2006/01/12(木)20:25
報復ふたたび ジリアン・ホフマン ★★☆
書店で見つけて即買い。
わざわざこれを読むために、
既に手放した前作「報復」を再度購入して、
再読してから挑みました。
前作「報復」は、私が海外ミステリにはまるきっかけとなった作品で、
デビュー作ゆえに、粗はあるけれど、
それでも、強引な筆力で読ませちゃう期待の作家と思ったのでした。
(詳しくは過去レビューへ)
再読してみて、
ミステリだからすべてのネタがわかってるというのに、
それでも、読み嵌れちゃうのは凄いなって。
初めて読んだ頃は、海外ミステリなんて読んだこともなかったけど、
その後、沢山読んで、私の目も肥えてるはずなのに。
で、この作品、何がいいかっていうと、
やっぱりキャラの吸引力なんでしょうね。
主人公は勿論、取り巻く人たちの描写も巧みで、
映像がありありと浮かびながら読めてしまうのです。
ようやく再読が終わり、続編を読み出して・・・。
Jホフマンという作家は、
掴みが巧いんだなーと再認識。
映画なんかでも、見始めてすぐにのめりこめるような作品って、
大抵面白かったりしません?
彼女にはそういう力があるんですよね。
続編は、掴みもいいし、
事件などの題材もいいと思うのだけれど、
主人公の魅力が半減したのがとてもがっかりでした。
ロマンスに重きを置いちゃってるせいで、
CJとドミニクの心理は
巧みに描けているけど、
そこに共感を持てないと面白くない、みたいな。
私だったら言うのにな・・なんて思う箇所も多々あって・・・。
それから、説明的な描写に力を入れすぎてて、
せっかくのめりこもうと思ってても、
追い出されちゃうというか、
読んでてだるくなっちゃうように感じました。
一応、続編出たらまた読んでみようかなとは思うけど、
発想がいい作家なだけに、
続編ばかりに頼らずに新作を書いて欲しいなと思う。
これだけの題材やら、キャラクターやらを用いて、
展開を巧く描ける人なのに、
3分の1はだるい説明で、
そのせいで、いまひとつになってしまったのは、
酷くもったいないと感じたというのが率直な感想。
よく比較されてる「検屍官」シリーズの作風の、
私が苦手と感じる所が、
この続編では前面に出ていたように思う。
だから、逆に、「報復」より「検屍官」に軍配を
あげる人に取っては、この続編の方が面白いのかもしれない。
・・・でも、上下巻とかではなく、
1作ごとにそれぞれの作品として区切ってる以上、
この終わり方は消化不良ではないかと。
あらすじは以下に。
報復ふたたび
45万部突破の大ベストセラー、待望の続編!
あの悪夢はまだ終わっていなかった……さらなる恐怖がふりかかる!
あれから3年?
悪夢のようなキューピッド事件も人々の記憶から薄れつつあった。
だがマイアミで事件の起こらぬ日はない。
恋人ドミニクとの平穏な暮らしを手に入れた地方検事補C・Jは、
その夜も事件発生の報せに叩き起こされた。
現場へ急行した彼女を待っていたのは、
キューピッド犯を逮捕したチャベスの凄惨な死体だった。
まさかあの事件のせいで?
不安にかられるC・Jに追い討ちをかけるように、
当時の関係者が次々と殺されてゆく。
悪夢ははまだ終わっていなかったのだ!
ふたたび追い詰められてゆくC・Jを襲うさらなる恐怖とは?
前作を上回る戦慄で迫るジリアン・ホフマン最新作。
報復
全国の書店員が熱狂!超大型新人作家による傑作サスペンス
太陽の街フロリダは、キューピッドに怯えていた――
それは若い金髪美人ばかりを狙い、
何日も被害者をいたぶったあげく、
生きたまま心臓をえぐり出して殺す連続殺人鬼の名だ。
捜査は難航したものの、偶然、キューピッドが捕らえられる。
やり手と評判の女性検事補、C・Jが担当することになったが、
法廷で犯人の声を聞いた彼女は愕然とした。
それは今なお悪夢の中で響く、
12年前に自分を執拗にレイプした道化師のマスクの男の声だった!
こいつを無罪放免にしてはならない――
恐怖に震えながらも固く心に誓うC・Jだったが、
次々と検察側に不利な事実が発覚しはじめ……。
期待の大型新人による戦慄のサスペンス。