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2005.06.20
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カテゴリ:読書
ハンゲーム内の読書サークルで決まった今月の課題図書の一冊。
この人の本は初めてだったのと、
あらすじ的には、多分自分で選ぶとしたら、
手にも取らないだろうなって内容だったけど、
意外と良かったので、これを候補作に挙げてくれた人に感謝。

最初に突然、「さだまさし」の歌詞の引用があり、
それでもって、会話がメインというか、
ほぼ会話だけでストーリーを成立させてる
ある種独特のスタイルはとても読みにくくて、
そのため、前半は、はっきり言って「はずれを引いたかな」と
思ったほどだった。

会話だけと言っても、例えばふたりの登場人物がいたとしたら、
そのふたりがキャッチボールする形の会話ではなくて、
どちらかが、ひとりで何ページも喋っているという形式。

これは、ある意味、新しいのかもしれないし、
慣れれば、なるほど、おかげで面白さが際立つのね、
とも思えたけれど、
こうやって、ある一人の視点だけで描いて、
背景描写の説明を取っ払うことによって、
読みにくくなってしまうのは、
吉か凶か微妙だなと読み始めてすぐに思ったほど。

本作では、劇団を立ち上げようと思ってる一人の男を
中心にした人間ドラマを描いているのだが、
連作短編という形をとりながら、
謎解きをしていくミステリ要素も兼ね備えている。
(ここらへんも、新しいタイプの小説だなあ、と思うところだ。)

だから、読みなれた頃(2章、3章あたりになると)、
先が気になって気になって、
寝るのも惜しんではまってしまう面白さもあった。

昔、笑うせえるすまんっていう漫画があったけれど、
なぜか、あの主人公のモグロさんを彷彿とさせて、
それに池袋ウエストゲートパークを足したような雰囲気。
そう考えると、本作の魅力を、より活かすには、
活字におさめるよりも、ドラマ化した方が面白いかもしれない。

話、ずれちゃったけど、
とにかく結構面白くてさくさく読めたし、
本作がもっと世に出れば、
というか、
手に取って読む人が増えれば、
きっと近い将来ブレイクするだろうなと思える作家で、
他の作品も是非読んでみたいと思うし、
オススメできる作品ではある、
ラストまで読まなければ。

ラストのひとつ前の章までは、
なかなか上手に描かれていて、
それぞれの章がきれいにつながっていくあたりはとても見事なのに、
ラストで全てがまとまるのかなーと思いきや、
ありがちなオカルトのようになってしまって、
それまでが上り調子の面白さだっただけに、
失速感が大きく、がっかり感も高かった。

作者は、最後にして力尽きてしまったのか?
手を抜いたのか?
とても賢い人なのだろうなと思わせる作者なだけに、
これは本当にすごく残念だった。
これさえなければ、★があと一つ増えたのに@笑

とは言え、要注目の作家さんなので、
文庫が出たら是非読むべし。

どうでもいいけど、なんでこんなに賢い人なのに、
各章のタイトルづけがこんなにダサイの?

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Last updated  2005.06.21 02:26:44
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