Yngwie Malmsteen 40th Anniversary Japan Encore Tour 2024
12月20日(金)、仕事を定時で切り上げて、スーツから私服に着替えて一路横浜へ。目指すはパシフィコ横浜の国立大ホール。パシフィコ横浜と言えば、近年は仕事で大変な目に遭う場所というイメージしかありませんけど、プライベートで来たのはホントに久しぶり。今回は、「Yngwie Malmsteen 40th Anniversary Japan Encore Tour 2024」に参戦です。元々YNGWIE MALMSTEEN(イングヴェイ・マルムスティーン)の40周年記念ツアーとしては、5月に来日していたのですが、そのアンコール来日という事になります。イングヴェイを初めて聴いた時の衝撃は今でも忘れられません。「速弾き」ばかりが取り沙汰され、人気が出てフォロワーが溢れる一方で、「ただ速いだけ」「心がない」というアンチが出てきたりしましたが、自分は、速さはもちろんそのエモーショナルなメロディに感動したんですよね。「このメロディから何故心が感じられないのか」と、当時不思議に思ったもんです。彼のソロデビューアルバムに入っているインスト「Far Beyond The Sun」を初めて聴いて以来、自分にとってこれ以上のインスト曲は存在しませんし、レニングラードでのライブ演奏が自分にとって最高の「Far Beyond The Sun」です。その後も様々なアルバムを出しましたが、自身こだわりのミキシングがイマイチヘタクソで、アルバムの音が全然良くないのと、ある時期から手クセばかりが目立って、どのプレイも同じような感じになり、ライブでも演奏が雑になってきました。Voを始めとしたメンバーとのイザコザはしょっちゅうで、バンドメンバーが全く固定されず、結局現在はあくまでもソロ名義で、ライブの時の他のパートはセッションメンバー的な扱いになってるし、専任のVoを立てることもなくなり、Key奏者かイングヴェイ本人が歌うという方式で定着しました。そんな感じだったので、個人的にはここ20年位は何となく一歩引いたところから見守っていた状態です。惰性でアルバムは買ってましたけど。確かライブは1996年のInspirationのツアーを見たのが最後じゃなかろうか?そんなイングヴェイが今年の5月に40周年記念ツアーで(割と急に)来日した時も、正直まともに演奏するのか疑問だったので観に行かなかったんですよね。ところが、これが思いの外良いライブだったらしい。そんなイングヴェイがアンコールで来日するってんで、どうしようか悩んでたんですけど、最近自分が聴いて育ってきたアーティストがどんどん年取って引退していくのを見て、「最後に来日になる可能性が高いし、なるべく見ておこう」と思うようになったので、今回も先行予約の締め切り前日に決心してチケットを購入したのでした。さて、ライブの方はどうだったかというと・・・セットリストを見ればわかるように、基本的に前回来日時とはほとんど変化なく、ほとんどがインスト曲。Fire & Iceが加わってたのが違いかな。1 Rising Force2 Top Down, Foot Down/No Rest For The Wicked3 Soldier4 Into Valhalla/Baroque & Roll5 Relentless Fury6 REPENT7 Like An Angel8 Now Your Ships Are Burned9 Wolves At The Door10 (Si Vis Pacem) Parabellum11 Badinerie12 Paganini #4~Adagio13 Far Beyond The Sun14 Seventh Sign15 Toccata16 FIRE & ICE17 EVIL EYE18 Smoke on the Water19 Trilogy~Vengeance20 GUITER SOLO121 MAGIC CITY22 Fugue~ GUITER SOLO223 Drum Solo24 You Don’t Remember, I’ll Never Forget- Encore -25 Black Star26 I’ll See The Light, Tonight以下、思いつく限り徒然と感想を書いていきます。とにかくスピーカーからのノイズが酷い。演奏してない間はずーっとスピーカーからノイズが出てる。メイプルネックのストラト特有のギターの音は良いけど、全体のバランスから考えて明らかにギターの音がデカすぎ。スピーカーからのノイズもおそらくそれが原因。keyのVoマイクのエコー効きすぎ、分解悪くて何歌ってるんだか全然わからない。まぁ、前述の通りインスト曲ばかりなので、みんなあんまり気にならないのかもしれないけど。個人的には少ない歌曲もほとんどがショートバージョンでの演奏なのでちっとも面白くない(これは前から分かっていたことではあるんですけど)Smoke on the Waterとか演らんでいいから、その分オリジナルの歌曲をフルコーラスでやってくれって、ホント思う。左右のスクリーンは基本ずっとイングヴェイにオンカメで、2台(?)のカメラでしっかり手元のアップも映してたので、この辺りは観客のニーズを良く分かってるとは思いました。なにせ観客のほとんどは棒立ちで、彼の一挙手一投足をただただ見つめてるという、ある種異様な光景のライブですからね。もちろん歓声は上がるんですけど。「宗教かよっ」てホント思った。ある意味的を射ていると思うけど。一番盛り上がったのはSeventh Signかな?その昔、アルバムが発売されてこの曲を初めて聞いた時には、なんとも締らない曲だなぁと思ったもんですが、ライブ版を聴いたら凄くカッコ良くて、こんなに化ける曲もあるのかと思ったもんです。イングヴェイ本人は、最近言われているように、一昔前と較べると随分丁寧に弾くようになったなぁという感じで、そこは好感が持てましたけど、やはり専任のVoを雇って、しっかり歌曲中心のセットリストにして欲しいというのが正直な感想。自分がVoを取る時はバッキングが疎かになってダルいギターの弾き方になってるし、そんないい加減な弾き方で聴きたくないんですよね。総じて、今のイングヴェイの環境の中では、最大限の努力はしていいるんだと思います。専任のVoがいれば、セットリストのバランスももっと歌曲寄りになるんだと思うことを考えれば、今のメンバーでできる限りのことはしてるんだろうなぁという感じです。本人の演奏も一昔前のいい加減な弾き方だった頃と較べると、丁寧に引いてる印象もあります。アルバムバージョンの状態でカッコいいフレーズが多いんだから、それをきちんとやってほしいという思いもありますが、もともと昔からライブではインプロヴァイズ中心な人なので、そこはまぁしょうがないのかな、と。イングヴェイって、なんというか、ある時期にもう「諦めてしまった」、「これ以上を望まなくなった」人だと思うんですよね。本人は強がりの人なので、「自分はアーティストとして自分のやりたいようにやる」って言いますけど、本来、アーティストなら「自分が作った最高の曲を、最高の環境(メンバー)で演奏(公開)する」というところに力を入れて努力してほしいんです。最高のメンバーを集めるとか、バンドメンバーとの関係性を高めるとか、そういうところに努力するのも金を稼ぐプロのアーティストとして必要なことだと思うんですけどね。ある時期から、彼はそういう努力はせずに、自分のやりたいようにやる、ついてきた人だけついてくれば良いという考えに切り替えた。それは妥協であって、お山の大将の単なる強がり、たった一人の王様になることを選んだイングヴェイの弱さだと思うんです。凄く勿体ないことだと思うんですよね。いい年して少しはオトナになったんだから、もう一度バンドで演奏することを真剣に考えてもいいんじゃないかと思います。たぶん、今なら、まだまだ売れると思いますけどね。