 

【歌舞伎】

七月大歌舞伎(昼の部)「矢の根/加賀鳶/連獅子」@歌舞伎座

七月大歌舞伎(夜の部)「駄右衛門花御所異聞」@歌舞伎座

七月大歌舞伎(昼の部)「夏祭浪花鑑」@松竹座

七月大歌舞伎(夜の部)「盟三五大切」@松竹座

歌舞伎鑑賞教室「歌舞伎のみかた/一條大蔵譚」@国立劇場小劇場

曳山まつり子ども歌舞伎東京公演「長刀組太刀渡り/伊勢音頭恋寝刃/本朝廿十四孝」@国立劇場小劇場

 

【ダンス・バレエ】
石神井バレエアカデミー「トリプル・ビル」@文京シビック

 

【演劇】

「子午線の祀り」@世田谷パブリックシアター

オーパーツ「天国への階段」@池袋サンシャイン劇場

 

【その他】

歌舞伎座ギャラリー

玉三郎x土屋恵一郎対談「演じるということ」@明治大学駿台キャンパスアカデミーホール

 

【試写】

「関ヶ原」

「米軍がもっとも恐れた男~その名はカメジロー」

「夜明けの祈り」

今月の最優秀作品賞は「子午線の祀り」に。
朗読劇というより、もはや普通の演劇でして、平家物語を文語で朗読する難解さから現代人を救う手立てとしての体の表現がとても素晴らしかったです。「敦」の「名人伝」を彷彿とさせました。
俳優では村田雄治がよかったです。

今月のMVPは石神井バレエアカデミーの「トリプル・ビル」から、「パ・ド・カトル」
吉田都、酒井はな、西田佑子、沖香菜子の4人でパ・ド・カトルですよ。夢のようでした。
この公演では、男性陣も高岸直樹、秋元康臣、浅田良和、池本祥真、細野 生、土橋冬夢という布陣で、特に元Kバレエの3人は久々にパフォーマンスを見られてうれしかったです。

最優秀男優賞には、尾上松也を。
一寸徳兵衛が髭を抜いているところ、惚れ惚れしました。

番外ですが、坂東玉三郎丈の「演じるということ」という講演・対談は充実していて、
質問コーナーでは学生たちの純粋な質問に真摯に答える姿が素晴らしかったです。
本当に勉強になりました。

あと、
今月は、私の大好きな片岡仁左衛門丈の「盟三五大切」がかかったので、大阪まで行ってまいりました。
もちろん素晴らしかったですが、以前観たときほどの衝撃はありませんでした。
以前より、わかりやすく演出を変えたような気がします。その分説明的になってしまったのではないかと。
だからこそ、
無言で暗闇の中押し入り、五人斬りを行う場面が飛びぬけて美しかった。
歌舞伎は理屈じゃない。そう思った次第です。

とはいえ、充実した公演であったことはたしか。息をつめて観ていました。2回も!







Last updated  2017.08.16 08:45:02
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2017.07.01
今月は歌舞伎3、文楽2、演劇1、バレエ・ダンス3で舞台が9、映画が2でした。
平成中村座は、ずっとチケットがとれず、最後に夜だけおさえることができました。
「仇ゆめ」よかったです。

【歌舞伎】
名古屋平成中村座(夜の部)「義経千本桜(川連法眼館)/弁天娘女男白浪/仇ゆめ」@名古屋平成中村座
六月大歌舞伎「名月八幡祭/浮世風呂/弁慶上使」(昼の部)@歌舞伎座
六月大歌舞伎「鎌倉三代記/御所五郎蔵/一本刀土俵入」(夜の部)@歌舞伎座

【文楽】
6月文楽鑑賞教室「二人禿/解説 文楽へようこそ/仮名手本忠臣蔵(三段/四段)」(午前の部)
6月文楽鑑賞教室「二人禿/解説 文楽へようこそ/仮名手本忠臣蔵(三段/四段)」(午後の部)

【演劇】
六月花形新派公演「黒蜥蜴」@三越劇場

【バレエ・ダンス】
Noism1「Lievestod―愛の死」@彩の国さいたま芸術劇場大ホール
横浜バレエフェスティバル2017@神奈川県民ホール
Kバレエ「ジゼル」(荒井/山本/堀内)@東京文化会館

【映画】
「海辺のリア」@スバル座
「20センチュリーウーマン」@丸の内ピカデリー

最優秀作品賞
再演ですが、Kバレエの「ジゼル」にあげたいと思います。
なんといっても荒井祐子のジゼルが素晴らしく、
これが一夜限りというのがなんとも惜しい気がしました。
出てきたその瞬間から、
ジゼルはもう命が燃え尽きそうな運命を背負っている。
楽しそうに笑うその微笑みの中に、悲劇が見える。
なんてすごいんだ、この人! と思ったわけです。

山本雅也のアルブレヒトも
王子としての気品と傲慢がきちんと表現されていて、うっとり。
熊川/ヴィヴィアナのコンビのときは、
ジゼルが死んだ後、家臣を振り切って戻ってくるのですが、
山本アルブレヒトはうろたえて、気持ちはありながらもそのまま去る。
彼にとって、それが自然です。
Kバレエの、そうした柔軟性というか、心理描写の機微が光りました。

ラスト、朝日の中で消えて行くジゼルで初めて泣いた。
アルブレヒトの腕をぐっと握って離さず、この世に気持ちをおいて昇天するジゼルに、
前の晩逝ってしまった真央さん(海老蔵丈の奥様)の「愛してる」が重なって、
泣けて泣けて。

最優秀主演女優賞
そんな荒井祐子をさいおいて、私は中村雀右衛門にあげたい!
(女優じゃなくて女方だけど)
弁慶上使のおわさ、御所の五郎蔵の皐月、鎌倉三代記の時姫、と大車輪だった歌舞伎座、
本当に充実で、
弁慶上使や鎌倉三代記はわかりにくい演目の最右翼だけど、
彼女の仕草や科白がちゃんと浄瑠璃に乗っていたので、物語がそこから紡がれていった。
今回「なるほど」と心情が納得できた部分がたくさんありました。
とくに弁慶上使は、おわさがよかったからこそ吉右衛門の弁慶が引き立ったし、
物語の奥行きがきちんと伝わって素晴らしかったです。

最優秀主演男優賞
新派「黒蜥蜴」の喜多村緑郎に。
私の中ではまだ段治郎さんですが。
声の良さはいうまでもありませんが、
明治の錦絵から浮かび上がったようなお顔!
そして、宝塚の男役か?っていう背広の着こなし。
一枚の絵の中に、憂いをとどめられる役者であることを証明していました。
新派でのますますの活躍を期待します。

敢闘賞
文楽「仮名手本忠臣蔵」の「城明け渡しの段」で
無言でほとんどまわるこの段の雰囲気を壊さず、
最後の一言「はったと睨んで」をしっかり語った
豊竹咲寿大夫に。






Last updated  2017.07.06 12:00:50
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2017.05.29
今月は歌舞伎が4(回数は5)、文楽2、バレエ1、ライブ1、その他1で9(10回)でした。
映画は1回。
歌舞伎は珍しく(笑)5回のうち3階が1階席というぜいたくだったので、
気分的にはものすごく充実していて5回以上見ている気がする。

【歌舞伎】
團菊祭五月大歌舞伎(昼の部)「梶原石切/吉野山/魚屋宗五郎」@歌舞伎座
團菊祭五月大歌舞伎(夜の部)「壽曽我対面/伽羅先代萩/弥生の華浅草祭」@歌舞伎座
五月花形歌舞伎(昼の部)「戻駕色相肩/金幣猿島郡」@松竹座
五月花形歌舞伎(夜の部)「野崎村/怪談榎木乳房」@松竹座

【文楽】
5月文楽公演(昼の部)「寿柱立万歳/口上/菅原伝授手習鑑」@国立劇場小劇場
5月文楽公演(夜の部)「加賀見山旧錦絵」@国立劇場小劇場

【ダンス・バレエ】
Kバレエ「海賊」(矢内/杉野/益子)@オーチャードホール

【ミュージカル・ライブ】
「ソニンライブ―faithー」@Bar Rhodes

【その他】
「氷艶hyoen2017―破沙羅―」@国立第一代々木体育館

【映画】
「美女と野獣」(吹き替え版)@MOVIX柏の葉

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今月のMVPは、やはり「氷艶」でしょう!
世界初のエンターテインメントは、本当に完成度が高く、ワクワクし、
歌舞伎界、フィギュア界、プロジェクションマッピング、TAO、
ワイヤーアクション機材やスパイクシューズというすぐれもの、と
現在の日本がこれだけの宝を持っているからこそできたこと。
染ちゃんの妄想が形になった中でも、これは相当でっかい妄想でしたね~。
「歴史の証人」になってとってもうれしいです。

最優秀主演男優賞は、「怪談乳房榎」の中村勘九郎に。
早替わり、すごかったです。こなれてきました。自分のものになってきましたね。

最優秀主演女優賞は、「海賊」の矢内千夏に。
特別賞に同じく「海賊」の益子倭に。
「海賊」についてはレビューを別に書いています。

敢闘賞は「野崎村」でお染を演じた中村児太郎に。
「野崎村」はいわゆるスピンオフであって、母屋は「お染久松」。
お染のキャラがちゃんと立っていなければ、お光の物語は浮かび上がってきません。
児太郎は、野崎村にたどり着くまでのお染の人生をちゃんと背負って演じていました。






Last updated  2017.05.29 11:53:19
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2017.05.28
序曲が始まり、紗幕の向こうに海賊たちの揺らぎが出現。
半裸のアリの胸板の陰影が目に留まり、そして彼が前方に何かを発見すると、
いよいよ物語が始まる。
私たちはすでに、冒険の渦の中……。

熊川哲也が「海賊」を再振付し全幕ものとしてKバレエ版を披露してから、
もう10年が経つ。
この「海賊」で熊川は大けがをした。
この「海賊」で活躍した多くの男性ダンサーの中には、すでにバレエ団を離れている者も多い。
それでも次から次へと新しい星たちが表れ、
コンラッドを、アリを、ランケデムを、ビルバントを、魅力的に演じ、踊る。
今回は男性陣だけでなく、洞窟でのヴァリエーションなども音楽と調和して見応えがあり、
改めて見どころ満載のよいプログラムであることを実感した。

中村/遅沢/井坂、浅川/宮尾/山本、矢内/杉野/益子の3クルーのうち、
益子倭のアリが見たくて5/27(土)の昼の部を鑑賞。
益子は自ら「(熊川)ディレクターと体格が似ている」ことを自覚し、
彼の体型に合わせた振付をそのまま自分に移せるメリットを最大限に利用している。

そう。
私はそこに熊川の幻影を見る。
もちろん、同じではない。
宝箱を運ぶ仕草や刀を振るっての殺陣などを見れば「まだまだ」はおのずと知れる。
けれども、ここぞアリの踊り、というところでは、
ジャンプの高さ、滞空時間、動と静のメリハリ、行くところまで行くぞというピルエットなど、
申し分のない出来である。
バレエユースの第一回公演パンフレットのプロフィールには
「いつか熊川さんの息の根を止めるダンサーになりたい」と大胆発言。
先日バレエGentsにインタビューする機会に恵まれ、そのことに触れたら
「逆に息の根止められそう」とか他のメンバーに茶化されていたけれど、
その志やよし。
彼は昨年「ラ・バヤデール」でのブロンズ・アイドルとしてのデビューを
怪我によって棒に振っているが、
その直前に観たソロルの踊りに比べ、格段に踊りの精度が増したように感じるのだ。
ひどい怪我でなくてよかったと思うと同時に、
休養期間、頭を使ってしっかりと過ごしたんだな、と非常に満足している。

技術だけではない。
私は「アリ」という人物造形にうなった。
「ラ・バヤデール」の白眉は何といってもグラン・パ・ド・トロワ。
海賊のアジトである洞窟に、キャプテンであるコンラッドの賓客(にして妻)の
メドーラを迎える踊りだ。

ここを、ガラ公演ではメドーラとアリのみのグラン・パ・ド・ドゥとして切り取ることが多い。
そのため、そこだけ見るとアリとメドーラが相思相愛の仲だと誤解してしまうことがある。
しかしアリは、あくまでしもべなのだ。
自分が心酔し尊敬し、どこまでも忠誠を誓っているコンラッドの大切な人を
全力でお守りするという気持ちで迎え入れ、そしてコンラッドに引き渡す。
そういう踊りである。
だから、メドーラと対等の気持ちで踊ってはいけない。
野心はない。あくまでコンラッド命。だから最後に身替りとなって命を落とす。
忠誠の男なのだ。
そこがぶれずによく表れていたアリだった。

そうした「コンラッドとメドーラ」より一歩引いた存在でありながら、
弾けんばかりの身体能力と常にフルアウトの気概と活躍、
そしてキャプテンの一番の腹心であるというプライドによって、舞台でもっとも輝く。
そういうアリに、益子はちゃんとなっていた。

アリが観客を沸かせるから、コンラッドも負けてはいられない。
コンラッドは演技部分が多いので、あまり踊れなくていい、みたいに思われがちだが、
そんなことはない。
杉野のコンラッドはソロもトロワもそしてその後のメドーラとのパ・ド・ドゥも
若々しい中にキャプテンとしての大きさを感じさせるコンラッドだった。

そしてメドーラ!
矢内千夏は完璧。出てきただけで光り輝く。スターのオーラ。
演技ではない。技術に演技が融合している。踊りに喜怒哀楽を背負わせることができるプリマなのだ。
これだけ踊れる矢内がまだソリストだという驚異!
ていうか、
コンラッド杉野、メドーラ矢内、ランケデム篠原、ビルバント石橋、全部まだソリストでっせ。
そして益子アリに至ってはいまだファーストソリストなのであった!

3ヴァリエーションでも柱はソリストの井上とも美だが、大井田百と岩渕ももはファーストソリストだ。
若手を起用したたった1回の公演でも、これほど完成度が高いというKバレエの層の厚さに、
私はもう、感無量なのでありました。






Last updated  2017.05.29 10:07:39
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2017.04.29
4月は歌舞伎6、演劇3、ミュージカル1、バレエ・ダンス2で舞台は計12でした。
映画は試写のみで3。

【歌舞伎】
四月大歌舞伎(昼の部)「醍醐の花見/伊勢音頭恋寝刃/熊谷陣屋」@歌舞伎座
四月大歌舞伎(夜の部)「傾城反魂香/桂川連理柵/奴道成寺」@歌舞伎座
こんぴら歌舞伎大芝居(第一部)「神霊矢口渡(頓兵衛住家の場)/忍夜恋曲者/お祭り」@金丸座
こんぴら歌舞伎大芝居(第二部)「葛の葉/口上/身替座禅」@金丸座
赤坂大歌舞伎「夢幻恋草紙~赤目転生」@赤坂ACTシアター
曳山祭り・山車上の子ども歌舞伎のうち「紅葉狩/花祭長浜城(フィガロの結婚より)」@長浜市

【演劇】
「エレクトラ」@世田谷パブリックシアター
「ハムレット」@東京芸術劇場プレイハウス
「フェードル」@シアターコクーン

【オペラ・ミュージカル】
「王家の紋章」(浦井/濱田/宮澤/平元)@帝国劇場

【バレエ・ダンス】
イゴール&モレノ「イディオット・シンクラシー」@伝承ホール(渋谷区文化総合センター大和田)
セルゲイ・ポルーニン「Take Me to Chrch」@東京芸術大学奏楽堂

【試写】
「アンジェイ・ワイダ~残像」
「ダンサー~世界でもっとも華麗な野獣」
シネマ歌舞伎「東海道中膝栗毛」

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今月は盛りだくさんで、MVPを決めるのは本当に難しいですね~。

MVP
曳山祭りの山車上子ども歌舞伎

古典の「紅葉狩」、
システィナ歌舞伎の「フィガロの結婚」をご当地ものに書き換えた「花祭長浜城」、
いずれも子どもたちのパフォーマンスとは思えない出来で、
ただの可愛さや素人であることを差し引いて、私たちに感動をもたらす芸域だった。
春休みからの稽古でここまでもってくる大人たちの努力、
プロ顔負けの浄瑠璃語りや鳴り物の素晴らしさ。いつまでも続いてほしい至芸です。
(ほかにも異なる山車で上演されたものがありますが、
 時間と場所の都合で私が拝見できたのはこの2つのみでした)

最優秀作品賞

「身替座禅」@こんぴら歌舞伎

仁左衛門の山蔭右京と彌十郎の玉ノ井、松緑の太郎冠者のバランスが最高によく、
金丸座という小屋の雰囲気や規模も手伝ってか、
仁左衛門丈の右京がこれまで観た中でもっとも楽しそうにはじけていたように思います。

最優秀主演男優賞
平岳大(イポリット@「フェードル」)

これまでに見たどんなイポリットより清々しく、そして説得力があった!
彼が誰かに語りかけることで、ありとあらゆる背景が浮かび上がってくる。
「フェードル」は大好きで、舞台にかかるたびに観ているが、こんなに物語全体が見えたことはない。
イポリットが置かれた状況こそが、物語の支点であると納得!
できすぎの父親を観て生きるイポリットの葛藤は、彼自身、自分と重なる部分もあったのだろう。
素晴らしい役づくりだった。

最優秀主演女優賞
片岡孝太郎(お舟@「頓兵衛住家の段」)

女優でなくて女方ですが、この枠で。
前半の目がハート娘のコメディエンヌから必死の形相の後半まで、
お舟という女性が自分の恋心にまっすぐ向き合うさまを
至芸で見せてくれました!

5/6(土)、KSB瀬戸内海放送でこんぴら歌舞伎の特集番組が放送予定ですが、
その中で歌舞伎ビギナーのガイド役として辻アナウンサーのお供をさせていただきました。
「頓兵衛~」は辻アナにとって初めての歌舞伎でしたが、それがこの孝太郎さんのお舟だったことは、
本当に幸せだったと思います。舞台全体もよく締まり、見事な舞台でした。

敢闘賞
イゴール&モレノ(「イディオット・シンクラシー」@伝承ホール)

「ダンスで世界を変える!」と銘打ってチャレンジングなダンスをひっさげ初来日の2人。
休みなく続く正確なジャンプは、最初少年の遊びのようでいて、次第に重低音が混ざり、
魂の響きへと連なっていく。
ジャンプのリズムは心臓の鼓動であり、鼓動の高鳴りは魂をシェアできる存在と共鳴し合う。
技術と体力、そして志、いずれも高い二人に。






Last updated  2017.04.30 10:57:02
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2017.04.28
初演に比べ、
あんなところこんなところがかなり変わった、というウワサは
いろいろ聞いておりますが、
私は初演を観ていないのでその点についてはなんとも言えません。
逆に、なぜ初演に行かなかったか、といいますと、
「王家の紋章」というマンガにあまり心を惹かれたことがなかったからです。
すごい人気だったし、もともとエジプト文化とかにも興味がある方なので、
チャンスがあるたび何度もトライしましたが、
キャロルにまったく感情移入できなかったのでそのたび断念。
だから、
大好きな浦井くんがメンフィスだとか聞いても心が動かなかったんです。

昨日、午前中と夜に所用があって、
一度帰宅するのは中途半端な時間が空いてしまったので、
劇団四季の「ノートルダム」か滝沢歌舞伎でも(でも?)観ようかと調べたら
すみません、「でも」とか舐めててすみません、チケット入手が困難で
「王家の紋章」はゲットできたので行ってまいりました。

予備知識なく、ある意味、本当に「素」のまま劇場に行ったのですよ。


以下、ネタバレしますので、
これから行く人は、観劇なさってからお読みくださいませ。








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ネタバレしますよ!

















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辛口ですよ!















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ミュージカルですから、まず楽曲が大切ですよね。
「屋根の上のバイオリン弾き」でも「レ・ミゼラブル」でも「オペラ座の怪人」でも、
「ミス・サイゴン」でも「キャッツ」でも、
タイトルを聞けばその場面と旋律が思い出されるような、そんな魅力的な歌が
このミュージカルにはありませんでした。

リーヴァイさん、どうしちゃったの?って本気で思った。
「モーツァルト!」とか「エリザベート」とか作った素晴らしい方なんですが、
これは自己模倣の寄せ集めとしか思えん。
短調から長調への転調コード進行とか編曲とかまったく同じだから、
別の作品の名曲のサビが頭に浮かんできてしまうほど。

あと、歌手の音域や生理を無視してるように思う。
もちろん、それを凌駕する歌手ばかりであれば気にならないのかもしれないけれど。でも、
どの歌手にも自分の良さがもっともよく出る音域というものがあって、
そうでない音域だとたとえ楽に出る音域でも、
魅力が半減してしまうのですよ。
有名なミュージカル歌手たちがこんなにたくさん出ているのに、
皆低音をうろうろしたり、音程が定まらなかったり、
今までに比べなぜかヘタに聞こえてしまって、
才能を生かし切っていない、もったいないと思いました。
曲調に感情と一体になる抑揚がなく単調。
ピアニッシモは声が詰まり、
フォルテッシモはがなるばかり。
豊かな声、というものに出会う回数が少ない舞台でした。

歌手の音域や生理を無視してる。ということは、
聴衆の生理も無視しているということで、
歌を聞いている気持ちよさが理屈なしに心を洗うというような現象がまったくなかった。
歌詞も頭にすっと入ってこない。
心情と歌詞が旋律に乗って初めてアタマとココロがシンクロするというのに、
そういう歌い方ができていたのは、女官長ナフテラ役の出雲綾のみでした。

この前、
トニー賞コンサートin Tokyoに行ってきましたが、
ケリー・オハラの歌声は本当に素晴らしかったです。
そのうえ井上芳雄もそれに負けないくらい心が揺さぶられ、
それからディズニーコンサートで海宝直人の歌声にも感動し、
ああ、日本のミュージカルもここまで来たんだ、と思ったばかりだったので、
余計悔しくてなりません。
浦井君、下手になったんじゃないの?ってほんと思ったよ。
大好きな浦井君、がんばれって思った。
他の人たちも、みんなこんなもんじゃないはず。
そう思いたい。

ストーリーに関しては、
先ほども言ったように原作自体に無理があるので、
あまりツッコミたくないのですが、
それにしても、
一人ひとりの心情の掘り下げ方が浅すぎる。

そして衝撃のラスト!

「えっ、これで終わり?」

キャロルがメンフィスと生きることを決意するのはわかる。
だけど、
「エジプト上下を二分することがあってもそれはあなたのまいた種」と言っていた
姉のアイシスが、
メンフィスの姉にして弟を異性としても愛しているアイシスが、
なぜ最後に唱和して大団円?
彼女はどこで恋をあきらめた?
どこでキャロルと身内になることを受け入れた? わからん。

そもそも冒頭、
現代エジプトで王家の墓に来たキャロルが
墓の中の花束を手にした途端
「封印が解かれた」と言ってキャロルを古代に誘ったのはアイシスだよね?
どんな封印だったのか、
封印されるようなものがあったのか、
封印したのはアイシスなのか、
ていうか、
あの墓はあのあとどうしたんですか?
キャロルが古代で命全うした証拠とか出てくるんですか?
出てこないんですか?
ナゾすべて放置??

古代に生きることにしちゃった妹を探し続ける兄のライアンも
あとは野となれ山となれ状態?

王家の墓をあばいたら呪いがかかるって言われて、
そんなの迷信だって言ってたら妹がいなくなって、
と思ったらみつかって、でもまたいなくなって、って
どんだけトラウマなんだ?
「俺のせいで愛する妹がいなくなった」ってきっと思ってる。

せめて最後の場面の片隅に出して
「キャロル~!」って叫ばせてあげたかったよ。

そうなんです。
伏線がまったく回収されていないんですよ、このお話。
筋の展開に説得力もないし。
なぜキャロルが古代から現代に帰ったあとに、
また古代に戻ることができたのか。
現代に戻ったのは命の危険とかそれなりに納得できるんだけど、
問題は二度目に古代に行くきっかけ。
キャロルが「行きたい」と思うといつでも行けるの?とか。
ご都合主義だな~、と思ったわけです。

だいたい、
鉄の刀を持っているヒッタイト軍団に、
エジプト軍はどうやって戦ったのか。
「鉄の文化が世界を制するのよ!」ってキャロルが言ってたんだから、
勝つにしても引き分けるにしても、
「うう、ヒッタイトの鉄の剣、すごい!」みたいな描写がないと。
そのヒッタイトのイズミルに斬られちゃったキャロルが
あのまま死なないってどうよ?
ハリボテといえ、メンフィスの剣が一番切れそうってどうよ?

作り物のお話しだからこそ、
細部のリアリティがないとウソくさくなる。
そこでつまずくと、
お芝居って楽しめなくなっちゃう。

これが初演だったらこれほど辛口に書かないんですが、
手を加えて再演してこれって、修正の方向が間違っているんじゃないかと思うんです。

ミュージカルといえば劇団四季、と言われていた時代から
帝劇ミュージカルが日本の最高峰と謳われるようになって久しい。
何度心を撃ち抜かれ、何度涙し、胸熱くしたことでしょう。
たくさんの名作、名歌手に恵まれてきた帝劇ミュージカル。大好きです。
ここ数年、意識して世代交代に取り組んでいることはわかっています。
それは大切な取り組みですし、そこから城田優というスターも生まれました。
でも、この「王家の紋章」を見ると、
作品・歌手ともに次世代への発展の方向性を定めあぐねているようにも見えてきます。

恐れずに新人起用するのは大切なことですが、
宮澤佐江さんは、まだミュージカルの主役には早いと思いました。
歌がうまいとか声量があるとか、そういう才能に恵まれていたとしても
それだけでは務まらないのが「主役」というもの。
圧倒的なオーラ。
観客を魔法にかける力がないと、なれないと思いました。
少なくとも、
主役でないところからミュージカルやクラシックの発声の勉強をされたほうがよいと感じました。

出雲さんの歌が一番よかったって思ったということは、
いいことじゃなくて悪いことなんだと思う。
出雲さん「も」よかった、じゃなくちゃ。
宮澤さんだけじゃなくて、他の人たちも
もっと奮起してもらわなくてはならないと思っています。
奮起に足る作品であってほしいと心から思います。






Last updated  2017.04.29 11:58:06
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