乳癌、マラソン、そしてバカ話

2011/03/08(火)10:40

悲しむ暇なんぞない! 父の死後の世界その3

 役所、銀行、年金の手続きが一段落付いたら今度は片付けです。年寄りの部屋というのは長年のガラクタが山積みになっていますから捨てるには業者さんを頼むのですが2社の業者さんに直接見てもらって見積もりを出し、良心的と思われるほうを選びました。  日時を指定すると、その間に家捜しです。業者さんはただ捨てるだけになりますから、その前にとっておきたいものを探します。安い物では洗剤や鍋などの日用品、若干のお金、残高があるかどうかわからない通帳の束、家の権利証…  そういったものを妹のマキロンの運転する車で何日か掛けて持ち帰ります。車の中ではおしゃべりに花を咲かせます。あまり仲の良い姉妹とは言えないのだけれど、女はおしゃべりです。  たんすの中を探っていると、A4の封筒が出てきました。何か入っているので中を見ると、女性の写真が何枚か出てきました。数人います。  何と驚いたことにその中には若い頃の母の写真もありました。 「ちょっと、マキロン、これ見てよ」 「わっ、今まで付き合った女の写真じゃないの?あっ、お母さんのもある!」  母は大変きれいな人でした。写真の中の女性の中でも一番の美人です。(今はその片鱗もありません。美とは儚いもの)  くうみん父と母はくうみんたちが子供の頃、離婚したのです。くうみん達は父の元に引き取られました。 「わしらは捨てられたのぢゃ」 父はそう言っていましたが、子供心になさけないおやぢだと思いました。  母はさっさと再婚を果たし、別の家庭を持ちました。  くうみん達は割と母の家とも行き来があり、母の方は 「な~によ、あんな男!」 と、昔から今に至るまで言ってはばかりません。未練など、微塵もないのです。  父は長い人生の間に、他に好きな人ができてそれなりにときめく事もあったようですが、母にもずっと未練を持ち続けていたようです。  写真をどうしようか、一瞬迷いましたが、母の写真を含めて、捨てることにしました。そうすることが父の元に届けることになると思ったからです。 「男って言うのは、しようがないなあ」  くうみんはそうつぶやくと片づけを再開しました。  いまだ感傷に浸っている場合ではありません。    その後、業者さんによって部屋の中は空っぽになりました。完璧です。  読んでくれてありがとう。クリックしてくれたらうれしいな!  にほんブログ村

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