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ガムザッティの感動おすそわけブログ

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gamzatti@ Re[1]:「ムー」「ムー一族」(05/28) ひよこさんへ 訂正ありがとうございました…
ひよこ@ Re:「ムー」「ムー一族」(05/28) ジュリーのポスターに向かってジュリーっ…

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gamzatti

gamzatti

2007.05.20
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おとといの、熊川哲也の記者会見、テレビでは見られなかったんですが、
以下のサイトで全会見が見られるようになっていました。

http://www.ints.co.jp/k_ballet_2007springtour/index.htm

KバレエカンパニーのHPから入ることもできます。

熊川が「ショック」という言葉を連発していたのが、とても印象的でした。
最初の二日間、まったく歩けなかったのが、三日目からかなり回復した感じがするとかで、
もう歩いている、というのが、安心するやらヒヤヒヤするやら・・・。
たくさんのアスリートが同じような怪我から復帰していることが
彼の希望になっているようです。
「踊りたい」という気持を増幅させて、
復帰後、また一段と「円熟したダンサー熊川哲也」を見せてくれることを期待します。
そんなに早くなくていいから、
しっかり治してほしい~~。
TBSさん、7月の「ドン・キ」のために、とせっつかないでね。



さて、今日は「ジゼル(GISELLE)」のお話を。

私が初めて英国ロイヤルバレエの舞台を見たのは、
1995年来日時の「ジゼル」。
東京上野の文化会館。3階中央。
ダンサーたちが豆粒のように遠くに見えた。
顔の造作など、目も鼻の位置も、何もわからない。
それでもヴィヴィアナ・デュランテ演じるジゼル狂乱の場面は、
私に衝撃をもたらした。
アルブレヒトと花占いをした思い出にひたりながら、
1枚、次の1枚、と花びらをちぎるジゼル。
かなう、かなわない、かなう、かなわない・・・・・・
ゆっくりと首をたてに、そしてよこにと振っていた彼女が、
そのうち、かなわない、かなわない、かなわない!!!と
激しくかぶりを振り続けるようになる。
信じていた恋が、自分の体からすり抜けていってしまったような、
自分の心も体も壊れていくジゼルの絶望が、
4階の私にまで伝わってくる。
そして息絶えたジゼルを掻き抱き、
「お前のせいだ!」とヒラリオンンを指差し、なじるアルブレヒト。
「なんだと? 婚約者がいながらジゼルをたぶらかしたお前こそ! 
お前の不実のせいで、ジゼルは死んだんだ!」
セリフのないバレエなのに、二人の男の諍いの声が、たしかに聞こえた。
日本語で。
テレパシーのように。

その来日公演、熊川哲也はパ・ド・シスを踊っている。
プリンシパルになったものの、ロイヤルで王子役はほとんどまわってこなかった。

アルブレヒトとしてヴィヴィとジゼル全幕を踊るのは、
熊川の悲願の一つであり、
Kバレエで本格古典全幕に取り組んだ最初の演目が「ジゼル」なのには、
そういう気持もあったのではないかと思う。

熊川のアルブレヒトは七色。
Kバレエでやる前から、彼はさまざまにアルブレヒトを演じてきた。

単なるプレイボーイの時もあった。
田舎娘にちょっかいだして、婚約者にバレたら、悪びれもせず
「はいはい、そうですよ、ちょっと遊んじゃった」みたいに居直ったのが、
谷桃子バレエ団で高部尚子とやった時(1997年1月)。
あの時は、ジゼルが死んで、初めて自分が失ったものの大きさを知る。
死んでウィリとなってもなお、自分を守ろうとするジゼルに真の愛情を感じた瞬間、
ジゼルは朝の光とともに消えてしまう。
涙にくれ、慟哭するアルブレヒト。悲劇のエンディングである。

かわって、ゲスト出演したボリショイでのアルブレヒト(1997年9月)。
勝手に決められた婚約者ではなく、ジゼルを心から愛している。
ジゼルの前で婚約者に「挨拶のキス」を求められると、
苦虫を潰したような顔で、渋々手の甲に口づけるアルブレヒト。
この時のラストは、死んでなお自分を守ってくれたジゼルの墓の前で、
「僕たちの愛は、永遠だね」と清々しく微笑んで終わる。
どうせこの世では結ばれぬ二人なのだ。
閉塞した貴族社会の中の、アルブレヒトの苦悩と救済が描かれていた。

そして、Kバレエでのアルブレヒト(2001、2006)。
一回一回、違ったアルブレヒトがそこにいる。

たとえば、花占いの場面。
花占いをし始めたら花びらの数がどうもよくない、
すると一枚すっと抜いて、「かなう」で終わらせる。
これはもっともスタンダードな筋書きで、
よくあるプレイボーイ版(?)では、
ここを以って「今だけ楽しむいい加減なヤツ」ぶりが一層わかる仕掛けになっている。

でもKバレエの演出には、花占いのような単純な遊びでも本気で悲しむジゼルを気遣う、
アルブレヒトの優しさがにじみ出ている。
また、いきなり花を取り上げて、
「占いなんかやめよう。ねえ、踊ろうよ」と花を捨ててしまうという舞台もあった。
この恋は成就しない。
わかっているけど、この恋が続いてほしい。
そんな、アルブレヒトの切なさが伝わってきた。

いずれにしても、、「プレイボーイ」で軽薄なアルブレヒトは影をひそめた。
ジゼルへの愛は最初から本物だ。
それが一幕の幕切れの演出に凝縮されている。
ジゼルが死んでしまい、アルブレヒトは従者に促され、一旦はトラブルを避けるべくその場を去る。
しかし彼は、従者を振り切って戻り、亡骸を抱きしめるのだ。
この展開は、他のバレエ団にはない。

ヴィヴィのジゼルを、熊川アルブレヒトは全身全霊で愛する。
愚かでも、叶わなくても、
その思いは、真実なのだ。

こんなに千変万化のアルブレヒトに対し、
ヴィヴィのジゼルは常に変わらない。
ただ、アルブレヒトだけを見ているジゼル。
ラストシーン、
いつも熊川アルブレヒトの感情の行方が気がかりで、
ある意味熊川だけを追っていたと言っても過言ではない私も、
いつの間にかヴィヴィのジゼルに感情移入している。
アルブレヒトを残して消えていかねばならないジゼルの方に、
より深い愛と悲しみを感じずにはいられない。

「ジゼル」の主役は、ジゼル。
当代一のジゼル役者、ヴィヴィがそれをおしえてくれる。
何度見ても、ジゼルは深い。
多くのバレエファンが、ジゼルを愛する気持がよくわかる。





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Last updated  2007.05.20 10:55:28
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