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カテゴリ:スポーツ&ワークアウト
夕べ、テレビをつけたらちょうど始まるところだった
クルム伊達公子とヴィーナス・ウィリアムスのウィンブルドン二回戦。 伊達のあまりの好調さについついひきこまれた。 途中で生中継でないとは知ったが、 それでも目が離せない好ゲームで、 まったく眠気も吹き飛ぶ始末。 とうとう午前3時半まで、全部見てしまった。 結果は7-6、3-6、8-6のフルセット敗退。 1セット目、取ったとはいえ 5-1からダブルフォルトで落としたサービスゲームが なんといっても痛かった。 ここですんなり1セット目を決めていれば、 その後の体力にかなり違いが出たのではないだろうか。 あそこでああしていれば、は言うまい。 それをさせないのがヴィーナスの強さだ。 主導権を握っていたラリーでの決め球が おもしろいように決まっていた序盤に比べ、 その後は、「狙いすぎ」「押され気味」「ヴィーナスの慣れ」 いろいろ理由はあろうが、 肝心なところでミスが出てしまった。 強打がライジングで合わせられて、かえって不利と感じ取ったヴィーナスは、 3セット目あたりから少しスピードを落としてくる。 そのため、タイミングがずれてきたのも痛かった。 サービスゲームも何度もブレイクチャンスを与えてしまう。 私は復活してから今までの伊達のパターンとして、 1セット目をあれだけ競ってしまったら、 最後まで体力が持たず、尻すぼみになるのでは、と予想していた。 ふつう、5-1から5-5に並ばれた、その時点で緊張の糸は切れる。 だが彼女は耐え、タイブレークに持ち込んで先行、1セットを取りきった。 2セット目、サービスゲームを落としたツケは最後まで埋まらなかったが、 大きく離されることはなく、3-6。 そして3セット目。 明らかにミスが多くなる。 ヴィーナスの球威に押され、きわどいコースが決まらない。 何度も、何度も、窮地に立たされ、アドバンテージを取られながら、 それでも彼女は一球、また一球、と返していく。 途中で気がついた。 ヴィーナスに点を取られたとき 「やっぱり体力が」「やっぱり球威が」「やっぱり後半は」 「やっぱり…」とあきらめようとしたのは、私のほうだった。 見ている私はすぐにあきらめる。 でも、伊達はあきらめない。 彼女は、決して、あきらめない。 自分に限界を設けない。 あと1点取られたらおしまい、というがけっぷちにあって、 「自分はできる」と確信できる、力。 自分を信じられる、力……。 彼女の強さはそこにある。 以降、私は彼女の大切なポイントの前に 「自分に限界を設けない」とつぶやくようになった。 伊達は、見事にポイントを重ねていく。 とられても、とられても、その次のポイントを勝ち得て並ぶ。 負けないテニス、なのである。 6-6まで並んだとき、 「さあ、タイブレークだ!」と思ったら、 なーんと、ファイナルセットにタイブレークはなかった。 あと2セットとらなきゃいけないのか~。 大変だな~、と思った。 最終的に、ヴィーナスが勝った。 けれど、 負けた気がしない。 伊達のテニスは球種に富み、戦術に長け、魅力的だった。 最後の1ポイントだって、 あのダウンザラインがあとちょっと内側にコントロールできてれば、 見事なエースである。 もちろん、 それをさせなかったのはヴィーナスの力で、 だから彼女が勝ったわけだけど。 見ごたえのある試合だった。 まず、 3時間半、闘い抜く40歳の体力と精神力に脱帽。 こういうのを、「勇気をもらう」っていうのだろうか。 これから私も、 「もうダメだ」とか「どうしてこうなるんだろう」と思ったとき 「自分に限界を設けない」と自分に言い聞かせることにした。 かつて 復活したクルム伊達が全日本で優勝したときに 「伊達のすごさを讃えるよりも、ほかの若手が不甲斐なさ」を書いた私だが、 今回思いました。 日本とか、若手とか、もう全然凌駕しちゃってます。 パワーとスピードで ベースラインの打ち合いと強烈サービスだけに成り下がった今のテニスに 彼女は喝を入れてくれるでしょう。 「あんなテニスをやりたい」と 世界中のテニス愛好家たちがあこがれることでしょう。 伊達は、世界の宝です。 これからも、怪我に気をつけて、 魅力的なテニスを続けてください。
Last updated
2011.06.23 09:00:17
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