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外伝part1 the memory of おっさんず


「こんにちは。初めまして、GMです。よろしく。」
「こちらこそよろしくお願いします。本日よりお世話になります。」


おっさんずでミコトという青年と出会う約3年前


「なんでもうちのギルメンとアリアン西の砂漠で一緒に狩りしたんだって?」
「そうですね。アリアンからの依頼で砂漠に巣くうミイラを狩った時のメンバにこのギルドの話聞きました。」


それは武者修行の為に流離いの旅に出ている時の話だった。


「うちはけっこう傭兵として来る人が多いギルドだからね、大歓迎だよ。」
「ありがとうございます。自分のこの力がどこまで通用するか・・・今から楽しみですよ。」


アリアンからの依頼で見ず知らずの人でPTを組みミイラを狩った。その時に一つのギルドと出会った。


「はっはっは、こりゃ頼もしいな。今はまだ依頼が来てなくて各自鍛錬してるとこなんだよ。」
「各自鍛錬ですか・・・負けてられないですね。」


その名もGuardianPosters。


「うんうん、今日は顔合わせの為に皆集まってもらっている。行こうか。」
「はい。」


彼はこのギルドで共に歩む事を誓い合うことになる大事な仲間と出会い、のちにその出会いが世界をとりまく大きな運命の歯車の一つとなる事となる。


「あ~、みんな。今日からのGPに仲間が一人増える。さ、自己紹介を。」
「皆さん初めまして。武者修行の一環としてこのギルドにきました。ガラテアと言います。よろしくお願いします。」


しかし、それは今はまだ先の話・・・・










『真説RS:赤石物語ー外伝part1』      
the memory of おっさんず







「うぉ、今のやばかったな。」
「確かに・・・やっぱ蜜柑ちゃんすごいよ。」
「いやいや、パパの回復と皆の足止めがあったからだよ。」


複数の戦士が話しを交わしていた。
足元には真っ黒に焦げ焼けたMOBの姿と半径3m程の大きさのクレーターがあった。
WIZのスキルの一つメテオシャワーの跡だった。


「私にガラ、ブラが相手の注意を引き付けて蜜柑ちゃんがメテオをうつ。仕損じた敵はストが仕留めて、体力回復はパパに任せて・・・と一つの狩り方として出来てきたね。」
「んだなぁ。とりあえずここいら一帯は片付いたな。戻ろうか。」


傭兵として参加したGPでの日々も早くも半年が過ぎていた。
その間ガラテアはメンバーの脱退等により暫定的にだが副ギルドマスターの地位にまで就いていた。
同時期に参加したStojikovic、ファンキーや既に副マスとして活躍していた炬燵蜜柑、akari、ブライゾの面々とはギルド内での年齢も近いせいか親交を深め共に切磋琢磨し己を磨く日々が続いていた。


「おぅ、お疲れさん!今日も順調の様だね。」
「マスター、ただいま帰ったよ。今日も蜜柑砲が炸裂してたよ。」
「はっはっは。あんまりメテオ打ちすぎて地形変えるなよ。」
「出来るだけ気をつけます。」
「ところで今日はどこで育成してきたんですか?」
「あぁ、今日は・・」


GMはギルド内の事を基本的に副マスターに委ねて自分はギルド内の若手育成に当たっていた。
この頃、新規のギルドが増えた事もあって中堅のメンバーが新規ギルドの立ち上げ等で抜けてしまっていたからだ。


「それでだが・・・・依頼が来ていて、明日もこのメンバで倒してもらいたいMOBがいる。」
「マスタはどうする?」
「俺は明日も若手育成に励むさ。神殿入口でね。」
「了解。じゃあ明日の為に今日はもう休むか。」


その夜・・


トントン
「はいはい、誰だ?」
ガチャ
「おぉ、ストとパパか。どうした?」
「ガラ起きてたか。夜遅くにすまんな。」
「まぁとりあえず部屋に入れよ。」


MOB討伐を明日に控えた日の夜にガラテアの部屋へと訪れたStojikovic、ファンキー
二人の口から出てきた言葉はGPの将来の事だった。


「・・・・それは確かにそうだよな。」
「だろ?マスタは人がいいからこのままでもいいかもしれんが実際問題今のギルドの面子だと何かと不自由だ。」
「うむ、有事の際動ける人数が限られすぎている。即戦力を迎え入れるかもしくは・・・・」
「そう答えを急くなよ。確かに非常事態ではあるが急に解決するものでもないしとにかくマスタに話してみよう。」
「うぅむ、そうだな。」


結局その夜は具体的な答えが出ないまま次の日の朝を迎える。


「マスタ、少し話があるんやけどいいかな?」
「ん?どうした?」
「昨日少し話し合ったんだが・・・・」


昨晩話し合った事をマスタに伝えるとマスタの口からは意外な言葉が出てきた。


「うむ、確かに言う通りだが今新規ギルメンを募集するつもりはない。」
「今のままでは何かと動きづらいのをわかってて言ってるのか?!」
「もちろんだ。その上で募集をかけない。」
「何故??!」
「理由は・・・言う必要はない。気に食わなければ今すぐ抜けてもらってけっこう。」
「・・・・・とりあえずMOB討伐に行く時間だ。また帰ってきたら話します。」


結局結論が出ないままの何とも言えない気持ちになりながらも依頼通りMOB討伐に出かける事になった。
そしていつもの様に無難に依頼をこなした面々がそれぞれ帰路に立つ中Stojikovic、ファンキー、ガラテアの三人が残り話をしていた。


「そんな事言ったのか。どういうつもりなんだ・・・。」
「何か考えがあっての事なのかないのか今回ばかりは俺にもわからん。」
「ふむ、とにかく帰ってからまた話するって言ったんだろ?それからもう一度よく考えよう。」
「・・・そうだな。」


話し合っている三人のところに先に帰っていたブライゾから“チャット”が飛び込んできた。
その内容は三人を驚かせる物だった。


「神殿の奥底にいたMOBが神殿入口付近に現れたらしい。今マスタが一人で応戦しているが若手をかばいながらの戦いで分が悪すぎる。すぐに行くぞ!」
「何っ!?わかった、すぐに行く!!」
「神殿だと近い町はブリッジヘッドだな。行くぞスト、ガラ。」
「パパ、頼む。」


一人で相手をするのにも骨が折れる相手なのにさらに味方をかばいながらの戦闘という状況にどうしても悪い予感が頭をよぎる。
ファンキーのスキルにてブリッジヘッドに移動した三人の前に戦場から逃げ出す事ができ事態をブライゾ達に伝えたギルメンが姿を現す。
そのギルメンは体のあちらこちらに傷を作り疲弊しきっていた。


「すいません。僕たちがしっかりしていないばかりに・・・。」
「気にするな。それより今どうなっている?」
「何人かはその場から逃れる事が出来ました。けど大きな怪我を負いその場を動けない人もいるのでそれをかばうためにマスタが一人で・・・。」
「蜜柑さんとあかりさんとブライゾさんが10分程前に来て今神殿の方へと向かっています。」
「わかった。ここで待っとくんだぞ?」
「はい・・・。」
「よし、俺達もすぐに後を追うぞ。」


ブリッジへッドの北西部に位置する神殿。
先に向かったブライゾ達を追いガラテア達もその足を速めた。


「ん?あれか。」


移動する事数分で一向は神殿の入口へと辿り着いた。
戦闘はすでに終わっている様子で数人の人が立っているのとその足元に転がるMOBの屍骸を確認する事が出来た。


「遅れてすまない。みんな無事か?」
「・・・・・・。」


問いかけに皆はうつむくばかりで言葉を口に出して答える者はいなかった。
そしてそれが何故なのかは直ぐに理解する事が出来た。


「マスタ・・・・・・。」


そこには全身に大きな傷を負い地面に倒れこんでいるマスタの姿があった。
その目は虚ろですでに意識が飛びかけていた。


「へっ・・・どうだ?全員・・・守ったぜ。」
「もういい喋るな!パパ、早くヒールを!蜜柑ちゃん、アスヒも!!」
「いや・・・生命力を・・活性化させるスキルを受けるには・・・回復するだけの力が・・・足りない。」
「なら、どうすればいい!?」
「俺はもぅ・・・だめだ。それより皆に・・・聞いてもらいたい事が・・・ある。」


マスタの願いを心で受け取ったメンバは静かにマスタの話を聞いた。


“俺はこのギルドが・・・


・・・・・


・・・


・・








数日後・・・


「今日皆に集まってもらったのには訳がある。」


炭鉱町ハノブの中心地より少し外れた場所に複数の戦士達が集まっていた。
その中心にはStojikovic、ファンキー、ガラテアの3人がいた。


「マスターの事は皆知っていると思う。まずはマスターの最後の言葉を聞いてほしい。」


そう言うと静かにStojikovicが口を開いた。


「俺はこのギルドが皆にとって止まり木の様な存在である事を願った。
 羽根休めにここへ訪れる者そしてこのギルドから翼を広げ飛び立って行く者。
 俺はここでそんな皆を支え、見守りそして旅立って行くのを見届けたかった。
 副マスには色々と迷惑をかけたと思う。本当にすまない。
 その役目はもう今日でお終いだ。GPは今日限りで解散する。
 後は副マスを中心に考えて皆の思う道に進んで行く事を望んでいる。
 本当にすまない。そしてありがとう。」


「これがマスターの最後の言葉だ。マスターの意志を汲みとりGPは解散する事にする。」


話を聞いていたメンバ達からは様々な反応が返ってくる。
しかしそれには反応せずに話を続けた。


「昨日、副マスで話し合った結果、新しいギルドを作る事を決めた。そのギルドでマスタの意志を継ぎつつ新しい体制で行きたいと思う。」
「新Gに所属して一緒に闘っていくか、新しいGに所属するか新しくGを作るか・・・そこは各自の判断に任したいと思う。」


そうしてGuardianPostersのギルドとしての歴史に幕が降りた。そしてそれと同時にその意志を継ぐギルド“おっさんず”が誕生したのであった。
GPに所属していた約半数がギルドを去り、残りの半数が新ギルドに関っていく事になる。また副ギルドマスター内でも新しい道を歩む者も現れた。


「おーいガラ、協会にギルド作成申請しに行くぞ。」
遠くでStojikovicの声がした。
「傭兵で来たつもりがいつの間にかギルド創設のメンバーか。ふっ、あいつらと一緒に歩むも悪くないな。」
Stojikovicの声を聞きながらガラテアの顔が少しにやけた。


「ま、これからよろしくな。」
「いきなり何言ってんだ!?気色悪いぞ・・・。」
「ははは、まぁ聞き流してくれ。」


古都に爽やかな春風が舞い込み時折吹く強風が木々を揺らしていた。


「春一番か。新しい季節の始まりやな。」



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