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『成長』 2


「ミコト、ミコト宛に手紙が届いてるよ。」
「ありがとうございます。誰だろ・・・」


天乃ミコト殿

 元気してるか?所属ギルド決まったからそれを伝えようと思って手紙書いてみた。
 ギルド連合直轄ギルド『Saint Crusaders』に所属する事になった。

 かんなりきびしいけど半年後の対決にむけて頑張るからミコトも頑張れよ!
 
                  バアル・T・ブル


「ラブレターでも?顔がニヤついてるぞ。」
「ラブレター兼果し合い状ってとこですね。」
「???」


思いがけない手紙にミコトの中の闘志がよりいっそう力強く燃え上がるのを感じていた。











『真説RS:赤石物語』      第3章 『成長』-2







「あまい!スウィングインフィニティ!!」


ザッザッザッ


ミコトの放つ連撃が的確にダメージを与えていく。
「グルル・・・・・・・・ガァァ」
手負いのMOBがミコト目掛け捨て身の一撃を繰り出した。
しかし、その行動を既に察知していたミコトが体を後方へ半歩分だけ下げ攻撃をかわし反撃に移る。


ザン!!


ミコトの一撃を受けたMOBが地面に顔を埋めた。


「お見事!」
一仕事終えたミコトの後ろから声が聞こえる。
「お二人のおかげですよ。ファインさんが支援かけてくれたのとフランさんが矢で敵の動きを封じ込めてくれましたしね。楽に討てました。」
話し返した相手はおっさんずのギルドメンバーのFainbrewとマーブル:フランだった。


ミコトのおっさんず入隊より一週間、ギルド幹部が全員任務より帰ってくるまでWIZARDのFainbrewとアーチャーのマーブル:フランそして顔見知りのkikouteiとAndrsenの5人でPTを組み任務をこなしていた。


「終わったようだね。ここら一帯調べたけど今のが最後みたいだね。」
「キコさんおつかれさまです。」
丁度、周辺の探索に向かっていたkikouteiが戻ってきた。
「了解。これでこの付近で昼夜問わず通行人が襲われる。って事はなくなるだろう、帰ろうか。」
kikouteiの言葉を受けPTリーダーのAndrsenが任務の終了を告げた。


「どう?そろそろギルドに慣れてきた?」
「おかげ様でだいぶ溶け込めたかな。とは思っているんですけど・・・」
おっさんずの宿舎内の休憩所に任務終わりで休憩をしているミコトとAndrsenの姿があった。
「けど・・・?」
「GMさんもあれっきり会ってないしAndrsenさん以外の幹部さん達にもまだ会ってないですし・・・」
「あぁ、今ギルド連合から大きな任務が下りてそれにかかってるからね。期間は半月だから・・・・・おっ!帰ってくるの今日だね。」
「さぁ、今日から一段と騒がしくなるよ。」
何かを思い受かべたAndrsenの顔が少しにやついた。


ガヤガヤ


そんな会話をしていると宿舎の外から複数の声がするのが耳に入った。
「噂をすれば・・・・だね。」


ガチャ


「ただいま~。」
「おかえりなさい。お疲れ様でした。」
扉が開き中へと入ってきたのはGMのStojikovic、akariそして初見の人達だった。


「おかえりなさい!」
少し遅れてミコトも挨拶を交わした。
「おっ、ミコト君丁度いいところにいるね。ついでだし皆を紹介しておくかな。」
「まずは、色んな意味でおっさんずのNO1ビショップのファンキー。みんなパパって呼んでるからミコト君もそう呼んであげて。」
「よろしゅうに。」
同職のAndrsenに比べるとさらに一回り大きい体格をしているがAndrsenと同様その表情からは慈悲に満ちた笑顔がこぼれていた。


「次は、WIZARDのNo1の炬燵蜜柑ちゃん。蜜柑ちゃんでいいよ。」
「よろしゅうに。」
先ほどのファンキーとは対照的にスラッとしており紅茶色の長髪に全てを見透かす様な目がミステリアスな印象を与えた。


「そして」
「きゃ~可愛い~!ねぇねぇ何て名前?」
Stojikovicの紹介が始まる前に1人の女性がミコトに絡みだした。
「リフ~今のは紹介うけてから「よろしゅうに」で続いて最後に全員同じ挨拶かよ!ってツッコムところやん!」
隣にいた剣士が続いて話し出した。
「ねぇ?あかりん。」
「えっ、ごめん聞いてなかった。」
「うぉーい!!」
「何ミニコントしてんだよ・・・ミコト君の目が点になってるじゃないか・・・話続けるぞ。」
「「はぁ~い。」」
「ごめんごめん、まぁ毎度の事なんだがね、続けようか。」
「今、ミコト君に話かけたビーストテイマがleaf、それに続いたのがガラテア。あかりんは紹介の必要ないかな。」
「ふふ、呼ぶときはリフでいいよ。よろしくね。」
見た目からの年齢はミコトと同じかもしくは少し上位だと思われた。その明るい性格が場の雰囲気をいっそう和ませていた。
「ミコト君、気をつけや。気ぃ抜いたら襲われるから。」
「ちょっと!私が餓えてるみたいじゃない。訂正してよね!」
「よし!なら・・・多分大丈夫!襲われる事はないよ・・・多分。」
「・・・・・・・・」
leafが何かを言いたげな顔をしていたが気にせず話を進めた。
「冗談は置いといて、ガラテアです。よろしく。」
「あ、あのっ!」
ミコトは慌てた様子で腰にさげてあった剣をガラテアに見せた。
「覚えてますか?」
「もちろん。雰囲気変わってたから一瞬わかんなかったけどね。にしても一気に戦士の顔付きになったねぇ。」
ミコトとガラテアの頭の中に同じ記憶が甦っていた。
「あの時は本当にありがとうございました。」
「もう昔の事やしお礼なんかええよ。それよりこれからはその剣で一緒に頑張っていこう。」
照れくさそうな顔で答えた。
「これで・・・以上だな。さて任務も終わった事だし打ち上げでもするか。」
「セイセイセイ!俺の紹介まだでしょうが!」
一番後ろから大きな声がした。
「まっお約束だよ。ミコト君、彼はkiora。大きいなりしてるけどからかい・・・もとい、話しやすいからビビらない様にね。」
身長は180を超える位だが全身にがっしりとついた筋肉がさらに体を大きく見せていた。
背中には自分の身丈よりも長い槍がかけられている。
「・・・・・・・まぁいいか。kioraです。よろしく。」
大きな体格だが彼の笑顔から怖いといった印象を与える事はなかった。


「こっちの紹介は本当に以上だな。皆、こちらが天乃ミコト君。1週間ほど前からおっさんずの一員となってくれた。みんなよろしくね。」
「天乃ミコトです。よろしくお願いします。」
まだ未成熟ながらもその凛々とした表情はすでに戦士の顔付きで大器の片鱗を窺わせていた。
「よっしゃ。ミコト君の歓迎会を含めて飲みに行くぞぉ!」
「え~その前にお風呂入る~。」
「うむ、じゃあお風呂をのぞ・・・」
「覗いたら死刑ね。」
「うむ。止めておくか。」
やり取りを聞いていたミコトはAndrsenの「騒がしくなる」と言っていたのを思い出していた。しかしそのやり取りもどこか心地よく感じていた。



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