カテゴリ:読書
:あらすじ: 自白した被告人へ無罪判決を下した元裁判官に、 今、火の粉が降りかかる。 あの男は殺人鬼だったのか? 梶間勲の隣家に、かつて無罪判決を下した男、武内真伍が越してきた…。 有罪か無罪か。手に汗握る犯罪小説。 :感想: なんだか盛り沢山の本でした。 ごく一般的な家族の崩壊はこんなに簡単なものなのですね。 「死刑」を決めねばならぬ裁判官という職を退官した父、 良妻賢母の典型のような母、 家族を持ちながらも親のすねをかじり、 いい年して受験生な息子、 娘を愛しながらも育児ノイローゼに陥りそうな生真面目な嫁、 そして、 一見親切な隣人の謎。 それぞれのキャラクターといい、展開といい、 上手に描けてると思うし、色々考えさせられる一作でした。 が、前半が丁寧すぎる嫌いがある分、 クライマックス以降は急ぎ足すぎて、 少しあっさりしているように感じました。 隣人にスポットを当て、 これでもかと焦らしておきながらのラストは、 なんだか物足りなくて、 これだけボリュームのある作品なのに、 しかも、考えさせられるテーマの多い作品なのに、 読後に惚けれず、 微妙なフラストレーションで別の本を読み始めてしまう始末。 これだけの内容ならば、 「もう今日は読書はいいや」と、満腹にさせてもらいたかった、 というのが正直な感想。 なんていうか、巧妙だったのに、 最後に新堂冬樹化しちゃって、 デジャブを覚えるような感じで、 とっても勿体無い作品でした。 とは言え、こんな隣人絶対イヤだし、 家族間に問題なくても、 こんな簡単なことで崩壊させられちゃうんだなって 思うと、本当に怖いです。 愛する家族がいる人こそ、読むべき一冊かも。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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