2005/12/28(水)17:50
花まんま 朱川湊人 ★★★☆
:内容:
大人になったあなたは、何かを忘れてしまっていませんか?
大阪の路地裏を舞台に、新進気鋭の著者が描く六篇の不思議な世界。
直木賞受賞作。
【目次】
トカビの夜/妖精生物/摩訶不思議/花まんま/送りん婆/凍蝶
:感想:
短編ギライな私でも、
それなりに楽しく読めた一冊。
オカルトめいた話ばっかなんだけど、
まるでひとつひとつの作品に愛が詰まってるようで、
オカルトなのにほんわかしてしまう。
なんのこともないような話を、
また、書き手によっては単なるC級オカルトに
成り下がってしまう話を、
ここまでの完成度で描けるのは
相当巧いと思う。
直木賞も納得。
というか、直木賞ってあんまり信用してなかったけど、
少し見直しましたよ。
石田衣良風の語り口が個人的にはツボでした。
難を言えば、
計算して書いてるのが見え見えの文章は、
もうちょっと肩の力を抜いてくれても良かったかな、と。
ところでこの本、
彼が買ってきてくれたんだけど、
短編のくせに読了にすごく時間がかかったのね。
2ヶ月くらいかなぁ?
おかげで暫く読書できなかったくらい。
丁度、送りん婆を読んでるときにね、
昏睡状態で入院していた大好きなおばあちゃんが
亡くなったって知らせを聞いて、
怖くて読めなくなっちゃったんだな。
でも、苦しんだまま、死んだように生きてるよりは、
はやく成仏したほうがいいのかもしれないね。
いつか、気持ちが落ち着いたら、
再読したい一冊。
短編なので気になる人はまずは立ち読みを
お勧めします。