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ひんやりとした秋の日、紀子さんが出産された。どんな出産でも母と子の生命が2つにわかれる瞬間であるという重みを背負う。無事お2人が身二つになられたことに、心から祝福したい。
そして、きょうは皇室典範改正が葬り去られてしまった日ともなった。「男の子が生まれてよかった」と堂々と発言して喜ぶ政治家たちの声が報道される。私も含めて社会の半分は女である。あまり聞いていて気持ちのいいものではない。いまどき、孫が生まれたときに祖父母がそういうセリフを娘や嫁にいったとすると、相当いやがられるだろう。市井では「女の子」が望まれる方がすっかり高くなっているというのに、やはりよい血筋をお持ちの方々の考えることは違うらしい。 男系継承論を主張する人が持ち出す伝統という言葉の使われ方にはうんざりする。私にだって保持してほしい日本の伝統文化はたくさんある。建物や街並、里山の風景や古民家。陶磁器や家具や織物、食文化。そういうものを簡単に捨て去っている人たちが持ち出す理論が「伝統」といわれてもしらけてしまう。あまりにも捨て去ってきたものが多すぎるからこそ、天皇制の男系という形式を残すことにしがみつきたくなる心性がうまれるのか。 生き残っていく伝統文化とは、少しずつ形をかえつつ発展してきたものである。変化を拒んで逆に一挙に消滅してしまったものは多い。第二次世界大戦後に日本は様々なものを捨て去った。皇室は、そのときに消えていたかもしれない運命を乗り越えて、形をかえることで生き残ってきた伝統の1つなのである。 政治家はともかく秋篠宮ご夫妻の言葉には救われた。お2人は子どもの性別を事前に知りたがらず、どんな障害があっても自然な形で受け入れたい、と話したとされる。せめてマスメディアに言葉をのせる人たちには、これくらい真っ当な常識をわきまえてもらいたかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006/09/07 12:54:04 AM
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