Bootleg
凄く久しぶりにBootlegを買いました。Bootleg、もともとは密造酒のことで、密造した酒をブーツのふくらはぎの部分に隠して持ち込んだことからこの名前がついたのですが、別に私が買ったのは密造酒ではないです。洋楽を古くから聴いている人にはとても馴染みのある言葉だと思いますが、要するに「海賊盤」のことです。海賊盤と言っても、「正規に販売されたレコードやCDを不正にコピーして販売しているもの」のことではなくて、オーディエンスがライブを隠し録りしたり、PAからのLINE出力された音源が流出したりしたものをレコードやCDにして販売しているもののことです。つまり、明確な違いは、「購入者は海賊盤だと知った上で購入している」という点にあります。特に、スタジオ収録されて販売されているアルバムとは全く異なるアレンジでライブを行うアーティストや、ライブの度に演奏が異なるアーティストのファンは、正規に発売されるライブアルバムだけではなく、あらゆるライブの音源を聴き較べたいというニーズが高く、Bootlegは貴重な史料的価値があったりします。当初はBootlegとして発売されたものの、その出来の良さから、後年アーティストが正式に公認するというケースもあったりするのが面白いところです。昔は輸入CD屋に入りびたり、観客が隠し録りした音源のbootlegを買ったものですが、そもそも当時はBootlegのCD1枚で5,000~10,000と非常に高額でしたので、貧乏学生には簡単に購入することができるものではありませんでした。Bootlegのビデオとか、とんでもない金額でしたよね・・・。財布スッカラカンにして購入し、ワクワクしながら家に帰って聴いてみたらとんどもない音質でがっかりするなんてことは良くある話で、そんな中でもたまにとても良い音のBootlegに出会うこともあったりして、インターネットが普及する以前、この手の情報を入手する手段が非常に限られている中で、世の中のロック少年はBootlegと喜怒哀楽を共にしてきたわけです。学生時代に高価で手が出なかったBootlegを、自由にお金が使えるようになった今になって買ったりとかね。で、今回久しぶりにBootlegを買いました。と言ってもよくよく考えたら1年ぶりくらい。直近で買ったのは1979年、グラハム・ボネット在籍時のRainbowのライブ音源2種類でしたが、今回購入したのは、今年ライブに行った2つのアーティストの、観に行った当日の音源です。ROD STEWART PACIFIC EXPRESS HITS TOUR 2024 LIVE IN JAPAN DEFINITIVE EDITIONLIVE IN CONCERT ONE LAST TIME 2024.3.20 東京公演JOURNEY "LURKING FEAR"50th ANNIVERSARY FREEDOM TOUR JAPAN 2024NIPPON BUDOKA, TOKYO, JAPAN 23RD OCTOBER 2024どちらも2枚組のCD音源と、当日のライブ映像が入ったDVDもしくはブルーレイが付属しているもので、金額はどちらも5,000円程度。動画の方は、オーディエンスが収録したものをベースに、音源だけCDに使用したものに差し替えてあります。で、そのCDに使われている音源のベースが、IEMなんですな。IEMというのは、In-Ear Monitor(イヤモニ)のことで、アーティストがライブ中に自分達の音を見失わないように、返し音を聴くためのイヤホンから流れている音源のことです。イヤモニから流れる音源は、当然ワイヤレスで会場内に飛んでいるわけですが、それを傍受してオーディエンスが収録した音源ということになります。凄い世の中ですな。複数のイヤモニ音源とオーディエンスが収録した観客席からの音源をいい感じにミックスさせて一昔前のbootlegでは考えられないような高品質なライブ音源に作り上げるんです。イヤモニならではの音として、モノによってはオーディエンスが普段聞くことのないような音が入ってることがあり、今回購入したものだと、JOURNEYの方は次の曲のタイトルを知らせる声や、曲の入りを知らせるための「ワン、ツー、スリー、フォー、ツー、ツー、スリー、フォー」というカウント声が入ってたり、ドラムが入らない部分ではテンポを統一させるためのクリック音が入ってたりします。邦楽だとなかなかこういうのはなさそうですけど、こういうのもひっくるめて洋楽、ロックの文化なんだよなぁと思ったりしているので、海賊盤の是非について議論するつもりは全くないです。最後に、今回購入した2点についてですが、どちらも音は素晴らしいです。特にRODの方はホントに良い。もう来日することはないと思いますし、記念にお勧めですよ。