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『VENGEANCE』 3




「そろそろ支援が切れ始める頃だ、支援の掛けなおしを早急に。」
「火力陣は敵を引き付けながら少しずつ後退。」
戦場にアルテミスの号令が飛ぶ。
「よし、支援上書き終わったね。」
「・・・・・・フランさん、今だウォーターフォールを!」
アルテミスの合図を受けマーブル・フランが上空に矢を放つ。
放たれた矢は氷のオーラを纏い火力陣が引き付けた敵の集団へと降り注いでいった。


グォォォォォ


「今だ、突撃!」
矢にうたれダメージを受け、氷のオーラで身動きを封じ込められたのを確認しアルテミスが突撃の合図を出した。


「しかし、作戦ってやつは本当に大切なんだな。改めて思うわ。」
崩れ落ちたMOB達の横でkioraがアルテミスの出した作戦に感心していた。
「今回もほとんど被害なしで任務終わりましたもんね。」
ミコトも同じように感心していた。
「はは、作戦なんてものはそれを実行出来る火力とそれを支える支援がいてこその物ですよ。結局はその通りに動いて結果を出す事の出来る皆さんがすごいって事ですよ。」
アルテミスがそう言いミコト達の労をねぎらった。


「アルテミスさん、今回の任務どうとります?」
炬燵蜜柑が問うた。
「正直な話わかりません。もし意図的にMOBが動かされていたとしてもその意図がわからないしMOBの自発的な行動だったとしても不自然な点は残ります。」
「陽動や囮の線も頭を過ぎりましたが特に何かがあったという報告もありませんでしたし・・・現状では任務終了でいいと思います。」
「なるほど・・・杞憂で終わるならそれもまたよし。ですね。」
アルテミスの話を聞き安心したのか炬燵蜜柑が顔をゆるめた。
「そういう事です。」
それに対しアルテミスも笑顔で答えた。


「こんなところから顔が確認出来るんだからアーチャって奴はすごいもんだな。で、どうだ?」
おっさんずの面々が任務を行っている地点より約1Km程離れた場所に2つの人影があった。
「間違いない。あれはmikusukeだ。」
男性の問いに女性が答える。
「と言う事は探していた人物がやっと見つかったわけだな。」
「あぁ・・・・奴こそは必ず私が・・・・・しとめる。」
女性の手に力が入る。
「おいおい・・・ここで殺気なんか出すんじゃないぞ。気配で俺達の存在がばれるとこまるからな。」
「思ったよりも冷静だ。むしろやっと私の手で裁きを下せると思うと高揚感が沸いてくるほどだ。」
「くく・・・頼もしいかぎりだな。後はお前に任せる。必ずmikusukeの首を持ち帰って来い。悲しき復讐者 ルジェよ。」















『真説RS:赤石物語』      第1章 『VENGEANCE』-3







「・・・・の有効判定距離は・・・・・。」
任務が終了し本拠地へと戻ったmikusukeは体を休める間を惜しみすぐに各職のスキル考察を開始していた。
「ふむ・・・レッドアイには悪魔やネクロマンサーがいると聞いたがやっかいなスキルが多いな。」


ガシャーン


「!?」
不意に後ろで音がした。
ビックリして急いで後ろを振り向くと窓ガラスが割られ破片が部屋に散乱していた。
そしてmikusukeがある物の存在に気付く。
「これが原因か・・・・しかし何故・・・。」
それは一本の“矢”だった。
「ん、手紙か?」
矢をよくよく見ると矢に手紙がくくり付けられていた。
「誰だ・・・」
mikusukeが手紙を広げ中に書かれている文章に目を通す。
「これは!」
見る見るうちにmikusukeの顔が強張っていった。
「急がねば・・・!」
手紙を読み終え何かに追われるように急いで身支度をし部屋を出た。


ガチャ


「きゃっ。」
突然開いたドアにたまたま外側にいたトリーシャが声を上げた。
「そんなに慌ててどうしたの?」
「すまない、少し急ぎの用事が出来た。行ってくる。」
そう言い残し慌てた様子で走り行くmikusukeを見送ったトリーシャは妙な胸騒ぎを覚えていた。


ガチャ


「えっ!?」
部屋の中に入ったトリーシャの目に床に散乱したガラスの破片と床に突き刺さったままになっていた矢が入り込んだ。
「一体何が・・?」
思いもよらない光景に驚きつつも部屋をじっくりと見渡す。
「これは・・。」
すると部屋の隅に落ちていた一枚の紙切れを見つけた。
「何かしら?」
手紙に目を通したトリーシャの表情がmikusukeと同じように強張っていく。
「大変・・・急がないと。」



「はぁ・・はぁ・・。」
おっさんずの本拠地より離れる事およそ数Km、周りを木に囲まれた人気のないところにmikusukeはいた。
「どこだ?いるなら早く姿を見せてくれっ!」
mikusukeが声を上げながら周りを見渡す。
「そんな大声を出さなくても私はここにいる。」
そう言いながら気の陰から女性が姿を現した。
「ルジェ!」
mikusukeが女性の姿を見つけたと同時に女性の元へ駆け寄った。
「ふん。」
それを見たルジェがmikusukeむかい矢を放つ。
「なっ!?」
ルジェの放った矢は全てmikusukeの歩みを遮るようにmikusukeのすぐ前方の地面へと突き刺さった。
「私は・・この数年間ずっとお前を探してきた。あの時の事忘れたとは言わさんぞ。」
「お前は私を裏切りそして自分だけのうのうと暮らして・・・あの後の私の苦労などわかるものか!お前の罪、お前自身の命をもって償わせてやる!」
ルジェが矢を取り出し弓の弦につがえた。
「・・・すまなかった。言い訳はしない、俺の命でルジェの気が済むのなら私は命などおしくない。」
mikusukeはそう言い静かに目を閉じた。
「せめてもの情けだ。苦しむ事なくあの世へ送ってやろう。」
ルジェが矢を静かに弓の弦につがえゆっくりと弦をひいた。


「・・・・・・。」
静かに目を閉じるmikusukeとそのmikusukeに対し弓を構えるルジェ、お互いにうごかない状態のまま数分が経過した。
―何故、指が動かん・・・・
―あいつは・・・・あいつは・・・・
ルジェの怒りの感情の中に僅かだが葛藤が湧き出していた。
―くそ・・・あの頃を思い出せ・・・
まるで自分自身に言い聞かせるように何度も何度も心の中で呟いた。


“そうだ・・あの頃を思い出せ・・・・あの状況を生んだ張本人が目の前でしかも無防備の状態で立っている・・・・これ以上の機会はないぞ”
不意にルジェの頭の中で声が響いた。
その声は自分の物ではない、あの苦しみ抜いた時代から自分を救ってくれた人・・・にゃるらの声だった。
「そうだ・・・奴は自分自身の仇・・・。」
まるでにゃるらの声に誘発されたかの様にルジェが小さく呟き冷静にそして冷厳に指を離した。


ヒュン


放たれた矢は一切の感情を持たずただただ飛んでいく、mikusukeの元へ











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