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gamzatti

2007.09.10
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カテゴリ:ドキュメンタリー
「とてもうれしいんだけど、
これが全部タダだって聞いて、にわかには信じられないの。
だって、20年間も、医療費を払って、払って、払い続けてきたんですもの」

自らのガンと夫の心臓病のため、
大きな家も売り払い、娘の家の物置部屋に住まわせてもらっている女性が、
旅行先のキューバで言った言葉である。

マイケル・ムーアの最新作「シッコ」は、
人々のナマの証言で溢れている。
病気になって医療を拒否された人、
医療を拒否して自己嫌悪に悩む医師や元保険会社社員。
そして、
そのために家族を亡くした人々。

9.11のあの現場で救出活動を続けた救命士は、
今肺の病気で苦しんでいる。
1本14,000円する吸入薬が、キューバで6セントで売っていると知るや、
ポロポロと涙を流す。
「バカみたい。カバンいっぱい買って帰りたいわ」

病気になれば、誰でも気弱になる。
仕事も休まなければならない。
ただでさえ金銭的な不安が募るのに、
「医療が受けられない」それも、医療保険に入っていながら!
アメリカの深くて暗くて、出口のないような医療費問題。

でも、それは他人事ではない。

日本の介護保険制度はどうだろう。
日本の障害者自立支援法はどうだろう。

日本は、
「払える人が払い、必要な人が医療を受ける」つまり「応能負担」という考え方から、
「医療を受けた人は、受けたサービスに応じてお金を支払う」
いわゆる「応益負担」というやり方に
大きく舵をきったのだ。

「貧乏人は、薬も買えない」
時代劇の世界じゃない、21世紀の話だ。
アメリカは、そうやって家もなくす。病院から路上に捨てられることだってあるという。
日本も、
すでに兆候が出始めている。

「アメリカ人は、政府を怖がっている。フランス人は、政府が国民を怖がっている」
といったフランス在住のアメリカ人。

「国民を操るには、恐怖を与えるか、希望を砕くかどちらかだ。
 国民を借金だらけにするのは、国民から将来への希望を奪ういい方法」といったイギリス人。
そのイギリス人は続けた。
「サッチャーでさえ、社会保険はなくさないと言った。
今女性の選挙権をやめようといっても誰も許さない。それと同じこと」

マイケル・ムーアの「ボウリング・フォー・コロンバイン」は、
彼の無名性が功を奏した突撃アポなしインタビューの名作だ。

しかし、この「シッコ」は「有名」になったムーアが
綿密なリサーチと、深い洞察力、
そしてアメリカの国内の矛盾を、国の外と比較することで提示する
用意周到な大作といってよい。

自分も大好きな「アメリカ」が、どうしてこんなことになったのか。
必死でその答えを探そうとするムーア。
きっとどこかにアメリカらしいいいところがあるはずだ、とやっきになるムーア。
そこが愛らしく、憎めない。

病気になったことのある人、
病気の家族を持ったことのある人へ。

そこにいる病人を、無条件に救ってくれる社会でなければ
私たちは希望をもって生きていけない。
映画の間中、
私は涙が止まらなかった。






Last updated  2007.09.17 17:05:10
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これ、本当にみたい映画の1本です。
日本も他人ごとじゃない・・・
危機感を感じるのは、私だけでしょうかねえ? (2007.09.11 05:19:42)

Re:「シッコ」(09/10)   kintyre さん
こんばんは、私もこの映画を観ました。
日本の民間保険会社も支払い拒否問題などを抱えていますが、この映画で描かれている病歴の数の多さや薬の服用歴などを理由に保険金の支払いを拒否するとなると皆保制度の無いアメリカ人って大変なんだなと思いました。
救急車や中指の件は映画らしい話題でしたね。 (2007.09.17 00:38:16)

Re[1]:「シッコ」(09/10)   gamzatti さん
kintyreさん
こんにちは!
民間保険会社の「後だしジャンケン」みたいな拒否の仕方が、
あまりにあまりでしたよね。
「保険に入っていない人じゃなくて、入っている人の危機」というテーマの捉え方が、
今回は成功したのではないかと思います。 (2007.09.17 10:42:26)


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