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gamzatti

2007.12.20
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今日二つ目の日記。
今朝アップした日記に、
「外国バレエ団の来日公演を観たんだけど、あんまり上手いと思わなかった…」
というコメントをいただき、意見を求められました。
その方が私に意見を求めたもう一つの理由は
「私はロシアバレエが苦手だった」という日記を書いたからでもあります。

今までいろいろバレエを見てきました。
もちろん、熊川がらみが多いですが、他のバレエも機会があれば見てきました。

ただ、私はバレエを習った経験がないので、
「あそこのバレエはこうで、ああで」と専門用語を使ってしっかり分析することができません。
理論的な裏づけがない。そこは私の大弱点です。

そんな私ですが、
一生けんめい自分の意見や経験を、まとめてみようと思います。

1.熊川哲也のバレエを見続けている人は、少なくとも男性プリンシパルの技術的な面では、
世界最高峰のものを知っている。

…彼にはできるが、他の人にはできないもの、あるんですから。
好き、嫌いはあるけど、「熊川は下手」と思っている人はいません。
昔は「一人で踊ってなさい」などと言われてましたが、
最近ではパートナーを生かすパフォーマンスもできるようになりましたしね。

2.熊川哲也が好きな人は、英国ロイヤルのバレエをよく見ている。→好きになる。

イギリスはやっぱりシェイクスピアの国といいましょうか、
全幕ものは特にストーリーが素晴らしいです。
バレエからドラマチックな感動を受けるのが当然になっている身には、
淡白すぎるバレエってあるんです。

よく言われることですが、
熊川再振付の古典は「わかりやすい」。
単にストーリーを単純にしたということではなく、
「理由付け」「感情の出所」を丁寧に表現しているのだと思います。
メイキングのDVDを見ると、その場面をどういう気持ちで作っているか、よくわかります。
踊りだけでなく、マイムを多用して、語るように場面をつないでいきます。
どんな踊りも、踊りとして美しいだけでなく、そこで踊られる意味があり、
必然性がある。
だから観客も、ダンサーとともにお話に入りやすいのだと思います。

でも、
多くのバレエは、まず「踊り」ありき。
プリンシパルの超一流のパフォーマンスさえあれば、
観客はやんやの喝采です。
それは、オペラのアリアもそう。
リクツじゃなくて、「スゴイ」ものは人をひきつけますから。

そういう意味では、若かりし時の熊川も、そこが魅力だったはず。
ストーリーになんら関係なくても、「ラ・バヤデール」のブロンズ・アイドルが賞賛されるのは、
まさにこのためなのです。

フシギですよね。
ただ何回ピルエットを回れるか、どのくらい高く跳べるか、
そんなことばかり追いかけていたように思われていた熊川が、
「踊り」だけでなく「物語」をこんなに大切にしているなんて。
最高の技術が、最高の音楽と最高のストーリー、そして最高の美術をほしがっている。
それが、Kバレエのパフォーマンスなのです。

3.Kバレエのクウォリティは高い。

立ち上げの頃はいざ知らず、今はバックも揃ってきました。
音楽との調和を大切にする熊川がディレクターですから、その点もマル。
Kバレエに移籍したダンサーが最初にビックリするのは、
「こんなに早いテンポで踊ったことがない」
「こんなに複雑なステップをいろいろ入れたことがない」の2つ。
そんなKバレエの動きになれてしまった私は、
他のバレエ団の全幕コールドを見て、「フォークダンス?」と思ってしまうこと、ありました。
グラン・パ・ド・ドゥでも「そこ、歩くだけ?」とか。
決して「早い」とか「技巧」だけがすべてではありませんが、
「できる範囲で」ではなく、常に上のレベルを追求しているという緊張感が
Kバレエにはあるような気がします。

その上お手本がロイヤルで、舞台装置も衣装も超一流。
私たちが高いおカネを払って劇場を満杯にするおかげで、
そういうものを発注することができるのです。億ですよ、億!(エヘン!ファンの力ですよー!)

こうしたKバレエが一つのものさしになっているので、
それより見劣りのするバレエ団はあってしかるべきです。
ヴィヴィアナは、絶対ダイヤモンドつけてオデットを踊ったと私は確信してます。
遠くからでもよく輝いていた。
ダイヤモンド、とまではいかなくても、プリマくらい、もう少し衣装にお金かけてあげて、と
可哀そうになってしまうパフォーマンスもありました。
知らないうちに、私たちの目は肥えているのです。

4.バレエには「好き嫌い」がある

一流バレエ団にはそれぞれのよさがあり、
合う、合わないは上手い下手とは別次元としてありますね。

私が「ロシアバレエはちょっと…」と思ったのは、
何度見ても寝ちゃう、という経験があったから。(全幕)
パフォーマンスとパフォーマンスの間に流れが感じられなかった。
つまり、ストーリー性よりダンサー個人の能力や表現力が重視された作りなのでは?
……などと、自分で勝手に解釈して避けておりました。
でも、「ロシア」といってもいろいろあるし。
あと、演目もいろいろあるので、すべてを見ずに結論を下した私はおバカさんだったかも…と、
ロパートキナを見て思ったわけです。

ロシアでも、ゲジミナス・タランダは好きでした。
彼が「ジゼル」で見せたヒラリオンは、最高だったし、他のものも。
またロイヤルに移籍したイレク・ムハメドフや客演したアスィムラートワも好き。
だから「ロシアが…」じゃなくて、その演目、演出、だったんでしょうね。

パリのオペラ座のロミジュリも、バヤデールも、私はロイヤルのものほど感動しなった。
それは、好みなんだと思います。
ただ、オペラ座のモダンはすごいと思いましたね。
体の使い方が尋常じゃない。
ストーリーのないものに、身体が起承転結を作るんです。

また、ルグリの表現力と技術には、いつもまいります。
やはり、個人の能力は抜群、という人が多いのではないでしょうか。

5.たまに遭遇する「やる気なし」の外タレ

いやいや来たのかもしれませんが、明らかに実力を出し切ってないダンサーがいます。
この前、かーなーりー有名なダンサーが王子役やってて(ロシア人ではありません)、
石投げてやろうかってくらいフヌケなパフォーマンスで、
全幕ものでしたが拍手もせずに帰りました。
一緒に行った友人も憤慨してました。
日本のバレエ団への客演でしたが、稽古でやる気をなくすことでもあったんでしょうか。
相手役の女性がプロの踊りを見せてくれたので「金返せ」まではいかなかったけど。
その日だけの問題ではなく、身体もしぼれていない感じでした。

熊川は、若いとき「Dancer of No Execuse」つまり
「言い訳しないダンサー」と呼ばれていたことがあります。
足が痛かろうが風邪をひいてようが相手役が気に入らなかろうが長旅で疲れていようが、
舞台の上では何事もなかったように「どうだ!」とばかりに最高のパフォーマンスを披露する。
そういう熊川流に、私たちは慣れているので、
日々の調子が上下する人とか、「どうしたの?」って思うダンサーは、いっぱいいると思います。

……長くなりました。
異論のある方、たくさんいらっしゃると思いますが、
私なりに正直に書いてみました。

みなさんのご意見をぜひぜひコメントしてください。
ロシアのバレエのよさも、たくさん知りたいと思っています。
オススメのDVDとか、来日演目とかあったら、
そういうのもコメント残してくださるとうれしいです。






Last updated  2007.12.20 23:29:02
コメント(9) | コメントを書く
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■コメント

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意見と言うほどでもないのですが…   都魅恵 さん
はじめまして。
以前から、ちょくちょく読ませていただいてたのですが興味深い話だったので、コメントさせていただきました。
この記事を読んでて一部分「あ~!私が以前(10数年前)バレエ嫌いになった理由の1つとして的を得てるかも…」と思いました。
「実力を出し切ってないダンサー」確かに・・って、嫌いになった当時を思い出しましたし。
けど、そこのバレエ団がいつもそうでなくて、「たまたま」観た公演がそうだっただけかな~~と、Kバレエを観始めてから、そう思うようになりました。
Kバレエを好きになったのは極々最近で、キッカケもいわゆる”ミーハー”な状態から入ったんです。
でも、初めてK公演を観た時は、やっぱりバレエに対して苦手意識は取れてなかったですけれども。
けれど、短い期間の間、何度か観てくうちに、”バレエ”としてではなく、1つの”舞台”としてすごくKが好きになったんです。
Kバレエでも、正直「えっ?この程度でセンター?」って思うダンサーさんもいる時もあります。(苦笑)
けれど、そのダンサーさんも別公演では、比べ物にならないほど上手くなってたりするんですよね。
観たモノが”たまたま”良くないモノであったことで「上手くない」って思うのは誰にでもあることなんですね。
…と、こちらの記事を読んで、なんか自分がバレエ嫌いになったのは、片寄った目だったからじゃなかったんだ…と思ってスッキリしました。
なんか、とりとめのない事を書いてしまってすみません。m(_ _)m
こちらのブログは、色々勉強になったり、楽しませていただいたりで、(良い意味で)面白いブログな~~と思ってましたもので。
これからも、楽しんで読まさせていただきますね。
ではでは。失礼致します。m(_ _)m (2007.12.21 02:23:47)

Re:意見と言うほどでもないのですが…(12/20)   gamzatti さん
都魅恵さん
コメントありがとうございます!
そして、お立ち寄り感謝。
「バレエとしてではなく舞台として好きになる」
…すごくわかるような気がします。
そして、若いバレエ団として次々と「新しい」ことに挑戦するKバレエ団の舞台には、
きっと「成長」が感じられるのでしょうね。
また、何かの時にはコメントお願いしま~す! (2007.12.21 08:06:01)

ありがとうございます   チェリーまま さん
gamzattiさん 、ありがとうございます。
こんなにご丁寧にお答えくださって、大感激、大興奮です!

そして、とてもわかりやすい解説、さすが~!とうなってしまいました。

>好き、嫌いはあるけど、「熊川は下手」と思っている人はいません。
>一流バレエ団にはそれぞれのよさがあり、
合う、合わないは上手い下手とは別次元としてありますね。

なるほど、このひと言に尽きますね。
「上手い下手」と自分がそれを「好きか嫌いか」はまた別の次元なんですね。

>昔は「一人で踊ってなさい」などと言われてましたが、

そうだったんですか!(笑)
なんだかわかるような気がします・・・
でもそれは、今の熊川さんになるためには、どうしても必要なステップ(時期)だったってことですよね。

>Kバレエに移籍したダンサーが最初にビックリするのは、
「こんなに早いテンポで踊ったことがない」

確かに早いです。
「くるみ割り人形」のラストは本当に小気味よいですね。
「ドンキホーテ」の「キューピット」などは特に早く感じます。
複雑なステップなのに、音楽とズレないで踊れるなんてすごいなと思います。
バレエの先生は、早ければ良い(上手い)と言うものではなく、逆に遅く踊るほうが ごまかしがきかないので、難しい!とも言われていましたが・・・

>私が「ロシアバレエはちょっと…」と思ったのは、
何度見ても寝ちゃう、という経験があったから。(全幕)

良かった!安心しました。
ガムザッティーさんでも 寝ちゃうことがあるんですね。(笑)
正直、私も寝そうになって、あわてて娘を見たら、娘もしっかり眠ってたという訳です。 (2007.12.21 09:10:57)

続きです   チェリーまま さん
>たまに遭遇する「やる気なし」の外タレ

私もよその公演でそのようなダンサーをお見かけしたことがあります。
それとは別に日本人のゲストダンサーで、体形が「おじさん」、顔がどうみても、マツケンサンバを踊る時の「松平健」って感じの人がいて、その人が王子様役だったので、笑ってしまったことがありました。
(世界の)熊川さんと比べること自体、間違っていたのですね。

私もバレエは全くの素人です。
長男、長女はサッカー選手なので、いよいよバレエのことは後回しでした。
その私にバレエの楽しさ、素晴らしさを教えてくださったのは、ガムザッティさんなんですよ。

ダンサーの人間性まで理解していて、この人がこの役を踊るからこそ面白い!なんてお話がたまらなく好きです。バレエって奥が深いのね~って教えられました。
(2007.12.21 09:12:53)

続きの続き・・・   チェリーまま さん
>私はバレエを習った経験がないので、
「あそこのバレエはこうで、ああで」と専門用語を使ってしっかり分析することができません。
理論的な裏づけがない。そこは私の大弱点です。

私はそこが逆にガムザッティさんの強みだと思っています。
バレエ専門家のコメントだと、一般人の私にはきっとつまらないことでしょう。
広く一般の芸術を愛する方々、つまり観客の側に立った解説だから、わかりやすいし、こんなところを見ればいいのね!とこちらがワクワク楽しくなるようなご紹介ができるのだと思います。

そして、もうひとつ。
バレエ専門家だったら、やたらバレエにしか詳しくない方も多いと思います。
でもガムザッティさんは舞台や映画や色々なものをとても幅広く愛していらっしゃいますよね。
そんなものが ごちゃ混ぜになった上でのバレエの解説だから、読んでいて楽しいのだと思います。

私はロイヤルバレエ団のDVDは まだ見たことがないので、ぜひまた、良いものをご紹介ください。
これからも、ブログを楽しみに読ませていただきます。
ありがとうございました。
(2007.12.21 09:13:37)

Re:続きの続き・・・(12/20)   gamzatti さん
チェリーままさん
>広く一般の芸術を愛する方々、つまり観客の側に立った解説だから、わかりやすいし、こんなところを見ればいいのね!とこちらがワクワク楽しくなるようなご紹介ができるのだと思います。

ふぇ~ん、泣いちゃう!(ウルウル…)
応援、ありがとうございます!
ちょっと自信がでてきました。これでもいいんですね。
これからも、「観る側の論理」満載(?)で、
私の感動の嵐をお届けしていきます! (2007.12.21 09:22:43)

Re:ありがとうございます(12/20)   gamzatti さん
チェリーままさん
>バレエの先生は、早ければ良い(上手い)と言うものではなく、逆に遅く踊るほうが ごまかしがきかないので、難しい!とも言われていましたが・・・

先生のおっしゃる通りだと思います。
一番難しいのは「立ってるだけ」ですよね。
プリマは立ってるだけでプリマだって言います。
手を差し伸べただけで涙が出てきちゃう。
それが、本当の力だと思います。

荒井さんが移籍してこられた時、
前のバレエ団で主役級だった荒井さんほどのダンサーでも
やったことのないステップがあったこともさりながら、
新しくやろうとするその努力がすごいな、と
改めて向上心に感服した次第です。 (2007.12.21 09:28:30)

Re:はじめまして   tomo さん
震災で観れなかったピーターラビットと仲間達の替わりに6月のロミオとジュリエット(熊川さん)でバレエを始めて観てすっかり熊川さんに魅了されてしまいました。
検索していたらここに出会い、バレエの事を知る事が出来とても嬉しいです。(バレエファン初心者)
皆さんのコメントもなるほどです。
9月の白鳥の湖も観に行く予定です。
これからもたくさんの情報を宜しくお願い致します。楽しみにしています。 (2011.07.14 12:56:07)

Re[1]:はじめまして(12/20)   gamzatti さん
tomoさん
お立ち寄り&コメントほんとにありがとうございます!
コメント大歓迎なので、どうぞこれからもよろしくお願いします。 (2011.07.14 17:24:40)


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