(3)【リスク管理と勝つ確率】 リスク管理ができているかどうかは、重大な結果をもたらします。現に、いま 投資で失敗している方はリスク管理をしなかった結果です。そのことに対して わたしたちは、どのようなアドバイスができるのでしょうか。もっと、「失敗 しないトレードをするべきだ」というべきでしょうか?? もちろん、そうではありません。トレードは半分以上が失敗するものです。 60-70%が失敗です。なぜなら、損失は小さく、利食いは大きくという鉄則を 守れば、かならず損失の数は多くなる。しかし、トレードはトータルでプラス しなければ意味がない。そこで、みんな必死に勉強する。練習する。だから、 テクニカルしかしらない人と、テクニカルもファンダも知っている人とでは差 がつく。それ以上に、毎日10時間以上も作戦を考えているわたしのような人間 と毎日数時間しか考えられない一般の投資家とは、どうしても運用に差がでて しまいます。わたしが考える毎日の数十の作戦のうち、採用されるのは、ゼロ かひとつです。潜在的なリスクは、頭の中で、随分と減ることになります。 そして、わたしたち、プロがリスクを管理するとき、そのリスクは、毎日計量 が可能なシステムになっています。必要以上にリスクをとっている、リスクが 少なすぎる、毎日機械が計算をして、わたしたち人間はその間で微調整を行な っている。だから、リターンは多くても20-30%の間に入るし、リスクは数% の間に入るのです。それでも、どの銘柄をいくらで買うべきだという判断はコ ンピュータよりも人間の方が上手い。いまのところは。 相場にずっと参加できて、かなりの時間を投資にかけることができる人であれ ば、いろいろとアドバイスすることは可能です。しかし、時間がないサラリー マンの方に対してどのようなアドバイスができるのか、わたしは疑問に感じて います。そして、テクニカル分析やファンダ分析などの手法を本当にわかって いる人は少ないことも実感しています。 【資金に対する投資金額はリスクとはいわない】 資金に対する投資額はリスクとはいわないのです。 100万円の資金を投資する場合を考えます。 信用取引をします。 あなたが150万円をある株に投資したとします。 これは投資金額を超えた1.5倍のレバレッジです。 この株の株価が150万円だとします。 あなたが損切りの逆指値を149万円で指しているとします。 あなたのリスクは何%でしょうか。 1%です。 資金に対する投資額をリスクとはいいません。 おわかりいただけるでしょうか。とっても肝心なところです。 資金の50%をある株に突っ込むということは、わたしが伝えたかったリスク とリターンの関係とは違う話なんですね。 50%をある株に突っ込んでも、しっかりとリスクを数%の範囲で管理できる 方法はあるのです。 100万円と1,000万円と1億円とを区別する必要はありません。複利の力 は平等なのです。むしろ、小額金額に味方するように仕組まれています。1億 円でも100万円でもリスクの管理の方法も投資のスタイルもまったく同様な ものであるべきです。そうではないですか?? リスクとは、投資額に対する一銘柄の構成比ではありません。 ストップを入れる水準とのかかわりであるのです。 【株数でリスク管理をしないこと ストップの置き方でリスク管理をする】 以下のような株があったとします。 投資案件がリターン÷リスクが10倍になっているのがおわかりでしょうか。 上値見通し 444円 株価 222円 下値見通し 200円 リターン222円(上値と現在値との差額)、リスク22円(下値と現在値との差額)。 そこで、リスクとリターンの関係で10倍ですから、10倍になったとき100%利食い。 こうしたらどうでしょうか。 リターン-リスク倍率 10倍 444円 損切りレベル444円 100%利食い。 9倍 422円 90%の利益確保。損切りレベルを400円まで上げる。 8倍 400円 80%の利を確保。損切りレベルを366円まで上げる。 7倍 378円 70%の利を確保。損切りレベルを350円程度まで引上。 6倍 356円 60%の利確保。損切りを290円程度に引き上げる。 5倍 334円 50%の利の確保。損切りオーダは278円に引上。 4倍 312円 40%利確保。267円にストップロスをおく。 3倍 288円 利益30%の確保のため242円程度にストップおく。 2倍 266円 利益の20%確保のため231円程度に損切りをおく。 1倍 244円 利益の10%を確保のため224円にストップロスおく。 さて、当初、200円に設定した、損切り(=下値見通し)は、値上がりととも に上昇していますね。 目論見では2倍になったらとりあえず全部利食いということでした。しかし! その過程が重要なのです。仮に250円に上昇したら、ストップを229円や230円 に置けば、利益の一部はとりあえず確保できますよね。 一部を確保しておいて、さらに株価上昇の可能性を持ち続けることができます。 肝心なのは、どの価格帯にいったら、自分は具体的に、何をすればいいのか、 決めておくことです。 こういう戦略を、みなさまは、お持ちでしょうか? お持ちでないなら、せっかくですから、こういう戦略を試してください。 これが、わたしの主張するところの、リスク管理のノウハウなのです。 ⇒最初から取引のルールやシステムを十分考えておく。 ⇒リスク管理は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析よりも重要な考えです。 |