ガムザッティの感動おすそわけブログ

2007/03/29(木)07:17

「東京オリンピック」

ドキュメンタリー(44)

もう一度、東京でオリンピックを、と石原慎太郎氏は言っているが、 たとえもう一度やっても、1964年の感動はないだろう。 オリンピックというものが、 ただスポーツを愛する人たちの祭典であり、 世界平和の象徴だと信じられていた。 そんなオリンピックがあったんだという証明がこ市川崑#長篇記録映画#東京オリンピックである。 同時代に生きた人にはたまらない、あのファンファーレや、 一糸乱れぬ開会式の整然美。 一転、閉会式は図らずも各国選手が入り乱れて肩を抱き合い、 文字通りノーサイドのホイッスル後を、互いに讃えあった。 最近、「閉会式は国別に入りません」という演出をすると、 結局はみな国別に集まり、国旗を振って騒ぐのがオチ。 「図らずも」 ここに、時代の空気と希望があったのだ。 オリンピック開催自体が日本の戦後復興アピールだったわけだが、 (冒頭であれほど持ち上げてはいるものの、政治的側面は歴然としてあった) ドキュメンタリー映画の製作もまた、 日本の映画界の総力を終結して作られた。 監督・市川崑 脚本には、市川とコンビの和田夏十や、 詩人の谷川俊太郎の名前も見える。 撮影陣に、溝口健二作品には欠かせない宮川一夫。 映像美のヒミツは、市川・宮川という布陣にあったと納得。 音楽は、黛敏郎。 渋くて重厚なナレーションは、三國一朗である(1965)。

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